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某仮想卓 モブ×邪神→小鳥さん

某仮想卓より、モブ×邪神→小鳥さん。主にモブさんが可哀想。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

そう広くはない廃墟の一室には、人間が5人。
一目見て真っ当ではないと分かる、街ですれ違ったら視線を逸らして通り過ぎるような類の男たちだ。
その何れもが、その場に座り込み、あるいは横たわり、口唇を忙しなく震わせて意味を成さない言葉を呟いている。
涎や糞尿を垂れ流しながら、虚ろな眼でここではない何処かを見ている。
鼻を刺す異臭と耳を冒す呪詛に塗り潰されたその光景は、宛ら悪夢のようであった。
そんな悪夢の中心に、其れはいた。
其れは固い床に投げ出された己の白い身体を気怠そうに動かし、上半身を起こそうとしているところだった。
進路をそちらに取り、其れの肩に留まろうとした私は、ふと気がついてその行動を中断して近くの床に降り立った。
――汚い、あまりにも。

「奇遇ですねえ」
其れはいつもと変わらぬ調子でにこりと笑って言った。
ただ何時もと違うのは、その全身が紫色の痣と生臭い白濁で覆われ、更に下半身は夥しい量の赤黒い血で染まっていることだ。
そして何より目を惹いたのは、細い頸に生々しく残っている手形のような――
「何が奇遇ですか、これ見よがしに人のお散歩コースで何をやってるんですか。あなたは」
冷たくそう言い放てば、それは「ふふ、」と愉快そうにわらった。
「酷いですね? 私は被害者ですよ」
右手をひらりと挙げてわざとらしく溜め息を吐く。
その指先には爪が一枚もなく、あって然るべき箇所には痛々しく肉が露出していた。
よく見れば、左手も同様に爪はなく、更に親指以外の指があらぬ方向へ曲がっていた。
それを見て、ひどく納得する。
要するに、この男たちは頑張りすぎてしまったのだ。
「どうせ、あなたが煽ったんでしょう」
「ああ、見知らぬ男たちに散々陵辱された挙句、親友からセカンドレイプを受けるなんて……!」
頬を紅潮させ、沸き上がる興奮を鎮めるかのように身悶える。
この状態になってしまったらもう何を言っても無駄だ。
どんな厭味を吐いてやったところで、その沸いた御目出度い脳味噌はそれを忽ち快楽に変換してしまうのだろう。
ここに転がっている男たちによって行われた、蛮行としか言いようのない行為と同様に。

未だ興奮に身体を震わせている其れに向かって、右の羽を伸ばす。
伸びきる直前で、羽は腕に変わり其れを再び固い床に押し付けていた。
――腕。人間の、腕。この姿になるのは幾百年ぶりだろう。
本来の自分の姿であるはずだが、あまりに久々過ぎて視界の高さに違和感すら覚える。
其れに覆いかぶさったまま、感覚を取り戻すようにゆっくりと視線を下ろしていった。
突然のことに呆けている間抜けな顔から、更に下。細く青白い首筋へ。
「これ、どうしたんですか?」
「……彼らが」
真っ直ぐに私を見つめながら、緩慢に口を開く。
言い終わるのを待つすがら、指先で軽く首筋の痣を撫ぜると、其れは何か楽しいことをを思い出した子供のように無邪気に目を細めた。
「――交互に絞めてくれたんです。上を絞めると下が締まる、ととても嬉しそうに」
案の定、其れは夢見るようにうっとりと答えた。
「ああ、それは良かったですね」
私は大して感情の籠らない声でそう言うと、首筋に残る手形を両手で覆った。
そしてそのまま軽く力を込めると、其れは目を細めたまま、無残に血の滲んだ口角を吊り上げて美しくわらう。
それは作り物の、無機質な美しさだ。無機質な、紛い物の。
ぞわり、と、背筋が粟立つのを感じた。
……その貌だ。その貌がいけない。
そもそもこの男たちは、同性愛者というわけではないのだろう。
ただ、捕食者に囚われてしまった。
その作り物の瞳に魅入られ、煽られるまま、望まれるまま、自由意志のつもりで其れを貪った。
そして最後には、きっと其れの期待に応えすぎたのだ。その結果、其れの内を覗いてしまった。
そして、気付いてしまったのだろう。故に、男たちのこころは自ら死を選んだのだ。
だから、やはり彼らは被害者だ。この化け物の。

そっと首筋から手を離すと、其れは露骨に不満そうに頬を膨らませて私を見上げてきた。
そこには、つい先程までの捕食者としての表情はまるで見当たらない。
一瞬にして噎せ返るように重苦しい雰囲気が崩れ去るのを感じた。
「……ひどいです。ひどいです。期待させておいて、どうして絞めてくれないんですか!」
「ひどいの定義が全く分かりませんが、そういう趣味はないので」
瞳に涙を溜めて抗議する其れを尻目に、人間の姿から勝手知ったる可愛らしい小鳥の姿へと変化する。
やはりこちらの方が性に合っている。
「あなたの親友がエロ同人誌のように陵辱されたというのに……! お清めエッチとか、お清め拷問とかないんですかあ!親友なのに!」
などと意味不明な供述をしながら、勢いよく立ち上がろうとしたのだろう、しかし其れは一瞬だけ膝立ちになっただけで、すぐに床へとへたり込んでしまった。
「……っ、い、痛い、です……」
「そりゃあ、それだけ盛大に肛門から出血してれば……もしかして脚も折れてるんじゃないですか?」
いくら化け物とはいえ、この身体だけは間違いなく人間なのだ。
いくら傷の治りが早くとも、この重傷ではもう暫くはこの場から動けないだろう。

「……連れてってください。お姫様抱っこで」
「遠慮します」
身を硬くして痛みに耐えている其れを横目に、羽を広げる。
私はただ通りすがっただけのしがない小鳥なのだから、一刻も早くこの場から立ち去らなければ。面倒ごとはもう御免だ。
「ふふ……放置プレイですか……流石ですね」
「ちげえよ」
此の期に及んで、嬉しそうに頬を赤らめる。これは宜しくない兆候だ。
一刻も早く帰りたい。しかし、この状態で放置して帰ったら、こいつの妄想のオカズに使われてしまう。それはさすがに気持ちが悪すぎるだろう。
「……そう、ですね。このままあなたがここに居たら。……他の人達に見つかって、また犯されてしまうかもしれませんね?エロ同人誌みたいに」
「……!」
途端に、其れの濁った瞳がきらきらと輝いた。
これでいい。これで最早、妄想の対象は私ではなくなった。今度こそ翼を広げ、出口へと踵を返した。
「あ、帰りにシャワーを借りに伺っても良いですか?」
「その格好で来たら殺す」
――未だ見ぬ新たな被害者諸君に、仄かに懺悔を行いながら。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

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