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最初で最後の恋

英円のぜろ  影裏×宮辺

映画版の設定で、影裏と宮辺がカノヤで再会したところからの話です。
作品スレで出たネタに萌えまくってしまったのであちこち拝借させていただきましたm(__)m

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「あれが…トッコウです」

カノヤで初めてついたチョクエイ任務後、倉庫横の機体の前を横切っていると、
俯いて何かの写真を見ていた宮辺が俺に気がついて言った。
俺はかけるべき言葉が見つからず、ただただ見つめ返すしかなかった。
宮辺がポツリポツリと語っているのを聞きながら、少しでも宮辺の心を軽くしてやりたくて
絞り出した言葉がかえって宮辺を激昂させてしまった。
宮辺は俺の胸ぐらをつかむと堰を切ったように懺悔の言葉を吐き出した。
「どうすればいい…どうすれば…」虚ろな目で言葉を繰り返す宮辺に抱いた感情の名前を俺は知らなかった。

彼岸に片足乗せた宮辺をこちらに連れ戻したくて、その夜、半ば強引に宮辺を抱いた。
始めの方こそ抵抗していたが、その内大人しくなり、俺の項に手を回すと額がつくほどに顔を引き寄せて口づけてきた。
そこからは無我夢中で、気を失うまで宮辺の体を貪った。
これで、何も考えられなくなるように、そして眠れるように、と願いつつ。

その後も何度か宮辺を抱いた。宮辺ももう抵抗することはなくなり、素直に身をゆだねるようになった。
再会当初よりも、あの懺悔の日よりも、宮辺に少しだけ生気が戻ってきていた気がした。

俺は勝ったと思った…何に?
宮辺を彼岸へ連れて行こうとする無数の見えない手に。
宮辺を蝕み続ける罪悪感という名の亡者の声無き声に。

だが、その勝利の美酒に酔いしれる間もなく、その日はやってきた。
その日、搭乗割に宮辺に名を見つけた俺の耳に上官の声は入ってこなかった。
「終わり」
その声だけが認識できた瞬間、俺は敬礼も上の空で自動的にこなして、宮辺が廊下に出ていくのを追いかけていった。
「どういうことですか!」


最後の夜、昼間のやり取りを思い出して気まずさを覚えつつ、宮辺を待った。
何故か宮辺は来ないのではないかと思っていた。
しかし、宮辺はやって来た。
なんでもないフリをしていつものように抱こうとすると、宮辺が言った。
「陰裏…ありがとう」
俺はそれは何に対してだと聞くことさえできず、歯を食いしばって泣くのをこらえた。
それを察したように宮辺は俺の頬に手を当ててもう一度「ありがとう」と言った。
それから俺は何かに取り憑かれたように宮辺を抱いた。

宮辺の体に忘れられないように俺の痕跡を残したかった。
明日の今頃にはもう宮辺はこの世にいないというのに。


「宮辺さん…許してください…」
出撃した日、俺は発動機の不調のせいで宮辺を見失った。
最後まで守り抜くと誓った、それなのに…俺は何のためにここに存在している?
宮辺をあちらの世界へと誘った敵国を、軍を、この国を、そして自分を呪った。
チョクエイ任務から帰還してからは、自動的に生きていた…いや、正確には生きていなかったのかもしれない。
俺もあの日、宮辺と一緒に彼岸へと旅立っていたのだ。

終戦後、俺は絵に描いたような自暴自棄の生活を送っていた。
特に身よりもなかった俺は町でチンピラとつまらないことでもめて、ここでこのまま死んでもいいと思ったが、
その町を仕切っている組の親分に拾われた。
その組と敵対している組を偵察する役目を仰せつかった俺は、ある日、見覚えある顔の女が敵対組織の屋敷に
連れ込まれるのを見た。
最初はどこで見た誰だったのか思い出せなかった。
しかし、ふと脳裏に宮辺の顔がよぎり、その後、宮辺が握り締めていた写真の女の顔を思い出した。
そうだ、あれは宮辺の女房だ。
他人の空似の可能性もないではなかったが、何故か俺は確信していた。あれは宮辺の女房だと。
その瞬間、俺の体は動き出していた。
親分からもらった刀を持って、敵対組織の屋敷へ飛び込んでいった。
今思い返してもあれが自分の意志で動いたと思えない。
何かが俺の中に入り込んで勝手に体を動かしたとしか思えなかった。
死に物狂いで、敵対組織の人間をメッタ斬りにしながら女を救い出すと、
持っていた財布を投げつけて「生きろ」と吐き捨てるように言った。
女は怯えながらも俺の顔をじっと見て何かを言いかけたが、俺が無言で「いけ」と促すと、
一礼して小さい娘を抱いて逃げていった。

あれから60年…

宮辺の孫という男が訪ねてきた。
俺は俺が知っている宮辺のことを話してきかせた。
宮辺の孫にトッコウの搭乗員名簿を渡すと潤んだ瞳で見つめ返してきた。
…宮辺がいる。60年の時を経て、あの時見失ってしまった宮辺が目の前にいる、と思った。
その瞬間またしても体が勝手に動いて、宮辺の孫を抱きしめていた。
温かい肉体を抱きしめていると、確かに宮辺の血が脈々と受け継がれているのを感じた。
ふと我に返ると宮辺の孫は驚いた顔をしてこちらを見ていたので、咄嗟に「若い男が好きでな」と言い訳してみたが、多分、あいつにはバレてるだろう。

宮辺の孫が帰っていった後、雨が降りしきる庭を眺めていた。
ふと、庭木の間に誰かが立っている気がした。
目を凝らして見ていると、そこにあの日の宮辺がいた。
こちらを見て、俺にはついぞ向けられたことがないような微笑みを浮かべていた。
口が「ありがとう」と動いていたように見えた。
俺は裸足のまま庭に飛び出して、宮辺が立っていた木の前にいった。が、宮辺はもういなかった。

宮辺…宮辺さん…あんたは俺に一生逃れられない呪いをかけていったんだな。
そして、あちらの世界であんたに会うまでその呪いがとけることはないのだろう。
だが、それでいい。それが俺の背負った業だからだ。

「いいんだ、陰裏、いいんだ」
また会うことができたなら、そう言って抱きしめてください。宮辺さん。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

代行ありがとうございましたm(_ _)m


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