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Fragile

∞高炉、艦長×黒服弟。艦長視点
たぶん青年編Chapter6付近

※地雷注意※
・エロあり、というかほぼエロとモノローグのみ。お一人様行為ありにつき、苦手な方は回避お願いします
・しょっぱなから女性絡みの回想あり
・地味にストーリーの根幹部分に関わるネタバレあり

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 押し殺した吐息が俺の上で零れた。

 不規則な締め付けに思わず呻く。油断すると飛びそうになる意識をどうにか押しとどめ、その中を抉る。
 そうだ、薄闇の中に浮かぶ白い肌と銀灰色の髪は、あの女性を思い起こさせるのだ。
 俺の手を引いて星の海へと連れ出してくれた——。

 その男は俺の胸に片手をつき、切なげな表情で背中を震わせる。

 いつかこいつもあの人のように、俺の腕をすり抜けてどこかへ消えてしまうのだろうか。
 唐突に脳裏をよぎった根拠のない不安に、心の中で苦笑する。
 救えなかった人。無力だった自分。苦い記憶からの連想を追い払うように、達したばかりの奴をさらに追い詰める。

 上気した頬。きつく寄せられた眉。

 いまここで俺と繋がっている熱い身体は確かに現実だ。
 強請るように動いた腰に応えて下から突き上げてやると、断続的な吐精が腹の上に流れた。脈打つそこに絞り上げられ、一瞬遅れてこちらの視界も眩く弾ける。

 目尻に滲んだ涙。わななく唇。

 身体に残った熱を呼気とともに吐き出す。わずかに冷静さを取り戻した頭に、ふと小さな疑問がすべりこんだ。
 かつてこいつを抱いた誰かも、この表情を知っていたのだろうか。
 つまらない嫉妬だ。
 だが胸の奥のちりちりとした感触に逆らえなかった俺は、まだ息を整えている奴を押さえ込むと首筋に軽く歯を立てた。

 俺はこの男を愛してはいない。愛してはいないが惹かれている。

 俺とダンタールが関係を持っている間、「艦長と中佐はデキてるんだぜ」という噂が冗談の域を越えることはなかった。
 奴がうちのクルーたちに親しみを込めた信頼を得ていたこともあるが、奴自身が意図的に噂を笑い話の範囲に誘導していたことが大きい。
 口さがない連中に面と向かってその噂について問われても、こいつはむきになって否定することもなく「ええ、私はユーリ艦長に惚れ込んでいますから」と平然と笑ってみせた。
 フリーの0Gドッグならともかく、正規軍においては同性間の性交渉への風当たりは強い。無害な信頼関係という方向に周囲の目を逸らし、いざというときは微妙な立場にいる俺に累を及ぼさないために自分ひとりが泥を被るつもりだったのだろう。
 この男が時折見せるこういう頑なさは、俺を不安にさせる。
 こいつは背負わなくてもいいものまでひとりで背負い込んだ挙げ句、いつか笑顔のまま壊れていく、そんな気がするのだ。
 いつの間にか俺にとって艦隊運用においてもそれ以外の面においても代替のきかない存在となっていたこの男は、人当たりのいい態度の裡に決して他者を踏み込ませない部分を持っている。
 ロエンローグほど華やかにはいかないまでも、別に異性に好かれないわけではないこの男の周囲に女の影が全く見えないのは、こうした一面が原因なのだろう。
 女は「拒否」という感情に敏感な生き物だからだ。
 おそらくそれは、奴の中に根を張ったきわめて強固な倫理観に起因している。
 奴は男に抱かれることを受け容れつつも、そういう自分をどこかで許せずにいるのだ。
 その見えない壁を壊したくて、俺はこいつを啼かせようとするのかもしれない。
 壁の中で守られているのは、父親と母親——比翼のつがいとしての男と女——が作り上げた温かい家庭、人として「あるべき」姿の記憶、なのだろう。そのイメージと現状の乖離が奴の心を引き裂いている。
 そんなものに何故拘るのか理解できないのは、俺にはチェルシー以外の家族の記憶がほとんど残っていないせいだろうか。
 だから、俺とチェルシーを除いた全員が俺たちを兄妹として認識しなくなったとき、この男がどうするかは予想できたのだ。

「チェルシーさんと、お幸せに」
 奴は笑って終了を宣言した。

 このことに動揺したのは俺よりもむしろチェルシーだった。
 周囲の認識がどう変化しようが、やはり俺にとってチェルシーは妹で、チェルシーにとって俺は兄なのだ。愛しく思う存在であるのは確かだが、「あなたたちは兄妹ではありませんでした」などと突然言われても、はいそうですかと思考を切り替えられるものではない。
 だが、俺に近づく女には過剰なまでの警戒を見せるチェルシーが、奴と俺の関係について最後まで何も言わなかったことは正直不思議だった。
 知っていたのだろう、と訊くと、チェルシーは泣き笑いのような表情で頷いた。
「女の人は、だめ。女の本能は、ユーリを自分の側に引き留めようとする。ユーリを飛べなくする。私自身もそう。私は、ユーリの翼を奪ってしまうのが怖い。だから私は、彼に託したの」
「勝手だな」
 吐き捨てた俺に、チェルシーは不安げな目を向けた。
「ユーリは、いいの? あの人が側にいないことに、耐えられるの?」
 それは正直、俺自身にもわからなかった。
 だが、追いかけて抱きしめたところで、あの見かけによらず頑固な男が意志を翻すことはない。それは確かだった。

 認知状態の変化が起こる前、ダンタールは俺に言ったことがある。チェルシーはあなたを愛している、と。
「兄妹だぞ」
 周囲からたびたび言われるこれに、またか、と思いながら答えると、奴は曖昧な表情で笑い、こう続けた。
「しかし、彼女を縛っているのは、近すぎる血が混ざり合うことへの本能的な恐怖ではない。もっと何か、別のものだという気がします」

 この先誰かが、この呆れるほどに真摯な男の中に隠された別の顔を知ることになるのだろうか。
 子供じみた独占欲が頭をもたげ、俺は回想の中のその男を組み敷く。
「なんでそんなに元気なんですか」
 そう笑うあいつは、それでも拒むことはない。

 最初のうちは堪えていた声が抑えられなくなってくるあたりで、その表情は変わる。
 この男の表面を幾重にも鎧っていた、生真面目な、誠実な、慎重なヒトの顔は溶け去り、快楽のみを求める柔らかな獣が残る。
 こいつの中には闇がある。狂気を内包した、あたたかく優しい闇。
 その狂気に呼ばれ、こちらの狂気も引きずり出される。
 生殖という人類の本能からすれば全く無意味なはずのこの行為が、どうしてこんなにいいのだろう。
 神経が溶けだしそうな快楽を憑かれたように貪った末、すすり泣きに近い声が余裕を失っていることにようやく気付いて動きを止める。
 焦れたように自ら俺を呑み込もうとする奴の腰を太腿ごと押さえ込み、耳元で囁く。
「何が欲しい?」
 蕩けた瞳が俺を見る。
 たぶん俺は今、とても情けない顔をしているのだろう。
「どうして欲しい?」
 俺はこいつに必要とされていたいのだ。
 弛緩した唇が、もっと、という形に動く。
 望み通りに与えられたその懇願に安堵し、弱い部分を何度も貫く。
 そのまま腿の上に抱えると、より深い結合を求めてくねる腰を引き寄せ揺すり上げる。
 反らされた白い喉に、噛みつくようにくちづける。
 先走りにまみれたペニスが、俺の腹に擦れて糸を引くのが見える。
 限界を訴える唇を塞ぎ、舌を絡める。くぐもった息遣いに、さらに欲望が煽られる。
 熱を帯びた肌が、俺の背に食い込む指が、俺を銜え込み放そうとしないその部分が、俺を翻弄し俺に命じ俺を絡め取る。
 全身から集まってきた熱が出口を求めて暴れ始める。

 背筋を走り抜ける衝動とともに、受け止める者のいない飛沫が宙に弾けた。
 奇妙にゆっくりとシーツに落ちるそれをぼんやり見やる。
 上がった呼吸が整うにつれて、頭が徐々に冷えていく。
 奴が俺から離れることを望むなら、受け容れなければならない。
 情欲にひきずられて、安心して背中を任せられる戦友としての奴まで失うわけにはいかない。
 ——失いたくない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

弟さんが今回も乗っかってるのは、前の話の同じシーンを別視点から、というのをやろうとして挫折した名残。

長々と引っ張って申し訳ありません
あと一本で終わります

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