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罠にかかった話

W巣 田城×耶麻下 酔った勢いでやらかした話。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

家に連れてきたのは、間違いだったかもしれない。隣で 缶ビールを旨そうに飲む耶麻下を見て、田城は思った。
軽いため息をついてから、どうして家に連れてくる羽目 になったのかを、田城は思い返す。

特に大きな事件もなく、定時で上がれた今日。
飲みに行 かないかと耶麻下に誘われ、またいつかのように支払いを こちらに押し付けるのではないかという危惧が頭をもたげ たが、結局田城は同意した。
『なーなーいいじゃん、飲み に行こうぜ』
などと隣で騒ぐ耶麻下がうっとおしかったからだ。
目についた居酒屋に連れ立って入り、適当につまみと酒 を注文して、グダグダと益体もない話を耶麻下はした。
1 係はどうしてあんなにむかつくやつばかりなのかとか、たまたま入ったコンビニの店員がおニャン子クラブの誰だか に似ていただとか、
そんなことばかりを酒が入って滑らか になった口で耶麻下は延々話す。一方的にまくし立てられ る話を、田城は適当に相槌を打ちながら聞いていた。
「なあ、俺、おまえんち行ってみたい」
「はぁ?」
耶麻下が突然そんなことを言い出して、田城はいぶかし げに耶麻下を見る。話の流れも何もあったものではない、 予想外の一言だった。
以前いた署の同僚に関する笑い話を していたはずが、どうして田城の家に行きたいという話に なるのかが、全く分からない。
「なんだよ、急に」
「今日ちゃんと自分の分払うからさぁ」
「お前な……」
田城は無言で、現在の所持金と給料日までの日数を頭の 中で確認する。給料日までまだ日数がある今、二人分の代 金を払うのは少々厳しい。
家に連れて行くぐらいで払うの なら、いいかもしれないなどと、うっかり思ってしまった のだ。

「どうしたんだよ、ため息なんかついて」
缶ビール片手に、耶麻下が田城を覗き込む。短い回想を 終え、お前のせいだと一言文句を付けようとした田城は慌 てて顔をそらす。この目は、危険だ。
「なあ、田城」
耶麻下が田城の名前を呼ぶ。どこかねっとりとしたもの を感じるその声に、田城は耳をふさぎたくなったが、辛うじて堪えた。
ねっとりとした耶麻下の視線と声にさらされ て、強く歯を噛み締めて耐える。 時折、耶麻下からねっとりとした視線を受けることが あった。
ねっとりとした声で、呼ばれることがあった。その視線が、田城には怖い。
押し込めようとして押し込めき れない何かが、その視線で暴き出されてしまうような、そ んな落ち着かない気持ちになる。
あるいはもうとっくに暴かれていて、だからこそこんな視線が注がれるのかもしれない。
ことりと、軽い音がする。缶ビールをテーブルに置いた 耶麻下の腕が、田城の首元に巻き付く。そのまま耳元で囁かれた瞬間、田城の中で何かが崩れ去った。

耶麻下の方を振り返ると、田城は噛み付くようにその唇 を奪う。酒臭い吐息ごと、耶麻下の唇を蹂躙する。
舌を絡 めて思い切り吸い付けば、んっ、という鼻にかかった声が 漏れた。それにひどく興奮して、さらに強く吸い付き、あるいは上あごや舌の付け根などを舐めて突いた。
延々貪ってから、田城は耶麻下の唇を開放する。うっすらと濡れた耶麻下の目は、ねっとりとした何かが浮かんで いたが、今の田城にはそれに対する恐れはなかった。
熱に浮かされたまま、耶麻下の体を押し倒す。再び唇を奪いな がら着衣を奪い取っても、耶麻下は抵抗しなかった。
誘うように腕を背中に回されて、わずかに残った理性も かなぐり捨てて、田城は目の前の男を貪ることに専念した。

目が覚めた耶麻下は、ゆっくりと体を起こして隣を見る。こちらに背を向けて横たわっている田城の姿を認めて、にやっと笑った。
「背中向けなくったっていいじゃん」
こちらに背を向けている男の顔を、耶麻下は覗き見る。 とりあえず眠っているようだが、その額にはしわが寄って いる。そ
のしわの原因は、固い床の上で眠っているからだ けではないだろう。恐らく田城は、耶麻下と体を重ねたこ とを後悔している。

ある日突然、耶麻下は田城に対して欲情してしまうこと に気付いた。今まで生きてきた中で欲情してきたのは当然 女性だったし、付き合っていた相手もみんな女性だったの にも拘らずである。
一体自分はどうしてしまったのだろう かと悶々と悩んだし、今もその答えはわからない。
そしてそのことに気付いたのと前後して、時折田城から注がれる視線が、ねっとりとした熱をはらんだものである ことにも気が付いた。
捜査中にはさすがにないが、署内で 書類を書いている時だとか、くだらない雑談をしている時、それから外回りから戻ってシャワーを浴びている時などに、田城から注がれる視線はねっとりと熱をはらんでいる。
その視線を受けることに、耶麻下は酷く興奮してしまっ た。男にねっとりとした視線を注がれて喜ぶ趣味はなかったはずなのだが、興奮してしまうものは仕方ない。
耶麻下 が田城に対して欲情してしまうのも、この視線のせいなの かもしれなかった。 けれど、田城はそれ以上何のアクションも起こさなかった。
時折ねっとりとした視線を送ってくるほかは、コンビを組んでいる同僚というスタンスを崩さなかったし、耶麻 下が田城に注がれてきたようなねっとりとした視線を注いでみても、気付かないふりをしてなかったことにする。

だから、耶麻下は田城を飲みに誘ったし、彼の家に上が り込んだのだ。アルコールが入れば理性は緩む。いい加減 認めてしまえという気持ちで起こした行動は、まず成功しただろう。
耶麻下は田城が隠していた熱を引きずり出せたし、相手に対する欲も発散することが出来た。もっとも、 田城は正気に戻って後悔したのだろうし、なかったことに しようとするだろうが、それは織り込み済みである。
それが出来ないように退路を断ってやるつもりだった。 時計を見ると時刻は午前四時。まだもうしばらく寝ていても問題ない時間だ。
「こういう関係もありじゃねえの、田城」
しわの寄った寝顔に囁いて、耶麻下は再び横になる。田城の背中にぴったりと寄り添ってから、瞼を閉じた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

  • 死ぬほど萌えました♡ -- 2013-06-29 (土) 23:21:05
  • 萌えたけど、ねっとり多すぎてちとワラタw -- 2013-09-23 (月) 23:15:10

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