Top/67-40

限りある永遠

半ナマ注意。洋画「時間(要英訳)」時間監視局員受け
※エロ・死ネタ・設定捏造注意
※このキャラに関するネタバレがありますので鑑賞予定の方はスルーしてください
連投規制回避のため、どなたかいらしたら支援をお願いします

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

私の『時間』がカウントダウンを始めてからもうすぐ40年が経とうとしている。
25歳の姿のまま、衰えることもなく、老いることもなく。
その頃には既に富裕層とスラム層の居住エリアの区分が完了していたが、
両者が混在するエリアもまだいくつか残っていた。所謂”娼婦街”だ。
豊富な『時間』によりほぼ永遠の命が約束され、道楽の限りを尽くす富裕層の人間を愉しませる為に
スラム層の人間が身体を売り、『時間』を稼ぐ。普通に働いた稼ぎが平均24時間として、
ここでの稼ぎは平均35時間。自らを売り物にしてもその程度しか稼げない。
にも関わらずそこで働く者が減らなかったのは、まだスラム層から抜け出せる可能性が残されていたからだ。
現在では廃止されてしまったが、この頃にはまだ『時間』を貯蓄しておける
個人用のカプセルがあった。スラムの人間が生活していく為には24時間あれば十分だ。
”娼婦街”で働けば生活費の24時間を引いてもまだ10時間近く残る。
そうして生活費を切り詰めて『時間』を貯め、富裕ゾーンで職を手に入れることができれば、
もう『時間切れ』の恐怖に怯えて暮らすことはなくなる――
そういう望みがまだ実現可能な時代だったのだ。
やがて富裕ゾーンにスラム出身の者が増えることを好まない者達
――生まれながらにして富裕層である資産家や名家出身の一族達――が
反対運動を起こし、貯蓄カプセルが廃止されるのと同時にそういった成り上がりが
事実上不可能となってしまった。そうなってしまえば、もはやスラムの人間に希望などない。
自然と働く人間もいなくなり、やがて”娼婦街”は廃れた。そして両者の居住エリアは完全に隔離され、
『タイム・ゾーン』という何重ものゲートが設けられたことによって、
富裕層とスラム層の人間が接触することは禁じられた。もう何十年も前のことだ。
何故今更こんなことを思い出したのだろう。そうだ、あのスラムゾーンからきた青年のせいだ。
彼はひょんなことから莫大な『時間』を手にし、『タイム・ゾーン』を超えてこちらにやってきた。
有り余る『時間』を持つ富裕層の人間は急ぐということをせず、走りもしない。
だから焦ったり走ったりするあの青年は明らかにここでは浮いているのだ。
そんな彼の姿は、私にある特別な感情を思い出させる。
明日をも知れぬ毎日から逃れたくて、死に物狂いで努力したあの日々を。
スラムゾーンから抜け出す為に、何もかもを犠牲にしてきた昔の自分を。

両親は私が25歳を迎えてまもなく亡くなった。姉がいたが、彼女は30歳を迎えることは出来なかった。
家族を喪い失意の底に落ちた私は共同墓地に彼女を弔い、時間の許す限りそこに立っていた。
残りの『時間』は一時間を切ったが、もう気にならなかった。
どうせ必死になって働いても一日を生きるのがやっとだ。夢を持ったところで実現させるための
『時間』がない。何の為に生きているのだろう。生きることがこんなに苦しいなんて。
姉の為に十分過ぎるほどの涙を流した私の眼からはもう何も出てこなかった。
代わりに空から大粒の雨が私の身体を濡らし、心を冷やしていった。
共同墓地から私の家までは一時間あっても辿り着くことはできない。だが、さほど問題ではない。
また街に死体が一つ増えるだけのこと。私を弔ってくれる者がいないのが少し残念ではあるが、それだけだ。
降り頻る雨の中を亡霊のように歩く私を気に留める者はいなかった。
皆自分が今日を生きるのに精一杯なのだから、恨めしいとは思わない。
だがふと、私の上に降るはずの雨が止んだ。やがてそれは傘を差しかけられたからだと気付いた。
顔を地面から正面に向けると、スラムゾーンには不釣合いな格好をした紳士が立っていた。
不必要にしか見えないくらい過剰に付けられたボタンが、その男性が富裕層であることを物語っている。
富裕層の人間は何事にも『時間』をかける。服を着ることにさえも。
「濡れているな。少し雨宿りしていかないか」
そう声を掛けられて、共同墓地がここの”娼婦街”のすぐ近くにあるということを思い出す。
それで気付いた。彼は私を買おうとしているのだ。
富裕層の男性の中には当然女性と快楽に耽るものの、やがては飽きて男性に手を出し始める者がいるという噂は聞いていた。
それがまさか自分に降りかかるとは思っても見なかったが、どうせもう30分くらいしか残っていない身だ。
もうすぐ死ぬのだから今更逃げようという気も起きなかった。
「……連れて行ってくれ」
私は差し出された男性の手を取り、”娼婦街”の中で最も高級なホテルへと向かった。

「客を取ったことはあるか」と聞かれ、私は「ない」と答えた。
それならばと彼は何か薬品を取り出して私に飲ませた。
男性同士の行為の際に、受け入れる側の苦痛を軽減させる為の薬なのだと言った。
それが効果を発揮するまでの時間に彼は私にフェラチオをさせた。初めてだったのでやり方はよくわからなかったが、
自分でする時にはどうやっているかを思い出しながら奉仕した。
口の中に収められた彼のペニスは時折脈打ち、次第にトロトロとした粘液が溢れ出てくる。
自分の涎と一緒に何度か飲み込みながら舌を這わせていくと、突然喉の奥で熱が弾けた。
「んっ!?っ、げほっ!ぅ…」
驚いたのと息苦しさに顔を背ける。男性は私の頬に手を添え、満足げに微笑んだ。
「すまない。あまりに上手だったから我慢できなかった」
「…そう、か……」
そんなはずはないと思ったが、それを主張することに意味もないので黙っていた。
少し零れてしまった精液を手の甲で拭っていると、彼が私の手を掴んで『時間』をチャージしてきた。
「……これは…?」
「愉しんでる途中で『時間切れ』になられては困る」
「あぁ…」
彼の言い分に頷いている間にチャージが終わる。追加されたのは二時間。それだけあれば十分だろう。
裸で床に跪いていた私を抱き起こし、ベッドの上に横たえる。
その上から覆い被さるようにして男性が唇を重ねてきた。あくまでも性的欲求を刺激する為だけのキスだ。
しかし経験豊富と思われる彼のキスは私の身体を蕩けさせるには十分すぎるものだった。
「はっ……ん…っふ」
ベッドに縫い付けられたまま息継ぎも忘れてしまいそうなほどに舌を絡められ、頭の奥が痺れるような感覚に陥る。
その間に彼の掌に身体を弄られ、言いようのない快感に私は身を捩った。
「ぁ、はぁ…っ」
「ようやく身体が温まってきたな…さっきは本当に冷え切っていたから」
彼は獣のように笑ってみせ、私の乳首を口に含んだ。音を立てて吸い付き、
硬くなってくると軽く歯を立てる。じんじんと疼くような痛みと熱に思わず呻き声が漏れた。
私の身体が完全にベッドに沈み込んでいることに気付くと男性は手を背中の方に回してきた。
そのまま下へと滑らせ、いつの間にかひくつき始めていたアヌスに中指を押し込まれる。
「っうぁ!?」
そこは解された覚えもないのに簡単に彼の指を受け入れてしまった。
これが先程飲まされた薬の効果なのだろうと結論付けるのに少し時間がかかった。
「…ん…っ、あ、あぁっ…」
「少し冷たいが我慢しろよ」
「え…?は、あっ!うぅ…っ!!」
何のことか理解する前に指の隙間から何かを中に注入された。
その後に指が三本入ってきたことから考えると潤滑剤だったようだ。
その指は何の障害もなく私の中を奥へと進み、それに伴って聞こえてくる卑猥な音が聴覚をも犯してくる。
「ふぅっ…、んっ!っはぁ、あ…!」
「なかなか感度が良いな…あの薬には催淫成分は入ってないんだが」
感心したような、驚いたような口振りで彼は言う。ではこの狂いそうな程に
私を苛む熱は何なのか。尋ねようにも、私の口からは喘ぎしか出てこない。
だが訊くまでもなく彼が答えを独り言ちた。
「やはりスラムの人間には『時間』がないからか」
『時間』――その言葉が唐突に私の思考の中に突き刺さる。
『時間』を持たないスラムの人間は、食事も睡眠も――セックスですら十分に享受することなどできない。
だから短時間で満足する為に感覚が過敏になっていると、彼は判断したのだろう。事実それは正しい。
この男性は、こんな私を惨めだと思っているだろうか。少なくとも慈しむつもりがないのは判る。
だが、私にも彼を恨んだり憎んだりするような感情は湧いてこなかった。何も浮かばなかった。
富裕層に『時間』がありスラム層に『時間』がないのは、もはや自然の摂理と化した。
数時間後に彼がホテルを出で行き、『時間切れ』となった私の死体が残されるのは仕方の無いことなのだ。
『時間』は今も昔も何ら変わることなく流れている。
厳然たる正確さで時を刻み、慈悲も容赦もなくリミットを突きつける。
富裕層にいればそのリミットを限りなく先延ばしにすることができ、スラム層にいればそれは常に背後を付きまとう。
そういう社会になってしまったのだから、もうどうしようもない。
「こんな世界はおかしい、不公平だ」と叫んで民衆が革命を起こす時期はとうに過ぎた。
人間が『時間』を通貨として利用出来るようにまで進化したとしても、過ぎた『時間』を巻き戻すことは出来ない。
これから先の未来を向いて生きていくしかないのだ。
「……ぅっ、あぁっ!!」
突然の圧迫感に驚いて悲鳴を上げると、いつの間にかうつ伏せにされていたことに気付く。
一瞬混乱しかけたが続いて与えられた衝撃で挿入されていることを知った。
「ぐっ!!ふ――ぅあ!はっ…!」
「っ…さすがにキツいな……でも痛くはないだろ?」
「あ!う、うっ…っく、はぁっ!」
腰だけを上げた状態の私の脚を開かせ、臀部の肉を割り開くようにして奥深くを抉る。
彼のペニスが内壁を擦る度に電気が走るような強い快感を生じさせる箇所があった。
彼はその存在を経験から知っていたようで、私の反応を見ながらそこを何度も突き上げてきた。
「っひぃ、あぁっ!!あ、や、嫌…っ!!」
「嫌か。止めたい?」
「ちが…!も、出る……イくっ…!!」
私は自分でも驚くような言葉を口にしながらシーツを握り締めて律動を受け止める。
こんな風に快楽を与えられたことはなく、信じられない程の熱を持った身体が自分のものではないような気さえしてきた。
だが死ぬ前に体験するのが苦痛ではないということに少し安堵もしていた。
『時間切れ』になった者は、心臓が破裂でもしたのかと疑う程の衝撃を受けて息絶える。
私も同じように最期を迎えるのだろうが、こうしていれば腕に刻まれたボディ・クロックが
無情にその時を知らせるのを見なくて済む。迫り来る絶望から眼を逸らしていられる。
「はっ、はっ、あ、あっ!ぅあぁっ!!」
「イくのか…?いいぞ、全部出してしまえ…!」
でももし、何かが間違って私が数時間後無事に目覚めることが出来たなら、私はもう二度とスラムには戻らない。
この”娼婦街”でも、他のどこかでもいい。蔑まれようと唾を吐きかけられようと、傷付けられようとも構わない。
何が何でも働いて『時間』を稼いで、貯めて、『タイム・ゾーン』を超えてやる。
「あっ、イく、イっ……はぁっ!!」
そして『時間』に忠誠を誓おう。『時間』は何をも裏切らない。
『時間』があるべき姿を保っていられるようにこの身の全てを捧げよう。
例えその”あるべき姿”が既に歪んでいたとしても。
「―――――っっ…!!」
激しく腰を打ち付けられ、内側を蹂躙される想像を絶する感覚に息が出来なくなりそうだった。
やがて五官の機能が麻痺したような錯覚に陥り何もかもが真っ白になった瞬間、
頭の奥が焼き切れるような衝撃と共に私は絶頂を迎えた。

そして今、わたしはかの青年の前に銃を掲げて立っている。
富裕層の女性を人質にとって逃亡を続ける彼をようやく追い詰めたのだ。
青年は私の正体を見抜いていた。身体に染み付いた習性のせいで富裕層の人間とは
異なる行動を取る私に、どこか通ずるものを感じ取っていたのだろう。
彼に起きた悲劇や苦悩、そうして持つに至った信念は私にも理解出来る。
私もかつて経験したことだ。だが導き出した答えは違った。
私は全ての間違いを無視することを選び、彼は――彼女と共に――全ての間違いを正すことを選んだ。
彼の強さが私にもあれば何かが変わっていただろうか。
もしかしたらこうして相対するのではなく、共に戦っていたかもしれない。
起きなかったことに思案を巡らせても何の意味もないと解っている。
だが出来ることなら、彼には死んで欲しくないと思っていることもまた事実だった。
「身体が元気でも、心が消耗してしまう」――とある富裕層の人間がこう漏らしたという。
私が『時間』を監視し守ったとしても、それをいつしか望まなくなるようになる者もいるということか。
私の心もその段階に近付きつつあるのかもしれない。
その時私はあることに気が付いた。その『時間』が、私にはもういくらも残されていないことに。
「『時間』……」
既に後悔したり嘆いたりする猶予はなかった。あったとしても、私はどちらも感じなかっただろう。
「がっ…!!」
全身を強打されたような激痛が走り、次いで心臓が止まり、私は背中から地面に倒れた。
左腕に刻まれていたボディ・クロックは緑の光を失い、ただの刺青となってその役目を終えた。
今や亡骸と化した私を見て、青年は何を感じているのだろう。優越感か、憐憫か…それとも虚しさか。
私は無念さも悔しさも感じてはいなかった。達成感も満足感も、何も。
『時間』は何をも裏切らない。厳然たる正確さで時を刻み、慈悲も容赦もなくリミットを突きつける。
その順番が少し遅れて私に回ってきた――それだけのことだ。
私の『時間』はこれで尽きた。後はせめて、あの青年の『時間』が早々に尽きてしまわないことを願おう。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

>>43さん>>47さん支援ありがとうございました
しかし連投規制は支援があっても時間経たないと駄目なんでしょうか?
支援入っても投稿できなかったorz


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP