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どうしようもない二人

以前スレに投下した売る振るず/しゃっきんだいおうの歌詞に萌えて
インスパイアされた二次?BL妄想続き

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

喧嘩をした。
相手は人にたかることしか考えていない、顔だけはいいダメ男。
金にも女にもだらしないろくでなし。
俺にとっては忌ま忌ましいことに、幼なじみ兼悪友兼秘かに想う奴でもある。

事の発端はあいつが俺の部屋を訪れたとき、間の悪いことに俺が野郎との乳繰り合いの真っ最中だったことにある。
ああ、そう、あいつ以外とやってたわけよ、俺。
俺も男ですからね。持て余すこともそりゃあるというか。
特に昔はまだ健気だったもので、あいつを忘れるために他の男に身を投げ出してみたり、罪悪感で胸を痛めてみたり。
相手と揉めて殴られたこともあったっけな。
ああ阿呆らしい。
とても不毛な青春時代を過ごした気がする。
――話が逸れた。
とにかく、ひとりでマス掻くよりもできれば相手がいるほうがいい。
好きな人としかしたくないの、なんて言える清い身体でもない(言っても気持ち悪いだけだ)。
まして好きな奴とするなどとんでもない。
ならば答えはひとつ。
そういうわけで、セクシャリティの一致する気の合うお友達と事に及んでいた訳だ。
そこへまさかの奴登場。
「やあやあこんばんは今夜はいい夜だねぇ。ところで相談あんだけどさー……って何してんの」
ベッドを軋ませていた俺達は動きを止めた。当然奴も固まった。
やばい、何か言わねば。
が、俺がフォローを口にするより早く、奴は俺に覆いかぶさっていた男を引っつかむと、荷物共々外に叩き出した。
制止する間もない早業。
俺が通行人Aならブラボーと拍手していたね。
しかし当事者なものでそんなわけにもいかない。
鍵閉めてたのにどうやって入ったとか、人の客に何しやがるとか、そんな文句をぶちまけてやろうとして、止まった。

じっと俺を見つめる視線。ヘラヘラ笑いが常の無精髭の生えた顔は全くの無表情だった。
「あれ誰?」
「友達だよ」
「お前友達とセックスすんの」
俺の性癖について話したことはない。
おまけにこっちは汗やら何やらくっついた裸に慌てて履いたジーンズ一丁。
最初こそたじろいだが、その段になると不思議と俺の腹は据わっていた。やけっぱちってやつだ。
「ああそうだよセフレってやつだよ」
言った途端、奴は眉を寄せた。
「くだらねー」
「はぁ?」
そこでまずムカッ腹が立った。奴の声に紛れもない非難の色を感じたからだ。
「どういう意味だよ」
「あんなことすんなよ。しかもあんな野郎と」
理解できない、と実に苛立たしげに吐き捨てやがった。
この野郎、頭にきてんのはこっちだぞ。
やってるとこに乱入するわ相手を追い出すわの挙げ句にわけのわからん説教かよ。
二十過ぎた男がなんで性欲処理もせずいられる。人恋しくなるときだってあるんだよ。
大体自分は女取っ替え引っ替えのくせにどの口が言うか。
俺がどんな気持ちでそれを見ていたかわかりもしないくせに。
考えるほどにムカムカしてきた俺は、気がつけば思いきり奴をぶん殴っていた。
「お前には言われたくねえんだよ!」
「何も殴るこたねーじゃねーか!」
「うるせえ! こんなことしてんのは誰のせいだと思ってる!」

そこまで口走って、ハッとした。しまった。
案の定、奴は訝しげな顔を隠しもしなかった。
「誰のせいだっての」
聞かれても答えられなかった。
でもきっと、ただ奴の顔を見返す、それだけで誰のことかなんてバレバレだろう。
が、奴はふいっと目を逸らした。不機嫌そうなまま。
「何それ。意味わかんねー」
そう平然と口にしやがったのだ。
その後は無言で部屋から叩き出してやった。
ドアを叩かれても名前を呼ばれても、ドアに背を預け決して開けなかった。
長い付き合いでわかった。あの顔は嘘をついていない。本当に、心の底から意味がわからないと言った。
あのろくでなしはとんでもないタラシのすけこましのくせに、自分が俺に惚れられているとはこれっぽっちも考えていないんだ。
阿呆か。惚れてもいないのに、どうしてお前と十年以上付き合っていられると思ってるんだ。
金せびりに来るわ女との揉め事押し付けてくるわのダメ男だぞ。
普通はとっくに縁を切ってるっての。
だがそんなことを説明する勇気もなく、俺はその日、まんじりともせず夜を明かした。

あれから早一ヶ月。奴からの音沙汰はとんとない。最長記録だ。
奴に叩き出された友人には後日改めて謝罪と説明をした。
前から俺の愚痴相談役でもある彼は、あれは大変だななんて苦笑しながら許してくれた。何といういい人。
奴もあの人の爪の垢を煎じて飲みゃいいんだ。
なんてことを考えていた休日の早朝、奴がひょっこり姿を現した。
「どもども。元気?」
ケンカ別れの名残なぞ微塵もないヘラヘラ笑いにラフな恰好は相変わらずだが、なぜか無精髭がなく髪もすっきりと切って整えられている。
これはあれだな、新しい女引っ掛けてたな。
元々見た目は悪くないので、ろくでなしオーラさえ出さなければこいつに引っ掛かる女は山のようにいる。
その中からダメ男を放っておけない女を選別するのが、この男、異常にうまい。
つらつらと考えながらつまみ出すべきか否か悩んでいると、奴はずかずか上がり込み、俺に向き直ると正座した。
「お納めください」
すっと差し出されたのは百貨店の包装紙に包まれた箱。開けると某有名和菓子店の饅頭だった。
こんなふうにこいつは時折俺に物を寄越す。
金は一向に返さないし、物を買う金の出所もどうせこいつじゃない。
それでも、他でもないこいつが俺に持ってくるのだと思うと嬉しくなってしまうのだ。
ああ阿呆らしい、なんてため息を吐きながら一個頬張る。
「うまい?」
頷いた。こいつは気に食わないが食い物に罪はない。
が、やはり一言言っておきたかった。
「お前女にたかるの程々にしとけよ。どうせあっちこっちに手ぇ出してんだろ」
いくら立ち回りがうまく相手を見る目があるとは言え、何事にも例外はある。
別れ話がこじれて一発ひっぱたかれるのはいいほうで、一度など相手が刃物を持ち出したこともあった。
こいつが死んだら泣くだろうな、悔しいな。
俺がそんな気持ちでいるとも知らず、奴はアッサリ爆弾発言をかました。
「いやそれ俺が買った」
「……は?」

聞き間違いか。幻聴か。すわ白昼夢か。
大袈裟だと笑う向きもあろう。
だが相手はこいつだ。
煙草一本でも人の箱からちょろまかし、めずらしく缶ジュースを買っているかと思えば道で拾った小銭でという男だ。
それが、札が必要になる菓子折りを買った?
「金はどうしたんだよ」
「バイト決まった。で、初給料でこれ買った」
「はっ?」
「これ名札と制服と給与明細」
ぽんぽんと投げ寄越されたそれらは某有名コンビニエンスストアのもので、奴お得意のなんちゃって模造品でもない。
おまけ、と額を叩いたのは職業安定所の登録カード。
「しばらくバイトしながら就職活動する」
青天の霹靂とはこのことか。
「偉いだろ」
いや偉いも偉くないも世の中の人間は皆そうやって食ってんだけど。などとは言えない。
もはや声も出ない俺に、奴はふんぞり返ると指を突き付けてきた。
「だからお前あの男と会うのやめろ」
「あ?」
だから、がどこに繋がるのかと顔をしかめると、奴は苛立たしげに、あいつだよ、と繰り返した。
「この間ヤッてた男。っつーかもうああいうのヤるな」
唖然とした。
この男は自分の身の振り方が決まった、ただそれだけで俺の性生活にも干渉できると思っている。
何たる傲慢。
というか俺は不特定多数とはやってねえぞ。あいつはセフレ以前に趣味の合う友達でもあるし。

「あのさあ、俺、こう見えて昔からモテるのね」
ああよーく知っているとも、他の誰より知っているとも。
「なもんでさあ、誰かが俺にそーいう気持ち持ってたらピンとくるのね」
ああそう、そりゃあ都合のよろしいことで。
ところでお前、なんでそんなにじり寄って来るんだよ。
いや別にいまさらこんな接近で動揺しないけどさ。
って顔を覗き込むな赤くなる!
「お前さ、そろそろ認めちまえよ。あんなつまんないので紛らわすとか意味わかんないんだけど」
は? と本日何度目か知れない間抜けな声は、奴に腕を引っ張られてすぐに飲み込む羽目になった。
口が塞がれている。後頭部を掴まれている。見開いた目の先には奴の無駄に端正なドアップ。
息苦しくなって喘いだ口中にぬるりと侵入し、縦横無尽に動くこれは、もしや舌か。
離れようともがいてみても、頭と腰をがっちりホールドされて動けない。
むしろその手が不穏な動きで俺の身体をまさぐりはじめた。
何だこれ。何だこれ何だこれ。
やっとのことで解放されたとき、唇は痺れて感覚がなくなり、俺は息も絶え絶えにへたり込んでいた。不覚。
同じく呼吸を乱しながら、奴はにやりと口角を上げた。
「ざまあみろ」
なんだよそのガラの悪い笑みは。どのざまを見ろってんだ。
などとそのときの俺に言えるはずもなかった。
できたのは、悠々と部屋を出ていく奴の後ろ姿を見送るだけ。
混乱しきった頭を抱えて俺は床に突っ伏した。

その後、続きはまた今度、と書かれたメモを見つけ、部屋に入れたのは無断で合い鍵をちょろまかしていたからだと知った俺の怒りが爆発するまで、数十分の時を要したのだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

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支援ありがとうございました

  • のわあああ大変萌えましたGJです!!! -- 2011-10-24 (月) 01:36:05

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