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初めての体験

半生注意
「妖怪人間ベ.ム」夏.目←ベ.ム
ぬるいけど示威行為メインなので設定はちょー適当です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

乗り上げたような体勢になれば、当然ながら体の下にあの人の温もりがあり、そこから体

中へと熱が広がった。
かつてなかった、ありえないほどの熱さに、全身が細かく震えてしまっている気がした。

もちろん人間であるあの人の体がそれほどに熱いはずもない。触れているという事実こそ

が、あまりにも熱すぎたのだ。

あの日から、時々こういった夜が訪れる。
その場合の常であるように、今日も自らの腕で体を抱えてやり過ごそうと試みた。幻に過

ぎない熱さを思い出しては震えてしまう体を疎ましく思う。
大丈夫だ、何とかなるはずだと強く目を閉じるが、昼に見た笑顔が閉ざした瞼の裏を過ぎ

った瞬間に耐えることができなくなった。
彼女たちに気付かれぬよう、静かに棲み家を抜け出し、隣県まで駆けた。
山の中腹にあった、既に使われなくなったらしき物置小屋へと忍び込む。

今まで知識にはあったが感じることなどなかった身が疼き始めている。
服を脱ぎ、剥き出しの土床へ敷いた上で膝を付いた。
熱を持つ下腹部へと恐る恐る触れてみる。瞬間、ビクリと震え、痺れのような感覚が抜け

ていくのを息を吐いて耐えた。
背を丸め、足の間から手を伸ばし、奥にある排泄口にも触れてみた。
人とは違う長きを生きてきたのだ。禁忌だという同性同士の行為がどういうものなのか、

知らないわけでもなかった。
脳裏に描いた、照れたような笑顔が体を更に熱くさせる。
想像一つで疼く体は、受け入れてもらいたいと望むゆえなのか、受け入れたいとの思いか

らなのか。それすらもわからない。
ただ想像であっても、あの人へ苦痛を与えたくはなかったから。
指を少しずつ沈めていく。深さに比例するように吐き気が込み上げてくる。引き連れたよ

うな痛みがある。
それが、反転する。

『ベ.ムさん』
「ぁっ……ん…、ふ……」

頭の中で笑顔のあの人が自分の名前を呼ぶ。それだけで、吐き気は熱への飢餓に、痛みはもっとと望む痺れに。
動かした指が、触れるこの手が、もし彼のものだったらと思うだけで、ぞくぞくとした感

覚が信じられないほどに増幅し、身体を駆け抜けていく。
これが、人と人とが交わっておこるという快楽なのか。痛みを伴う神聖な行為を助けるた

めの感覚を、それさえも自分は穢れに堕としてしまう。頭の中であの優しい人を穢して、

己はそうやって快楽を貪るのか。
ああ、やはり、自分は人間ではないのだ。だから、こんな酷いことができるのだ。

『自分は人間ではない。』

自らでおこす快楽に身を委ねながら、わかりきったことを、繰り返し言い聞かせる。
醜い妖怪の体を望むものなどいるはずがない。どれほど優しい人間であったとて、この鱗

の浮いた緑の肌に触れたいなどと思うものか。
だから、わかりきったことを、繰り返し繰り返し心に刻み込む。そこから見えない血を流

そうとも、どれほど頬を濡らそうとも、決して忘れてはならない。夢を見てはならないの

だ。自分は人間ではないのだから。
あの穢れのない優しい目が嫌悪と恐怖に歪もうとも、この心が傷付いたりしないように。

自分が傷付いたのだと表に出してしまわないように。
たとえ醜く恐ろしい姿のバケモノであったとしても、あの人は自分が傷付けたと思えば後

悔してしまいそうだから、拒絶は当然のことだと弁えていなくてはいけないのだ。

溢れるものは涙ばかりで、次第に快楽も消えていく。今はもう悲しみしか感じなくなって

しまった。
手を離し、指を抜く。背を起こせば、闇の中でも服に落ちた汗や唾液がわかる。そこに土が混ざり合い、こびりついている。
土の匂いと、錆びた金物の匂いと、腐った木の匂いの中で、呆けたように座り込んだ。
汚れた指と、汚れた服とを目の前に、どうやって戻ろうかと途方に暮れる。

「はは……」

少し、可笑しくなった。誰にも知られないように、隠れて一人でこんなことをしている。
この惨めさが、身の程知らずにもあの人を思う愚かな自分に相応しい。

だから、笑いながら、涙が流れるに任せて泣いた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

たぶんこのあとベ.ムのあとをつけて全て覗き見てたベ.ロに呼ばれた姐さんがくる。
蒼白になって姐さんのマントを借りて帰るがいいと思う。不幸萌え。

スペースありがとうございました。


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