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異邦の日頃

オリジナル異世界(古代?神話時代?風)ファンタジー キス止まり
・>>1-9読了、初投稿です
・キャラ命名は思いつきなので既存キャラと被っている可能性もあります
・シーン切り取りで本筋は特にないです
※男×男ですが女体験済みという補足的描写があります。地雷注意。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

青い布張りの上等な椅子に背もたれ腰掛けたホーンの膝先まで擦り寄り見上げれば、
彫像のように整った怜悧な面立ちが、ドラグルの遠慮ない視線を受けてふっと揺らぎ、目線を逸らした。
魂胆のない、他愛ない好意に対して彼(ホーン)は寛容であり、それを好み愛でる風情すら普段は漂わせている。
「女子供は善い」と目を細めて呟き花摘みの踊り子たちを眺めていたホーンをドラグルは知っている。
異民族の兵であったドラグルの処刑を望む強行派の司祭たちからドラグルの処遇権利を実質的に購い配下に置いた理由は、「土と緑の匂いがする」――。
ドラグルが彼自身から聞いた言葉はそれだけであった。
存外、彼は進歩的な文明権威主義の隆盛と謳歌に懐疑的であり、その点で同族から浮いた存在であると言えよう。
しかし彼の王からの寵愛は、彼を決して表立って厚遇せず階級を上げないことによって
妬み僻みの謗りから庇護しようとするまでに強く、それがまた癪に触る鼻つまみ者がくだらない事ばかり思いつく。

「奴さんに犯された貴族の子女が言うには二股に分かれていて両方の穴に入れられちまったって話だ」

ホーンの配下、つまりドラグルの今の同僚から聞かされた話であり、彼はホーンを敬愛するがゆえに噂を嗤ったに過ぎないが、
実際はおてんばの過ぎた名家の令嬢が藪の中で怪我をしていたところ、ホーンとドラグルが発見して手当を施し家に送っただけであったと説明した。
ホーンはともかく泣いて軽率を詫びていたあのお嬢さんに不名誉な噂はドラグル自身許せない、当然ホーンも不快であろう。

だが余計な弁明だったかもしれぬ、と気付いたドラグルはホーンにそれを打ち明けていない。

跪かれることには慣れているホーンだが、ドラグルが下男のように膝をついて自分を見上げていると落ち着かない。
所在ないとはこのことか、と自覚するほど心乱れ、目を合わせているのがつらくなる。
邪な視線であれば無論目を逸らすわけもなく、また召使や奉公人が粗相を気にして顔色を窺う際には適切な言葉が出るというのに。

善い男には違いない。

弱い者には迷わず手を貸してやる優しさを持ち、また勇気を躊躇いなく力に換える果敢さを併せ持つ。
「蛮族」と彼を蔑む者もいるが、悪辣な思惑によって焼かれてしまうには惜しい男だ――と思ったので彼の身柄を買った。
彼は宮廷の権威者や学者たち、それらに媚び諂うあさましい乞食どもには疎まれ、時には酷い偏見混じりの陰口を耳にすることもある。
だが彼の才気や人柄に惹かれる者は多い。
市井の商人・技工師・農民、とりわけ女子供や老人に好かれやすく、また気さくで面倒見のよいところが配下の兵卒にも好ましく受け止められている。
善いものを手に入れた、と満足しているのは確かだ。
しかしこの男はよくあるように反射的に傅いて膝をつくわけでもなければ、某かの魂胆や目論見があって膝をつくわけでもない。
「どうした?そんなに目をそらして頬を染めているとまるで粉屋の娘のようだ」
からかうように言うが、粉屋の娘は今、出入りの商人の若者が気になって仕方がない様子だと周りの者らは大っぴらに言わずにいることを。
「あんな愛らしい顔はしていない」
思わず顔を背けて言い捨てると、すっくと立ち上がった青年に両手で顔を挟み込むように掴まれ、上向かせられた。
「そうだな、あの娘はそんな綺麗な顔立ちではない。しかし険が消えればお前も相応に可愛らしい顔になるぞ?」

よく恥ずかしげもなくそんなことを…!と気が昂り睨みつければドラグルはそれが合図であるかのように顔を近づけホーンの口を塞ぐ。
拒否するためにドラグルの面に触れたホーンの指先が、彫りの深い顔立ちをなぞり、滑らかな肌をいとおしむだけに終わってしまうのはいつものこと。

ホーンは叔父から与えられた女に寝屋の中ですることを教わった。
少年はどうか?と問われた時、「興味がない」と答えたらそれ以上薦められはしなかった。
ホーンに善からぬ行いを振る舞おうとした者の玉は容赦なく蹴り上げた。

しかしドラグルのやり方はホーンが知るそれとはまったく違っていたので、うっかりホーンは組み敷かれてしまったのだ。
初めて身体の中を侵されて、今まで味わったことのない衝撃と歓喜にうち震えたホーンの身体はすっかりドラグルに馴染んでしまった。
身体だけではなく、背後にドラグルの気配があるだけで、ホーンは安堵と、そして血肉湧き踊る興奮を得られるようになった。

量感のある舌を口の中に受け入れながら、自身もドラグルの口腔に侵入して唾液を絡め取ろうとするホーンの舌と、
それをあやすように転がしながら要求に応じるドラグルの舌がすり合わされ、ぬめりが滴り始めれば飲み下そうとホーンの喉が切なげに喘ぐ。
子供のように素直に物欲しがるホーンがいじらしくてドラグルはいつまでもこうしていたいとすら願ってしまうが求める行為はそこで終わらない。
そっと口を離すとすっかり朦朧とした表情のホーンの熱い息が頬を撫でる。
氷のように硬質な色の睫毛の隙間から、澄み切った湖水によく似た深さをたたえる瞳が覗けば潤みが煌めき光を放つ。
父母弟妹に見せてやりたかったものがここにある。
普段は口にしない、故国の祈りの言葉を呟きながらもう一度口を塞ぐと、背後に回ったホーンの腕に強く抱き寄せられた。

ホーンと出会い、ホーンが引き寄せてくれなければ処刑を免れたとて異郷に置かれて身も心も荒んで希望や活力は失せていたかもしれない。

寝台へ向かうために椅子に腰かけたままのホーンの手を取ると、拗ねたように俯いた様子が可笑しくて軽い笑いが漏れた。
それを侮りと受け取ったのか、憤然と立ち上がってドラグルの腕を掴み歩き出したホーンに引きずられ、よくよく人を引き寄せる男だとまた笑ってしまった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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