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赤ペン先生と僕

赤ペン先生!句読点をお忘れですよ!
つ。。

ついでに埋め。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマス!
「日本語が崩壊しています。それに、読者を引きつける工夫が足りませんね」
眼鏡の細いブリッジを右手中指で押し上げながら、冷ややかな眼差しをレンズ越しから頂戴する。
「どこら辺が悪いんでしょうか?」
狭い教卓を挟んで、たった一人の放課後の授業。
二人きりで向き合うには、教室はあまりに広すぎる。
赤ペン先生が文字通り赤ペンを取り出し、400字詰め原稿用紙にサラサラと淀みなく色を足す。
白い原稿用紙の上を縦横無尽に赤が走る。
繊細な文字を書き出す、赤ペン先生の指は綺麗だ。
「まずは、起承転結の起。恋愛短編には長すぎます。ファンタジーやら、時代物なら背景の説明は必要でしょうが、現代ですから一々日常の説明など不要でしょうね」
原稿用紙の最初の頁。半分近くが赤で消されていく。
まぁ納得。
一つ頷いて先を促す。
「次に承。ここで始まるのは、…主人公の恋愛対象者が…その、男性に見えるが、主人公は女性だろうか?短編ですから、読者に迷いを与えるのはよくありません」
「男です。どちらも。だってこれ、小説じゃなくて私小説ですから」
赤ペン先生がギョッとした目でこちらを見る。
目が合えば、視線を逸らして口ごもる。
そんな様子につい唇の端があがる。
「好きです。酷評しか貰えなくても、斜め読みされても、いつも見てくれるアナタが好きです。だってアナタだけが、僕の読者で、アナタが見てくれる事が僕の喜びですから」
先生、顔赤いよ?
先生の指が震えた文字を原稿用紙に書く。
20点。
ちょっと吹く。
「脱赤点まで付き合って下さい」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンガオオクリシマシタ。

書き忘れてました。
赤ペン先生怖いよ、赤ペン先生。

  • あなたが小説家になるの待ってます -- 金沢八景? 2011-06-18 (土) 23:40:06

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