BECK 南×平
更新日: 2011-06-13 (月) 07:57:44
専スレで盛り上がったので投下します
今更なカンジですが別句原作6弦×4弦です
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「平くん、最近ピアスしてないよね」
「んー?」
たまり場になっているおれの部屋で、テレビに向かってコントローラを操作している平くんの背中を見つめながら声をかけた。
目線を彼の右耳に注いで。
右手にスコッチウイスキーの瓶。左手に氷の入ったグラス。
背中を向けたままの平くんはおれを振り返りもしないで生返事。ゲームに集中してんのかな?
彼の右側に腰を下ろして、胡坐をかいて、床に置いたグラスにスコッチを注ぐ。
ちらりと平くんがおれのほうを意識した気配。途端画面からクラッシュ音。
「あー」
「いっつもここでやられるんだよな」
「へー」
コントローラを放り出した平くんがやっとこちらを向いた。
「さっき、なんか言ってなかったか?」
「ああ」
おれはグラスの中身を呷って空にすると、それを床において平くんの肩に手を回した。
一瞬戸惑うみたいな目の色に、なんとも言えない独占欲みたいのがこみ上げてくる。
思わずこぼれる笑みを隠すみたいに平くんの耳元に口を近づけて言った。
「ピアスしてねーなって」
「……なくしたんだ」
「新しいのすればいいじゃん」
「気に入った奴がなかなか見つからないんだよ」
おれの手から逃れるように平くんは距離をとって座りなおす。
それから空になったおれのグラスにスコッチを注ぎ、それを口にした。
ちょっとむせるみたいに咳き込んで、なんか慌ててる風情が見て取れる。
おれの腕がまた平くんの体に伸びて、抵抗で固くなる体を無理矢理引き寄せて、背中側から羽交い絞めに。
睨みあげられても全然怖くなくて、むしろやっぱりかわいいななんて思っておれは舌先で平くんの右耳を舐めた。
「なにしてる」
「んー?」
結構筋肉質で男っぽい体してるくせに、こうやって抱きしめたらおれの腕の中すっぽりサイズとかたまんねぇ。
夢中でおれは耳にキスして。
そのたび跳ね上がる平くんの体を逃げられないように抱きしめた。
……でもそんな風に捕まえてなくても、おれがキスするたびになんとなく従順になってくのが分かる。
こういうとこも、なんかいい。
ちょっとアルコールも入ってるし。
おれはだんだん大胆になって後ろから平くんのシャツの中に手を突っ込んだ。
そしたら流石にやめろって目でおれを見たんだけど、
さっきみたいにピアスの方の耳を舐めてたらおとなしくおれに体を預けてくるし。
こらえるみたいに声を押し殺してるのも分かる。
「ここ、弱いよね」
「……っ」
「まだちゃんと穴開いてるんだ」
おれの腕にしがみつく平くんが、こらえ切れないみたいに声を漏らす。
「ぅ……あっ」
「気持ちいいんだ」
本気で嬉しくなってきて、思わず歌うみたいな口調になってしまう。
抵抗されないうちに前から抱えなおして、押し倒して耳朶を軽く噛んだ。
「……ん、あ」
柔らかい部分を楽しむみたいに唇でもてあそんで、そして舌で強く舐める。
その感触にこっちも気持ちよくなってくる。
平くんが抗議の目で睨む。
鋭い視線のくせになんだか潤んでて、そんな目で見たって全然怖くないよなーって思った。
至近距離で感じる平くんの息遣いは余裕がないみたいに思えて、
それが余計な考えや理性はすべて取っ払ってしまえって、
脳内を支配する欲だけを追い求めていけって言われてる気がしてくる。
「りゅう……すけ」
「ん?」
おれにすがりつくみたいに腕を回した平くんが、やっと聞こえるくらいの小さい声で呼ぶ。
「なに?」
問いかけるおれに、平くんはさっきと変わらず鋭い視線を向けたまま。
「ん?」
もう一回口を開きかけた瞬間、平くんはおれを強く引き寄せてキスしてきた。
ダイレクトに口ん中に舌突っ込まれてかき回されて、その途端おれの中でちょっとだけ残ってた理性がどっか行ってしまった。
畳の上に抱き合ったまま転がって、下になった平くんをそこに貼り付けておれは夢中で舌で応戦した。
さっきお互い飲んだアルコール混じりの息が脳髄を麻痺させる。
熱い口内の温度。平くんのおれをその気にさせる舌使い。
分かってたけどおれは到底この人にはかなわない。
下から突き上げながら、おれは自分の体の上の彼を見つめた。
顔を隠すように俯いたまま、声を押し殺すみたいに唇を噛んでる。
汗ばんだ首筋から手を回して、薄い色の髪の毛をかきあげてやる。
わずかにおれに注がれる視線。でもそれはすぐにそらされる。
確かに感じているはずなのに、なんでこう強情なんだろ。キスで誘ったくせに。
「平くん」
名前を呼ぶとまたちらりとこちらを見上げる。そのままの姿勢で、おれはわざと腰を使う。
「……っ」
そうしてやると、息を吐いて倒れこみそうになる自分を必死でこらえてる。
「気持ちよくない?」
「……」
「痛くない?」
「……」
「なんか、言ってよ」
頭を振るだけで何も言わない平くんの、顎を掴んで無理矢理上を向かせる。
目は潤んでるのに、おれを睨む色の鋭さは変わらないまま。
引き寄せて、右耳を噛む。目線を落とすと耳朶の真ん中にピアスホールが見えた。
そこを舌先でつつくみたいに悪戯すると、抱き締めた体が目に見えてビクリと震えた。
「あっ……あ、……っ」
背中に回った腕が強い力でしがみつく。おれを受け入れる体内もおんなじくらい強くおれ自身を締め付けた。
「平くん、エロいよ」
耳朶を舌で攻めながらおれは言う。
その言葉に平くんは頭を振って否定するみたいな態度。なのに体は全然違うみたいだ。
「すっげぇぎゅうぎゅうしてる」
「……うるせぇ」
やっと返事くれたと思ったら。でもそんなんでもなんか可愛いし嬉しいんだよな。
思わず笑ってしまって、また平くんに睨まれた。けどもうこっちも限界。平くんを抱えて寝かせてのしかかる。
「う、あっ」
角度が変わったせいか苦しげな声を上げる平くんの耳元をまたキスで攻めて、そしたら顰められた眉根がちょっと緩んだ。
なんかホッとする。ゆっくりと手を下半身に伸ばして、確かに反応している平くん自身を掴んだ。
怒ったような顔で一瞬こっちを見るけど、無視して続ける。濡れた先端から擦り付けるみたいに扱いた。
「……んんっ」
平くんがかすれた声をわずかに上げた。余裕のない表情がおれを見据える。きっとおれも同じような顔をしてるんだろう。
浮き上がった腰を押さえつけて、自分の欲を吐き出しにかかった。
自分の目元を隠すみたいに、平くんは腕を顔に回す。それをゆっくり剥がしておれは平くんを見下ろした。目が合う。
「……気持ちいい?」
「……」
頷いた平くんにおれは心底安堵する。
真っ白になりそうな頭の中で、
自分の欲より目の前のこの人に快楽を与えられているかの方が気になっていた。
「竜介」
「……ん?なに」
暗闇の中で、ライターを擦る音がして、その周りだけがぼんやりと明るくなる。
一瞬そこだけが照らされて平くんの顔が浮かび上がった。珍しくタバコなんて咥えてる。煙のにおいがゆっくり漂ってきた。
「穴の中をな」
「え?」
「……ピアスの」
「ああ、うん」
言葉の意味が一瞬分からず戸惑ってしまう。
「そこを何かが通りぬけてく感覚って分かるか?」
「え、……いやわかんない」
おれの答えに、平くんは喉を鳴らして笑ってる気配。
「なんでピアスしてないんだ?って聞いただろ?」
「あ、うん」
「おれはその感覚が結構好きなんだ」
「……」
「他にない感じだし」
「……」
「だからだよ」
平くんの言葉を頭の中で反芻していて急に分かった。
別に深い意味なんてなくて目に付いたから話題にしたピアスのことだったけど、実は平くんはそこがめっちゃ感じるんだってことだよね。
……なんか嬉しい。
またひとつ、これで平くんのことを理解した。
それにしても
「なんかすごいエロいこと言ってない?」
「は?」
「だって、穴の中を通り抜けてく感触なんて」
「……」
平くんが盛大にため息ついた音がした。
それから暗闇の中で立ち上がって、身支度する気配。
あーあ、なんか余計なこと言っちゃったか。元々シモネタあんまり食いついてこないもんな。
とっとと衣服を着けたらしい平くんは、楽器をかついで入り口へ向かう。
本気で帰っちゃうの?
おれは慌ててシーツを腰にまきつけて立ち上がった。足と布がもつれて転びそうになる。
「ちょ、平くん、マジで帰るの?」
がらがらと開いた引き戸。そこから空を見上げたら満月だった。
真っ暗な部屋では見えなかった平くんの顔が月の光に照らされてうっすら見えた。
入り口に立ち止まって半分振り向いた彼の手をおれは捕まえる。
平くんはおれから目をそらせたまま、何か言いたげに唇を開いた。でも何も言わないで、口を閉じて。
それからゆっくり視線をあげて「じゃあ、またな」って言ってそっと手を引いた。
「うん」って答えたおれにさっさと背を向けて。
平くんの足音が遠ざかっていくのをおれはそのまま見送っていた。
なんだかいつも別れる時は物足りない気持ちになる。
「またな」っていういつもの挨拶を、また会えるんだって変換してちょっと嬉しがったり、本当は何を言いたかったんだろうってちょっと不安になったりする。
それからさっきまでの時間を思い出して、幸せになったりも。昔よく右耳にはまってたシンプルなシルバーがなくなったのに気づいたのって
やっぱおれが平くんのことばっかり見てるからなんだろうな。
なんでだろう?
やった後に相手のことこんなにも考えるなんて、音楽のこと以外にこんなにも執着するなんてのも、普段のおれにはありえない。
切ないけど嬉しい。ため息が出るけどわくわくしてる。
この気持ちの種類はとっくに知ってる気がするけど、今は知らん顔していたいんだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ナンバリングミスってしまった
申し訳ありません!
- 素晴らしかったです!!(*´Д`*) -- 2011-06-13 (月) 07:57:44
このページのURL: