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ムーヴCM 宣伝部長→所長×研究員

某自動車メーカーのCM

半生  某自動車メーカーのCMより第2弾
宣伝部長→所長×研究員

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース

基本的にWEB限定ムービーを踏襲してますが、多少オリジナル設定が入ってます

「T/N/Pを低燃費って、まんまCMやったら笑われるよ!」
「なに!?」
「なに!?」
憤りを抑え切れず、気が付けば椅子から立ち上がっていた。
隣を見ると、同じく新任の研究員も立ち上がっている。
広い会議室の空間は、途端に一触即発の不穏な空気を孕み始めた。
構わず、大きなテーブルを挟んで向かい側に座っている面々を睨み付ける。
一時の感情に任せた態度を表に出すのは余りスマートとは言えない。私の主義に反するが、どうにも我慢ならなかった。
利己主義で低俗な感覚に塗れ切った向かいの面々―――宣伝部の連中に、スマートかつクールな我々研究者のアイディアを一蹴されるとは。
完全にあってはならないことだ。
ところが、諸悪の根源である宣伝部長は、さっきから我々を小馬鹿にした態度で呆れたように鼻で笑っている。
「おたくら本気?」
「いつだって本気ですよ!」
私が口を開く前に隣の丘田が喰らい付いた。…相変わらず可愛い。
うん、そうだ。私もそれが言いたかった。
にもかかわらず、だ。向かいの敵の口から発せられた言葉は、
「なんで」
なんで、だって?
馬鹿な。どうしたらそんな間抜けな言葉が出てくるんだ。お前にはこのJ/C/2なエスプリが、
「――――分からないのか?」
「ちょっと格好良いからですよ!」
素早く私の言葉の後を継いで、再び隣の丘田が言い放つ。
そう、そうだ、丘田。そういうことだ。良く分かってるじゃないか。
何という以心伝心。
もう私と君は一心同体と言っても過言じゃない。まさにT/N/Pとエコア/イドルの関係の如しだ。
君という裏付けがあってこその私なんだ。いや、私のようなH/R/I心を持った上司に恵まれたからこそ今の君の成長があると言うべきか。いやいや、むしろ私のI/K/T/Rセンスが…。
……待て、今は我々二人の関係性を分析している場合じゃない。

度重なる援護射撃に気を良くした私は、再び目の前の敵を見据えると、これが最後通牒とばかりに腕を振り上げて断じた。
「T/N/Pでバーン!といかないか!」
「…勘弁して下さいよぉ先輩」
それまでの木で鼻を括ったようなイケ好かない態度はどこへ行ったのか、急に眼前の敵が情けなく顔を顰めて項垂れる。
相手の様子が一変したことに驚いたらしく、丘田が私の方を向いて声を上擦らせた。
「せ、先輩!?」
「部活の後輩だ……バドミントン部だ」
こんな無粋な人間に成長してしまった後輩を持ったのは我ながら何とも不本意だが、やむを得ない。
中学の頃はあんなに小さくて可愛かったお前が。
今じゃチャラチャラした業界気取りのむさ苦しい男に成り下がってしまった。
あぁ、何という悲劇。時間とはかくも残酷なものなのだ。
しかし、それはそれ。過去は過去。私としては、この場を一歩も引く気はない。
「杉元!」
「参ったなぁ……」
もはや反撃することもなく、杉元は困り切ったようにただ呟いている。
敵の心理に綻びが生じたことを感じ取った丘田が、間を置かずして鮮やかな決定打を放った。
「それを格好良く作るのが宣伝部の仕事でしょう!」
よし、巧いぞ丘田。
案の定、丘田の言葉に変にプライドを刺激されたのか、敵はようやく我々のアイディアを盛り込むことを承諾した。
早速、T/N/Pをバーン!と掲げ、エコア/イドル搭載を角に慎ましく表示したフリップを準備した杉元が、我々に向かって同意を求めるように首を傾げる。
「どう?」
「…良い、と思います」
私の方をチラリと見ながら、丘田が少し自信無さげに答えた。
…可愛い。
ただ、もっと自分の感性に自信を持て、丘田。君はもう私と一心同体なんだから。
そこでようやく会議も終わり、会議室からスタッフ達が続々と退室していく。
最後に残った我々と杉元は、出入り口のドア付近でちょうど向き合う格好になった。

杉元もようやくホッと安心したのか、目線で私を指し示しながら、丘田に向かって溜め息交じりに吐き出した。
「言い出したら聞かないんだよ、昔から」
なに!?
お前にそんな風に言われる筋合いはない!だいたいお前こそ昔から、―――。
舌鋒鋭く反証を始めようとした私の耳に、突然、杉元らしからぬ気弱な言葉が飛び込んでくる。
「…こんな極端なやり方で、売れると思うか?」
一体どうしたんだ、杉元。こと宣伝にかけては自信過剰ともいえるお前が。
そうか、そうだったのか。
本当のお前は、日々不安を抱えながら、それを表に出すまいと尊大ぶった態度で自分自身に鎧を纏っていたんだな。
だが、杉元、もう安心して構わない。
我々が求めているのは結果だ。結果だけが全てなんだ。そして今回に限っては、必ず結果が出る!
何故ならこの私が考えたアイディアなのだから!!
そう言って元気付けてやろうと思ったのも束の間、杉元は勝手に自己完結したようだった。
「でも嫌いじゃないよ。…俺、実は結構、イケると思ってるゼ!」
いや、お前のその感性は全くイケてないだろう。I/K/T/Rのは私だ。
そう思わないか、と同意を求めるべく隣の丘田に顔を向けると、丘田は何故か優しそうな笑みを浮かべて杉元と見つめあっていた。
「時にはそうやって、恥ずかしがらずにまんま素直に表に出すってことも必要なんじゃないですか。僕も最初は戸惑いましたけど、今はそう思います」
「確かに、そうかも、な…」
杉元の方も、ひどく感慨深げに何度も頷いている。

どういうことだ、この二人の間に漂う空気は。
「おたく、良い感性持ってるよ。技術畑には勿体ないなぁ」
照れ隠しのように丘田に陽気な笑顔を向けた後、杉元がふいに表情を改めた。
「先輩―――」
なんだ急に。それに何だその目は。……まさか!?
駄目だ!絶対に駄目だ!
丘田は私の研究所の研究員なんだ!お前なんかにやるわけにいかん!!
それに丘田、お前もお前だ!奴にそんな可愛い笑顔を向けるんじゃない!杉元が誤解するだろう!
二人の間に割って入ろうとした私の両肩を、杉元がガッシリとした手で掴んだ。
「―――実は俺、ずっと、…ずっと先輩のことが好きでした!俺の嫁さんになって下さい!!」
「ッえぇ~??」
「ッえぇ~??」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

またしても改行ミスりました…すみません

  • えぇー!? -- 2011-04-07 (木) 01:40:20
  • ッえぇー!? -- 2011-04-08 (金) 19:01:09
  • まさかの展開 -- 2011-04-09 (土) 02:59:24

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