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Waltz 岩西×蝉 弐

殺し屋のお話、和流津で伊和西×瀬巳です。
3巻までしか読んでないので、その辺りで捏造してます。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「伊和西あんた、瀬巳とやったでしょ」
モモというポルノ雑誌店と同じ呼び名の女店主は、俺の顔を見るなりそう言った。
店で扱う雑誌から抜け出したような刺激的な衣装を纏っているにもかかわらず、卑猥さより迫力が勝っているのは体の造形があまりにも非現実的だからか。
「なんだよ、あいつなんか言ったのか」
モモはケータリングのパフェを食べる手をとめ、指についたチョコレートを舐めた。
「わたしは殺し屋として紹介したつもりなんだけどねえ。あんたにそっちの趣味があるとは思わなかったよ」
俺は肩を竦めて見せる。まさかそんな事を言う為に呼びつけたわけではないだろう。
「あの子、うちによく来る割にここにあるものはなーんにも興味ないわけ。うろうろして帰るだけなのね。それが昨日はいきなりセックスのマニュアル本見せろだもの、驚きよ」
「色気づいたな」
「ものすごく真剣に読んでたと思ったら、<マンネリを打破するには>のページ辺りで『伊和西、ぶっ殺す』とか何とか言って飛び出して行ってそれっきり」
「まあ教育の一環でだな」
「あんたの性癖はべつにどうでもいいんだけど、殺されてないって事はあの後会ってないんだね」
「……」
確かに瀬巳は昨日戻らなかった。与えた携帯のGPSで繁華街の漫喫にいるのが確認できたので放っておいた。
「それならあの子、今やばいかもねえ」
「あ?」
「変なパーカー着た目つきの悪い茶髪の男の子がさ、絡まれてるのを見たやつがいるんだ。これ瀬巳だよね」
「誰に絡まれてたって?」
「相当面倒なやつらだよ」
手を出しても出されても、と朗らかな声音で付け足してモモは生クリームの塊を口に運んだ。
「いつの話だ」
「今朝の話」
時計を見て舌打ちする。もう昼になるじゃねえか。
「モモ、そういう話は先にするもんじゃねえのかよ」
「連絡入れてから現れるまで一時間以上無駄にしたのは伊和西、あんたじゃないか。ところであのパーカー、あんたの趣味なわけ?」
情報の価値はタイミングが全てだ。その事を一番知り尽くしているモモが勿体付けるのにはおそらく裏がある。
「…一体何を企んでる」
モモはクリームがついた唇をにやりと吊り上げた。
「まあ最後まで聞きなって、これからが本題なんだからさ。きっとあんたはわたしに感謝するよ」

GPSで辿り着いた路地の奥から、しつけえな!と聞き覚えのあるイラついた声が聞こえてきた。
あの子はそう簡単に死なないさ、と言うモモの声が蘇る。まあ俺もそう思っていたけどな。
「手こずってんなァ、瀬巳」
いかにもと言った風貌の男達に囲まれた瀬巳は、肩で息をしながら険しい眼差しでこちらを睨んできた。
「おまえがヤルなっつーから我慢してたんだろ!」
「そうか、偉いじゃねえか」
どうやらずっと逃げていたらしい、言葉よりもナイフが先に出るあの瀬巳が。連絡をしてこない点についてはマイナスだが、着実に手懐けられている実感に充実感を覚える。
「にやついてんじゃねえよ!クソ伊和西が!」
瀬巳を取り囲む男と、胸ポケットから取り出した写真を見比べる。
「いいぜ、瀬巳。そいつら殺しても」
「はァ?」
「ちょうど依頼が入ったからな」
――面倒ごとが片付く上に仕事になるなんて、こんないいことないでしょ。艶然と微笑んだモモは抜かりなく報酬を値切ってきた。
あんたのために大急ぎでフィックスしてあげたんだから当たり前だよね、と。食えない女だ、本当に。
「そういうことは早く言えっつうの」
低い姿勢から瀬巳の体が一気に跳ね上がる。
ナイフの切っ先が鮮やかに閃いて、次々に男達の首や腹に吸い込まれていく。
4人全員が地面に沈むまで1分も掛からなかった。
ああ本当にいい腕だと惚れ惚れする。ウサギの耳がデザインされたパーカーがまた、馬鹿馬鹿しくて最高だ。

今回の報酬を数えていたところに風呂上りの瀬巳がやってきた。
「手錠は作法だとかなんだとか、適当なこと言いやがったな。あれやっぱりSMじゃねえか」
部屋に入るなり、喚き出した瀬巳に閉口する。ああ面倒くせえ。
「おまえは変態だろ。おい何とか言えよ」
「あのなあ、セックスってのは100人いれば100通りの方法があるもんなんだよ。変態なんて野暮な言葉は使うな。気持ちよかっただろ?」
「……」
その名の通りみんみんと煩く反論してくるかと思ったら急に押し黙った。
「どうした」
「キ、キスって普通はするだろ。セックスの前とか、後とか最中とか」
「は?」
「…もういい」
追い詰められれば女の耳だって食いちぎる凶暴な人間とキスしようと思うほど酔狂ではない。当然の如く前回は回避している。
「キスしたいのか」
「したくねえよ!」
「素直じゃねえなあ。マニュアル本に何が載ってたんだ?ん?」
「うっせえ!にやにやすんな!」
それでも随分言う事をきくようにはなったと思う。大体赤い顔して横向くなんて可愛いじゃないか。
外した眼鏡をデスクに置いて立ち上がる。近づく俺を警戒して瀬巳は後ずさった。
ナイフを隠し持っていないことをさりげなく確認してから瀬巳の頬を引き寄せる。
「何しやがる…!」
「絶対噛むなよ」
瀬巳は一瞬目を見開いた後、取り繕うように不機嫌な表情を見せた。
「…噛まねえし」
ぱかっと口を開く様子に餌付けされる雛を連想して思わず笑った。
「開き過ぎだバカ、何食う気だよ。目は閉じろ」
何かを言いかけた唇を塞ぎ、隙間を舌でなぞるとびくっと肩が揺れた。
腰に回した手で離れようとする体を引き戻し、たっぷりと時間をかけて唇を吸い尽くす。唇に残る傷跡は少しだけ血の味がする。
口内に舌を潜り込ませる瞬間脳裏に噛み付かれるイメージが過ぎったが、今の瀬巳なら大丈夫だろうと考え直した。
両腕ともだらんとしてるしな。
口の中のあらゆる場所を刺激してやると、縮こまっていた舌がぎこちなく絡み付いてきた。
「ん、う…」
舌を貪られるままの瀬巳の鼻から息が漏れる。
どんな顔をしているのか見たくなって口を離すと、瀬巳は潤んで赤くなった目を重そうに開いた。
すぐに俯いて濡れた唇を手の甲で荒っぽく拭う。
「どうだ?」
「……」
随分大人しくなったと思えば既にデニムの前がきつそうになっている。
若いねえ。
「するか?セックス」
俺の問いには応えずに、なぜか両手を差し出してきた。
散歩に行く犬が繋がれるのを待つみたいに、手錠を掛けられるのを待っているのだと気付く。
手首の赤黒い擦過痕を指で撫でながら、顔を覗き込む。
「暴れないなら今日は手錠はしなくてもいい。どうする?守れるか?」
瀬巳は目をそらしたまま仏頂面で頷いた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

いろいろ夢見ました。

  • 読んで挙動不審になりました。前もコメントを書こうとして、挫折してコメント書けませんでしたが、ありがとう。ありがとう。ミンミンとアホ可愛い。 -- 2011-02-19 (土) 12:30:04
  • 蝉ちゃんかわいいいいい -- 2012-06-23 (土) 21:31:05

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