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デカワンコ 重村×小松原

ドラマ刑事犬のシゲ×コマ。
×だけどエロなしです

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

被疑者は未だ所在が掴めず、関係人の元にも現れる気配を見せない。
捜査は長引いていた。

ソファで仮眠を取ったせいか、ひどく身体が重い。
ジャケットはおろか、身につけたベストもワイシャツも皺だらけだ。
せめてもと緩めていたネクタイを締めてみるが、それすらも皺が寄っているのを見て
シゲ村はため息をついた。
所轄の捜査員とI3係の面々はそれぞれ外に出向いており、警部は報告のため本庁へ。
人気のない早朝の本部はひどく静かだった。眠気覚ましに濃い目のコーヒーを飲みたかったが、
サーバー等と気の利いたものは見当たらず、シゲ村は大きく伸びをすると
地下の売店に足を向けた。

「コマ」
自販機の横にベンチが置かれた一角に見慣れた同僚の姿があった。
「よーお、いい格好じゃねえか色男」
「お前こそ人のことが言えたナリか」
うるせー、と軽く脛を蹴り上げられる。
実際、軽口を叩くコマツ原の顔にも疲労が色濃い。
飄々としているようで随分と無茶をするこの同僚は相変わらず
新人たちを差し置いて走り回っているのだろう。

シゲ村は苦笑しながら自販機のボタンを押し、ベンチに座り込んだコマツ原にコーヒーを放った。
「今は誰が張り込んでる?」
「ヤナとデーク。ワン小とキリには他を当たらせてる」
「動きは?」
「目ぼしい動きがあったらとっくに報告してるっつーの」
缶で暖を取りながら電子煙草を取り出し銜える彼の横に座る。

焦りはないがシゲ村は捜査が長引くのをひどく嫌っていた。
本部で指揮を執り続けていると、暗い感情が身体の深くで澱のようにたまっていく。
捜査方針は間違っていないか?判断に誤りはないか?
慎重に、慎重に、自分自身に問いかける。
今回正しかったとしても。次に間違わない補償なんてどこにもない。
ひとつ間違えば人の一生を狂わせることだってある仕事だ。
「なあ、コマ」
「あ?」
「俺たちは正しいと思うか?」
世界は加害者と被害者で溢れている。
けれど、その境界線はひどく危ういのではないか。
自分達の匙加減ひとつで両者をくるりと反転することもできる。
俺たちは、正しいのか―――?

「…だっ?!」
突然後頭部をはたかれ、前につんのめった。
落しかけた缶を慌てて拾い振り向くと、呆れ顔のコマツ原が現場離れて狭い部屋に
引き篭ってっからろくでもねーこと考え出すんだよ、たまには昔みたいに足動かせ!足!
などとぶつぶつ言いながら右手をひらひらとさせている。
「おい、シゲ」

「考えんのは調べつくしてからだ、バカヤロー」
「…ああ、そうだ。そうだったな」
シゲ村の眼に光が戻る。
そうだな。今、俺達がすべきことをやるだけだ。

んじゃ俺は戻るぞ、と立ち上がりかけたコマツ原を強引に引き寄せ、肩に顔を埋める。
スンと嗅げばコーヒーと僅かなニコチンの香り、肌の暖かい匂いが鼻腔をくすぐった。
いつもは蹴りのひとつも入るところだが大人しくされるがままのコマツ原がぎこちなく背に
手を回してくるのに自然と笑みが漏れる。珍しく弱音を吐いたシゲ村への不器用な気遣いか。
根はひどく優しい男なのだ。
――そんなだから、お前は俺につけこまれるんだよ。

「ワン小か、お前は」
「ヤニの匂いがするぞ。また禁煙失敗しただろ、コマ」
軽口で返すと足を踏まれ、引き剥がされた。
電子煙草を銜えなおしたコマツ原がニヤリと笑う。
――バーカ、

「正義の匂いがすんだろ?」

END

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

3話辺りの二人のつもりですが、事件はてきとーです。
シゲさんが中二病でホントすみません。


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