Top/62-269

続きのつもりで書いたが、内容が内容なのとこれでおしまいなのでオリジナルとして読んでいただけると幸い。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

真夜中に携帯が鳴る。
俺への『合図』
少しでも気が紛れるように1番好きなアイドルの着うたにしているのに、彼女の歌声でも俺の気分は全く晴れることがない。

いつものように、いつもの場所に向かう。
と、いつもなら有り得ない光景が目に入る。

彼の隣で、あの人が寝ていた。

「……」

今までこんなことはなかった。
最初に俺が呼ばれた時にはいたが、それ以来はこういう状況で顔を合わせたことはない。

とにかく、起こさないようにそっとハヤテくんだけを連れ出そうと、彼とベッドの隙間に腕を入れて引っ張り出した。
しかし、手首を掴まれていたらしく、抱え込んだところであの人の手が高く上がって、掛けてあった毛布が大きく捲れ上がってしまった。

「……」

目を覚ましたあの人が虚ろな眼差しを向け、何事か呟く。

「す、すいません。すぐ出てきます」

ハヤテくんを抱え直そうとした瞬間、仕事中でも見られないような憤怒の表情で思い切り突き飛ばされてしまった。
突然のことに身構える余裕もなく、壁に強か叩きつけられた。

「ユウヒは俺のだ!」

痛む首を押さえて顔を上げると、あの人はハヤテくんをしっかりと抱きしめていた。
状況が全く分からないのは、頭を打ったからだと思いたかった。

「お前なんかにユウヒは渡さない!」

あの人の声が頭の中に響く。
目がチカチカして、すぐには動けなさそうだ。

「ユウヒは、渡さない」

射抜かれそうなほどの強い視線。
あの人が抱えているのはハヤテくんなのに、繰り返し口にしている名前はお兄さんの方。
しかも、あの人自身があんな目に遭わせたというのに。
これではハヤテくんはますます傷ついてしまう。

「……何言ってるんですか?そこにいるのはハヤテくんですよ」
「ハヤテ…?」
「それに、ユウヒさんをあんな目に遭わせたのは……シンイチさんでしょう?」

後頭部が脈と同じ早さで痛む。
ぐっと足に力を込めると、痛みが早鐘のように鳴り響く。
今の俺にあるのは、『ハヤテくんを助けたい』ただそれだけの想い。

「今更調子のいいこと言って、これ以上ハヤテくんを傷つけるのは止めてください」
「ユウヒ…?ハヤテ…?」
「もう1回言います。ハヤテくんをこれ以上傷つけないでください」

俺のどこにこんな勇気が眠っていたのだろう。
本業ですらまともにできていない俺なのに、ハヤテくんへの想いだけで、ここまで言えるなんて。

「ユウヒは俺が…?これはハヤテ…?」

あの人の腕からハヤテくんが転がり落ちた。
勢いでベッドから落ちそうになるのを、抱き留める。
こんな修羅場も知らず、すやすやと眠っている彼を見て、ふっと心が和む。
用意していたタオルケットにハヤテくんを包むと、茫然自失のあの人を放置して、部屋を出た。

自分の部屋に戻り、ベッドにハヤテくんを降ろすと、途端に足から力が抜けていった。
心臓が飛び出しそうなほど早い脈動を繰り返し、それに合わせて全身に響く頭の痛みが、意識を朦朧とさせる。
痛みのせいか、自然に溢れてくる涙のせいか、視界がぼんやりと霞む。

「ハヤテくん…もう大丈夫だからね…」

彼のしなやかな指に触れる。
同じ仕事をしているからこそ分かる、努力の証。

「これからは、ずっと……俺が守るから…」

痛みが段々尋常じゃなくなってくる。
暖房を入れているのに、ひどく寒く感じる。
唯一感じられるのは、柔らかな感触。

「ハヤテくん…大好き…」

言いたかったことがやっと言えた。
何度も言いかけて言えなかった、とてつもなくシンプルな言葉。
明日になったら、ちゃんと面と向かって言おう。
ハヤテくんはどんな顔をするだろう。

そんなことを考えながら、俺は深い眠りについた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

この後彼らがどうなるのか、ご想像にお任せします。


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