ジョーカー 許されざる捜査官撮影中 堺雅人×錦戸亮 「ステイタスゲーム」
更新日: 2011-01-12 (水) 00:50:27
浄化の盾中さんと鑑識中くんの電話番号ネタです。
最近、無事に交換できてたことが発覚したのでオメ記念に。
実際の掲載雑誌の内容は立ち読みだったため記憶になく、適当に捏造なので勘弁してください。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
今日の撮影スケジュールは一日、スタジオ撮りだ。
ロケだろうとスタジオだろうと鞄のなかには必ず何か本を一冊。今は珍しく小説を読んでいる。
お茶などの飲み物やちょっとしたお菓子が置いてある休憩スペースには新聞や雑誌の類が何冊か置かれていて、自他共に認める活字中毒である僕はそういったものも一通り手に取り、興味を引かれた記事には目を通したりしている。
とりあえず持参した本は手元に置き、新聞は今朝目を通したので雑誌を物色する。
「……?」
テレビ誌にしては紙質が違うと思った華やかなグラビアが表紙の雑誌は、いわゆるアイドル雑誌というやつだった。
そうか、そういえばNSKDくんは今をときめく蛇二ー図のアイドルなんだっけ。
最初、共演の話が決まったとき失礼ながら僕は彼のことをよく知らなかった。アイドルにも詳しくないし、歌番組なんかも見ない。
二十代半ばの若い、関西出身のアイドルなんていうから、さぞかし派手派手しく賑やかしい子なんだろうと思っていたら予想に反してNSKDくんは物静かで控えめな子だったので驚いた。
俳優としての評価も高く、アイドルとしては二つのグループに属しているという(なんでも彼の事務所では異例のことらしい)、なんだかもう別次元の生き物みたいな存在だ。
きっと若い女の子がキャーキャー言いながら買っていくのであろう、キラキラしい若い男の子たちの写真が満載の雑誌を手に取り、アイドルNSKD量の顔を拝んでやろうじゃないの、と思いつつページをめくる。
折り癖でもついていたのか、彼のグラビアが載ったページが一発で開いた。
こちらに向かって白い歯を見せてにっこり笑った写真は、さすがはアイドルといった華やかな雰囲気がある。
普段は少し哀愁があるというか、ちょっと憂いのある表情なのに笑うと途端に華やかになるのだ。その表情の落差は芝居をするうえでも効果的で、画面のなかにいると思わず目を惹かれる役者だと思う。
写真に埋もれて読みにくいインタビュー記事に目を通す。
雑誌の取材でも作品や演技のことについて聞かれる俳優業とは違い、アイドルというのはファンの女の子が喜ぶようなプライベートな質問に答えたり、近況を語ったりと大変そうだ。
記事を書き起こす記者が律儀に関西弁で文面を作っていることに笑いを誘われる。
「……うゎ」
彼の素の口調のような関西弁で近況を語るその記事を読みすすめるうち、思わず驚きの声が漏れた。
まさに今、撮影しているこのドラマについて語っているその記事で彼は僕のことをあけすけに褒めちぎり、さらに個人的に親しくなりたいというようなことまで言っているのだ。
十一歳も年下のJアイドルに電話番号を教えてくれと言われたら、いったいどうすればいいんだろう。
今まで僕の周囲の関西人は喋るのが上手でウケ狙いが大好きで陽気で気安いひとが多かったけど、NSKDくんは基本的におとなしいし自分でも言ってたけど人見知りが激しいらしい。
確かに最近でこそ雑談くらいは気軽にするようになったが、最初のうちは撮影に必要なこと以外はぜんぜん喋らなかった。
そんなNSKDくんがどんな顔をして僕に電話番号を聞きに来るのだろう。
それとも、ここは大人の気遣いで僕から聞くべきなんだろうか。
スタッフから声がかかるまで、ついに僕は持参した本を開くことはなかった。
SKIさんのことは以前から知ってはいたんやけど、きちんと出演作を観たのは名可村監督の映画にオレが主演させてもらうことが決まってからやった。
名可村監督の作品に出演してる三本の映画のSKIさんは三本とも、まったくの別人みたいやった。
役者なんやから当たり前って言えば当たり前なんやけど、役を自分に近づけるタイプの役者と、自分が役に近づく役者がおると思うねんな。
SKIさんは完全に自分が役に近づくタイプで、しかも演技のパターンっちゅうかタイプっちゅうかが、変幻自在なんよ。
かけあってる役者さんを際立たせるような演技もできれば、自分が圧倒的に場を支配する存在感を前面に出す演技もできる。
監督の言うところの、受けの演技と攻めの演技の両方ができるのって、実は言うほど簡単なことやないと思う。
もうオレはすっかりSKIさんのファンになってもうて、監督から色々話を聞いたり、ほかの出演映画のDVDを時間のゆるす限り観たりしてた。
そしたら、その矢先に連ドラ出演の話が来て、しかも主演がSKIさんやって言うやん! もう、運命かって思ったもんね。
実際、会うてみたらSKIさんはイメージどおりの穏やかで物腰の柔らかい笑顔の素敵な人で。
主演俳優としての現場の雰囲気づくりなんかも細やかに気遣ってて、自分の映画の撮影現場を思い出して主演のオレがアレではアカンかったんやないか……ってちょっとヘコんだり。
SKIさんは勿論、オレにも気さくに話しかけてくれんねやけど、キンチョーして上手く喋れんし、歴女で有名な餡ちゃんと平賀源内がどうの川上音二郎がどうのっていうオレの守備範囲外の話題で盛りあがってるのを一歩下がって眺めてた。
それはそれでSKIさんと餡ちゃん、先生と生徒みたいやなあって感心して見てたんやけど。
連ドラの仕事が入ると、撮影以外にも取材や番宣なんかで忙しさが倍増する。
普段から毎月、何誌ものアイドル雑誌の取材があるのに加えてテレビ雑誌の取材、グラビア撮り、インタビュー。
テレビ雑誌の取材ではほとんどSKIさんと一緒やったから、そのおかげでだいぶ気楽に話せるようになったんが嬉しかった。
基本、オレはキャラ作ったりすんのも面倒やから話してかまへんことやったらなんでも素のままで正直に話すんやけど、なんかの雑誌対談んとき、思わず「好きです」って言うてしもて……
SKIさんは笑うてたけど、内心ドン引きされたんとちゃうんかなぁ……あー……ヘコむわー。
十一コも年上で今や日本を代表する俳優さんとなんてどうやってお近づきになればええんか、さっぱりわからへん。
メアドとか聞いたら引かれるかな……ちゅうか、SKIさんがケータイでメール打ってる姿が想像できひんぞ。電話番号とか聞いたら引かれるかな……あのひと、意外と天然やから真顔で『なんで?』とか言われそうやし。
なんでって、仲良うなりたいからに決まってるからやないですか! とか言えるわけないし。
だいぶ話せるようになったって言うても、SKIさんは台本はいつ読んでるん? て思うくらい待ち時間はだいたい文庫本やなんかを静かに読んでるから、なかなか自分からは話しかけづらい。
せめてと思って本読んでるSKIさんのなるべく傍におってジャマせえへんようにおとなしく漫画とか読んでるんやけど、そのまったりとした空気感はなかなか心地いい。心地ええんやけど、もっと色々SKIさんと喋りたいなあっていう気持ちはある。
基本人見知りやし、緊張しいやし、喋るん下手やし、面白いことなんも言えんし。関西人の標準装備や思われてるスキルが全部標準以下の自分が恨めしいわ……
記録的猛暑のなか撮影の続いたドラマもついにオールアップを迎えて、打ち上げをすることになった。
終わってみれば、気にしていないつもりでもやっぱりGP帯連ドラ初主演というのはけっこうプレッシャーだったようだ。
数字としては良くはないが全体的に視聴率のふるわない時期ながら新作ドラマではトップというまあまあの結果が出たことにホッとした。
打ち上げはほのぼのとアットホームなノリで、廉さんと餡さんがギターセッションで歌ったり、僕まで苦手な歌を歌わされたりと、賑やかで楽しい時間が過ぎて行った。
キャストスタッフともにみんなこのドラマを愛していたし、ほんとうにいいチームだったと思う。
またこのチームで仕事がしたいなあ、解散してしまうのは寂しいなあ……とほろ酔いのぼんやりした頭でしんみりと浸っていると、NSKDくんがビールグラスを片手にふらりと近づいてきてごく自然に僕の隣に座った。
そういえば撮影中も、気づけば本を読んでいる僕の傍にいて漫画を読んでいたりと、まるで盾と駆動のように自然に寄り添う空気ができていた。
どちらかと言うとNSKDくんは憑依型に近いタイプのようだったので、それも無意識のうちに役に入り込んでいるからだろうと思っていたのだが、僕も盾気分が抜けないのか彼が傍にいると一種の安心感というかしっくりくる感覚があるのだから不思議だ。
劇中でもよく呑む役だったが、彼本人もけっこう呑むタイプらしい。日焼けした肌がほんのり上気して、できあがってるなぁという風情だった。
寄せられる好意を知っていて、アプローチをかけてくるのは今か今かと観察しているような趣味の悪い優越感は、たとえるなら演劇の練習でやる即興劇のステイタスゲームで1番を引いたときの感覚に似ていると思う。
あれからずっと、僕はNSKDくんに対して少なからずそんなふうに思っていた気がする。
いつ、どんなふうに切り出してくるのかを楽しみにすらしていた。
たぶん、彼が役から抜けてしまい、この心地良さが失われてしまったときにがっかりしないための予防線だったのかもしれない。
自分の臆病さと大人気のなさに改めて呆れる。
ポケットから携帯電話を取り出すと、それを開いて隣に座るNSKDくんの方へ身を寄せてないしょ話でもするように小声で囁く。
「ねえ、NSKDくん。もし良かったら連絡先とか聞いてもいい?」
「うぇっ?」
NSKDくんがヘンな声をあげてグラスをひっくり返しそうになるものだから、思わず笑ってしまう。おかげで少しこわばっていた肩から力が抜けた。
「えっ、ちょ、マジ……ホンマっすか? あっ、いや、えっと、いややなくって、その、ちょお待ってくださ……」
あわあわとジーンズのポケットをあちこち探るNSKDくんの慌てように、また笑いがこぼれる。
「酔っ払ってる? 大丈夫? 僕に番号教えたの覚えてなくて、電話かけたら誰っすか? とか言わないでね」
「大丈夫っす。今、完全に酔いが醒めました。て言うかSKIさんこそ後でメモリ見てこの番号誰のやったっけ、とかっていうのやめてくださいね」
酒癖の悪さと記憶の失いっぷりはお互い様だ。思わず顔を見合わせて、クスクス笑い合う。
「あれっ、えっと赤外線の受送信てどこにあるんだっけ……久しぶりすぎて忘れた」
「マジっすか……オレやってもよければやりますよ」
「……お願いします」
さすがはイマドキの若者。あっというまにデータの受送信を終えると電話帳の画面を開き、「オレのは『な』行んとこにフルネームで入ってますから」と丁寧に説明してくれる。
「うん。ありがとう」
なんとなく照れくさくなってお互いへへっと笑ったところで、「こらぁ! 主役ふたりがそんな隅っこでなにコソコソしてるんですか、いやらしい!」という声がかかり、僕とNSKDくんは揃ってビクリと首をすくめた。
「そりゃあ、おっきい声では言えへんエロい話に決まってるやないですか」
いい加減できあがってる酔っ払い集団に、NSKDくんはすっかり酔っ払っているふりで答えながら立ちあがる。
うん、役者だねえ。
スタッフのひとりに引っ張られていくその直前、僕を振り返ってNSKDくんはなんとも艶っぽく微笑んだ。
果たして今、僕と彼のステイタスゲームの数字は同じなのか、それとも逆転したのか。
これからそれを探り合っていくのが『盾と駆動』ではなくなった僕とNSKDくんの始まりなのかもしれない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
途中でナンバリング間違えたうえに、最後長すぎてはじかれたので1スレはみ出ました……orzショシンシャデスイマセン
鑑識中のグラビアページに折り癖をつけておいたのは、スタッ腐~の誰かだと思います。
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