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オリジナル 年上クール部下×おバカお子様年下上司 「今日の料理」

みんなネタになーれ☆2!
流すぜ!上手くないけど、ホノボノを目指したぜ!
オリジナル、年上クール部下×おバカお子様年下上司、です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマス!

これは、うちの上司の話だ。
昼飯はいつもマックかモスバーガー、ケンタッキーあたりの三択だから、今日も俺はそれを聞いた。
「筑前煮」
で、それに帰ってきた答えがこれだ。
何だ、筑前煮って。マック、そんな新しいバーガー売りだしてたっけ?
「……は?」
たっぷり十秒くらい待ってそう聞き返してやると、上司はデスクにぺたり突っ伏した姿勢のままで、ぎろりと目だけあげてこっちを見た。
「浅井さん、何ですって?」
「……うっせー」
「煩いじゃわかりません。何がいいんですって?」
「……テキサスバーガーセット!!コーラで!!」
「はいはい。ハッピーセットのオマケは、もういいんですか?」
「お前が知らないうちに、もう全部コンプったよ、バーカ!」
長めの茶髪を抱え込むようにしながら叫ぶ上司に、俺はいつものようにさらり応えて、部屋を出る。何事もいつもどおりのペースで。
うちの上司は、俺より年下だ。確か大学を出て、そんなに経ってないくらいのはずだ。
だからだろう、こんなジャンクフードも好きだし、続いてても飽きないのは。俺は正直、もう無理だと思う。
ちょっと特殊な仕事をやってるせいで、うちの部署は上司と俺だけの、小ぢんまりした空間だ。
必然的に俺はよくパシリをさせられることになるわけだが、正直言ってそれにももう慣れた。注文先も大体決まってて、こんな風な昼飯の
買い出しか、そうでなければコンビニでジャンプかマガジンかサンデーか。そんなものだ。
学生時代ずっと野球をやっていたし、俺は足は速い方だ。それも、上司としてはパシリにしやすい理由なのかもしれない。
「……はい、お待たせし……っ、ました!」
匂いだけは食欲をそそる紙袋を片手に戻ると、ドアを開けた瞬間にひゅっと、白いものが俺の視界に飛び込んでくる。

「テキサスバーガー、とポテトとコーラ」
「……つまんねえな園川!またかよ、めっさつまんねえ」
「だから、俺野球やってましたから」
「あー、キャッチャーか。だから何でも取るんだな、くそ~」
「や、ファーストでした」
だからこそ、むしろ何でも取るんだけど。上司が狙い澄まして投げて来た消しゴムを、またいつもの通り俺は何でも無いことのように
キャッチして、紙袋と一緒にデスクに置く。
これも上司の癖の一つ、何でも俺に投げてくる。書類でも、ゴミでも、大事なデータCDでも。
それをちゃんと落とさないように、必ず俺がキャッチするのを知っているからふざけている、ともとれる。でもまあ、普通にただの悪戯だろう。
つまらないと言いながら、そしてむくれながらそれでも上司はがさごそとハンバーガーにくらいつく。本当に、匂いはいい。
俺も階段を5階のここまで一気に上がってきたので、流石に息が切れていたが、自分の席で昼飯にすることにする。
上司には流行りか、と馬鹿にされたが、俺は弁当持ちだ。自作の。
理由は単に、金がないから。
「……。」
上司が自分の椅子にふんぞり返って、デスクに足を乗せた行儀悪い姿勢のまま、ちらりこちらを見てくるのを俺は知っている。
あちらのデスクの方が日当たりが良い。上司はスーツ嫌いでもあって、直ぐにシャツとネクタイだけになるんだけれど、そのせいで今も、冬場でも
そう寒そうには見えない。
で、いただきます。と。
ばーちゃんに小さい頃厳しく言われたせいで、俺はどんな時でも食事前に、手を合わせてしまう。思えばこれは、俺の癖だ。
「……毎回だけどさー、ちょっとブキミよ、お前」
もごもご上司が何か言ってくる。くるくると自分の髪を指で弄びながら。
「何でそんなでっかいナリして、弁当男子?」
「料理、好きですし」
「行儀もいいよな、相変わらず」
「癖です」
箸の持ち方も魚の食べ方も、ばーちゃんに躾けられた。それも上司には、図体に似合わないとよくからかわれる。

今日の中身は自信作の、鶏肉の竜田揚げ。うん冷めても旨い、さすが俺。
「……旨そうに喰っちゃって。彼女に作ってもらったんならさー、見せびらかす気持ちもわかるけど~」
「旨いですもん。自分の味」
「……そーかよ」
上司がまたポテトをもぐもぐしながら、わざとらしく俺を見て溜め息をついていた。
何の意味だ。
いつも俺なんかどうでもいいような顔で、気が向いたときだけ悪戯を仕掛けてくるくせに、結構俺のことをよく見てるんだ、この人は。
うちの上司は、仕事は出来る。若いけど一部署を任されているのは、ちょっと特殊な仕事でそれが出来るからなんだけど、だから俺は仕事の面では
この人を尊敬しているし、ちゃんと補佐するつもりはある。
でも裏を返すとこう、口は悪い、態度は悪い、味覚もセンスもコドモで騒がしい男だとしか思えない。うん、全然間違っていない。
ただ最近気になるのは、昼休みのこれ、毎回の買い出し前の会話が結構、日常的にこんな風になっていることだ。
昨日は「ブリ大根」だった。その前は「マーボー豆腐」だった。確か、ロールキャベツとか、カニ玉だとか言ってた日もあった。
どれもこれも、ファーストフードには売ってないだろうと俺は、しこったま冷静にいつもツッコミ返してしまうんだが。
「……。」
「何か?」
「んでも、ねぇよ!」
ああ、何だか知らないが機嫌が悪い。午後の仕事も、宥めすかすのが大変そうだ。このお子ちゃま上司め。
そして結局、やっぱり案の定、残業する羽目になった、俺だけが。
これもいつものことなんだけど。
でもそこで、ちょっと息抜きに、と応接セット(うちの仕事場に併設してある)の傍でコーヒーを飲みながら、テレビをつけた俺は、
上司の秘密めいた言い草の謎が解けてしまった。
その日俺は、近所の24時間スーパーで、肉と、ジャガイモと、ニンジンを買って帰った。
買いながら、腹の底がむずむずする感じがした。
レジの兄ちゃんは、そんな俺を見てちょっと引いていたようだ。顔に何となく、は出ていたらしい。
悪い。180オーバーの大男が深夜スーパーでにやにやしている、のは、確かにあんまりほのぼのした光景じゃないか。

いや悪い。本当に。
でも想像したら、笑えて仕方がなかった。
肉を炒めて、ジャガイモを切って、ニンジンもだ、一緒に煮ながら、匂いを嗅ぎながらも多分俺は笑っていた。
今考えたら、何がそんなに楽しかったんだろう。
そして今日。
そして昼休み。
いつもの会話。
「……で、浅井さん、今日は何をリクエストですか?」
またぐだ~っと書類の上に寝そべるようにする、上司に俺はお定まりの声をかける。いつもそうだ、仕事は出来るけどそういう、
仕事に関するあれこれを、この人は大事にしない。その上で俺に色々投げつけては無くすものだから、ああだから、俺が付いていないと
この人はヤバいんだろうなとも、俺は思っている。
そう、そんな風に俺は思っている、今気付いたけど。
上司はゴロゴロと喉を鳴らす猫のように身じろいで、斜め前のデスクの俺を見上げて来た。前髪が目にかかっていて、至極子供っぽい。
コドモだ、とは思ってる。何事につけても。
ただしそれはそれで、そういう気まぐれなところは、嫌いとは思わない。強いて言えば、好きかも知れない。
髪は柔らかそうだし。ちょっと触ってみたくなるし。ワガママを言う時の顔も楽しそうだし。結局、俺に甘えてるし。
そして今日その先の言葉を、そう、今日の俺は知っていた。
「……肉じゃが~」
はい、やっぱり。
ビンゴ。
「了解」
「……ん?」
がさがさと、今日はいつもと違う紙袋から二つ包みを取り出した俺に、上司は拍子抜けしたようなように鼻に抜ける声を出した。
「肉じゃがですね。あと、卵焼きと、ほうれんそうのおひたし」
「……あ?」
「何なんですか。喰うんですか、喰わないんですか?」
洒落た弁当箱は無いから、大きめのタッパー二個になってしまった。けど、そこはいいでしょ、別に。
俺が包みをデスクに置くと、上司は上目遣いにまんまるい目を向けて来た。
本当に、この髪は柔らかそうだ。
染めているのとは別に、ゆるくウェーブがかかっているが、それは天然らしい。
だからこそ、伸ばしておかないとクルックルになるんだと何時だか、思いっきりの雨の日に癇癪混じりに言われたっけ。

「けど意外です。浅井さんも、料理番組なんて見るんですね」
「……そ、のかわ……!」
「俺も見ましたよ。結構初心者向けでも、ちゃんとしてたじゃないですか。やってみたらどうです」
「だー!!何だお前!!いきなり!!」
「昨日、肉じゃがでしたもんね」
「……う」
「おとといのメニューが筑前煮で。煮物特集でしたね」
「……。」
ばーん、と俺を威嚇するように立ち上がったまでは威勢が良かったが、ぺしぺしやりこめていくと、上司の口はへの字口になる。
そして、黙る。ある意味わかりやすい人だ。
本当にわかりやすい。前の日テレビで見たものが、次の日食べたくなるんだな。可愛いな。
「で、ナニ?お前、もそれ見て……俺の分までメシ作ってくれちゃったり、したわけ?」
「嫌ならいいですよ」
「バカ、喰うよ!そこまですんだったら、さっさとくれよ!!」
「……何ですかその態度」
「んだよ」
「人にものを頼む時は、ちゃんと口で言いなさい」
「う」
「アナタの分です。食べたいですか?」
「……喰いたい、っす」
「はい?」
「食べたい、です!」
よし。
あれ?
ついに言わせた、と俺の中の誰かが、ガッツポーズした気分になった。変なの。
一度頭を下げると上司は素直で、だってお前の弁当いっつもうまそうなんだもんだとか、俺も喰いたいなって思ってただとか。
髪の先っぽを弄くりながら、唇とがらせながら、まあ嬉しいこと言ってくれるじゃないか。
自分じゃ料理下手だし、いいなあ喰いたいなあって思いながら、テレビを見てただとか、おい、可愛すぎないか。
「でも、ニンジン入ってますよ。……喰えないとか言ったら、しばきますよ」
「……頑張る」

喰えないのかよ。やっぱりかよ。
それでもタッパーを開けたときの、その顔には参った。
本当に参った。
嬉しそう過ぎた。うわあ!って素直な声も上げ過ぎ。コドモすぎて、なんて、可愛い。
「……うわぁ……、旨いわー。マジ旨いわ、お前すげぇな!」
「お前?」
「園川、くん……」
白いシャツが汚れますよ。ほら、慌てると髪にもつきますよ、全く。
「よろしい」
「……くそ」
「で、……明日は何がいいんですかね」
「へ?」
本当、頬張りすぎ。あ、もしかしたらまだ食べざかりかな、この人。
足りなかったりしたら、いいや、今日は俺が弁当抜きでも。
もがもがと口にものを入れながらしゃべるのは嫌いだけれど、ばーちゃんには行儀が悪いって言われてたから、気になるけど。
まあこうやって、一個ずつ躾けていくのも悪くないかなと俺は思う。そう、俺は思う。
いつかあの髪を撫でたいな、なんて。
「……んじゃ、なあ……ハンバーグ!」
あれ。
今俺、何を思った?
「園川くん?」
「……りょ、了解です」
俺はごほんと咳払いして、自分のデスクに引っ込んだ。
どうしよう。昼飯のことだけじゃなく、色々、俺。
でも相手はコドモなんだから、これからだ、うん。色々と俺のことも教えて、躾けていけばいい。
「わ、わ、卵焼きすっげーふわっふわじゃん!」
何よりこんなにぴっかぴかの笑顔で喜ばれたら、言われたら、何でも叶えたくなるじゃないか。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

  • くそっ…!くそっ…!ツボった…!もっとだ!もっとくいやくださいお願いします是非続き書いてくださいすごく萌えました。 -- 2010-12-09 (木) 14:21:15
  • なにこれ超かわいい!GJ! -- 2010-12-11 (土) 10:36:05
  • こんなかわいい上司なんて、それなんてエロゲ…! -- 2010-12-12 (日) 20:29:04

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