Top/62-130

屍鬼 夏野×徹、徹×夏野 「体温」

屍鬼。夏徹?徹夏?エロないです。
※死にネタ注意!あとグロ注意。
※アニメの今後妄想。原作ルートでの今後の展開を参考にしてるので一応ネタバレ注意。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 夜明けまでまもなく、という頃だった。
 小屋の戸を開ける音に、徹は牢に凭れていた肩越しに背後を振り返った。
 青ざめた視界の中に浮かび上がったその人影に、息を飲む。
 いるはずがない者が、そこにいた。
 ――人影の手には大きな古い、薪割り用の斧。
 それはすでに、赤く濡れている。
「……夏野。どうして」
 人影はそれには答えず、つかつかと小屋の中に入ってくる。
 空の牢。それに背を預けて座る2人の側に、人影――夏野は、歩み寄る。
「……今と、眠ってからと、どっちが良い?」
 視線の先、座った人影の一方が小さく震える。
 やや間をおいて、微かに笑みを浮かべて答えた。
「……今で良いわ」
 少年は無表情に頷く。
「一発で終わらせるから。お願いだから、動かないで」
 人影が頷き、目を閉じると、少年は手にした凶器を振り上げた。
 重い打撃音。牢の木枠が砕ける音。それに次くごろりという落下音と、
水飛沫が壁を叩くような音。それらがすべて納まると、少年はやっと、数歩離れて
目の前の惨劇に呆然と立ちすくんでいる徹に視線を向けた。
「あんたは、どっちにする?」

「……夏野、お前……」
「――名前で呼ぶな!どっちだって聞いてるんだ!」
 徹が知らない冷たい光を帯びた瞳と声に気圧されて、徹は答える。
「……眠ってから」
 徹の言葉に、夏野の形の良い眉が上がる。
「そう。――まだ死が怖いんだ?それとも、これを見て怖気づいた?」 
 呟くように言うと、血濡れた斧を置いて、徹の横に座り込んだ。
 その手が震えているのに気づいて、徹は冷静さを取り戻す。
 ――夏野に、こんなことをさせたのは、俺だ。
 こんなことをして、平気な夏野なら、俺は夏野を殺せなかったはずなのだ。
 微かな声が足元からする。
「ごめんな。見たくなかっただろ?この人が死ぬところ」
 それは事実だったが、安堵したのも確かだった。徹は夏野の横に並んで座る。
「……いや。律っちゃんは……感謝してると思うよ。起き上がってからずっと、
 飢えと戦っていたから」
 たぶん、このまま朝を迎えて村人に狩られるより、ずっと楽な死を迎えられたはずだ。
 誰も殺して無いのに、杭を打たれたり、太陽の光に焼かれたりしなくて良かったと、思う。
 そう、と呟いて、夏野は言葉を継ぐ。
「辰巳は死んだよ。清水も。正雄も。兼正には尾崎の先生達が乗り込んでる。
 ――後は、たぶん、徹ちゃんと俺と、ここに潜んでる屍鬼達だけだ」
 淡々と告げた夏野の横顔には、疲労の色が濃い。
 微かに触れた肩に体温を感じて、夏野が人狼として起き上がったことを知った。

「……俺を、殺しに来たんだ」
「そうだよ。屍鬼を全て滅ぼして、俺も死ぬ」
 起き上がっても尚、自分自身を殺せるほどに屍鬼を憎める夏野が、徹には眩しい。
 ――徹だって憎い。屍鬼なんて、滅びてしまえば良いと思う。
 なのに、自分自身を殺してしまえるほどには、徹には憎み切れなかった。
「……俺はお前みたいにはなれなかったよ。ごめんな、お前に酷いことさせて」
 情けなくて、涙が零れた。その様子を、夏野はじっと見つめて言った。
「徹ちゃんが眠ったら、首を落とす。……大丈夫。今みたいに、一発で終わらせるから。
 きっと何も感じない。そして、ここに来た狩人に俺も殺してもらう。
 ――それで全部、終わりだ」
 淡々と告げる夏野の顔が、徹には悲しい。
 それでは、一番苦しい死を迎えないといけないのは夏野ではないか。
 窶れた顔を見れば、夏野もまた、満足に血を吸っていないのは明らかなのに。
「夏野……お前は、逃げて良いんだ。お前は、人狼になったんだろう?
 人を襲う必要はないんだから。俺に構わず、今すぐ逃げればいいんだ……」
 あの時、言うべきだった言葉を、徹は、やっと言った。
 今更言っても遅すぎると思う。彼から普通の人生を奪った。もう取り返しがつかない。
 けれども――人狼なら。逃げて、人のように生きていくことは不可能ではない。
 だが、夏野は首を振った。
「逃げてどうするの?こんな化け物になって、徹ちゃん死なせて。
 それで生き延びてどうするの?――終わらせたいんだ。全部」
「でも、お前にこれ以上手を汚させたくないよ。俺は、もうすぐ眠ってしまう。
 さっき、牢から人を逃がしたし、お前もここのことを知らせているなら……
 俺は、お前が手を下さなくても、きっと夜を迎えられない」

 だから、逃げてほしい。そう言い掛けた徹に、夏野は微笑って言った。
「徹ちゃんが、俺を殺した。俺が、徹ちゃんを殺す。これで『おあいこ』だろ?
 ……だから、もう泣かないでくれよ。俺、徹ちゃんのそんな顔、もう見たくないんだ」
 夏野の目にも、涙が浮かんでいた。
 ――徹は、説得を諦めた。
 睡魔が急速に忍び寄っていた。
 もういくらも時間がない。どのみち、徹にはもう、祈ることしかできはしない。
「……なあ、夏野。1つだけ、最後に頼んでいいか」
「――何?」
「抱き付いていいか?……その、体温が、恋しいんだ」
 最後に、夏野の温もりを感じて眠りにつきたかった。
「……良いよ。でも、あの世で会った時にやったら、また蹴るからな」
 恐る恐る腕を伸ばして、夏野を抱きしめた。餌としてではなく、大切な人として。
 変わらない温もりに、ほんの少しだけ、微笑えた気がする。
 徹は真っ黒に塗りつぶされていく意識の隅で、抱き返してくれる腕の感触を
嬉しく感じながら、伝えるべき言葉を懸命に呟いた。
「夏野……ありがとう……」 
 涙の一筋を残して、徹の身体から力が抜けた。抗えない睡魔の虜になったのだ。
 冷たいばかりの身体をもう一度抱き返してから、夏野は立ち上がる。
 壁に立て掛けていた斧を手に取った。

 ――これで、全部終わりだ。
 だから、あの世で会ったら……今度こそ、笑顔で俺を迎えてくれるよな?
 ――あの日のように。
 夏野は斧を振り上げた。

 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

 とか言いながら、夏野は医者のせいで死に損なう悪寒。
 こいつらに序盤の幸せと取り戻してやりたいのに欝エンドしか想像できないよ…

  • 欝エンド苦手だがこれは萌えた! -- 2011-07-26 (火) 23:32:22

このページを共有:
  • このページをはてなブックマークに追加 このページを含むはてなブックマーク
  • このページをlivedoor クリップに追加 このページを含むlivedoor クリップ
  • このページをYahoo!ブックマークに追加
  • このページを@niftyクリップに追加
  • このページをdel.icio.usに追加
  • このページをGoogleブックマークに追加

このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP