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ジョーカー 許されざる捜査官 来栖×伊達 「~君に笑顔が戻るまで~Part.2」

浄化ー、捏造話、Part.2です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 中学を卒業すると、盾は養護施設を出た。
見神が保証人になって、アパートを借りてやった。
奨学金が貰えたが、見神からの援助もあった。
高校入学前にいろいろ必要なものを揃えてやろうと思って、
見神は引越しの翌日も盾の部屋に行った。
冷蔵庫と洗濯機、テレビなどは前日に見神が手配していた物が届いていたが、
盾は、少しの衣類と何冊かの本の最小限の物しか持っていなかった。
これはいかん。
いまどきの子供が当然のように持っているものが、何もないではないか。
欲しい服なんてないです、困惑した声を出す盾を無理矢理連れ出してみたものの、
見神自身どんな店に連れていったらいいものかわからなかった。
結局、伊図津に同じ年頃の娘がいるのを思い出して電話して、
彼の娘から教えてもらった店に行った。
その店で適当に選んで買おうとしていた時、伊図津がその子を連れて現れた。
圧倒されて手も足も出ない状態の盾に、あれこれと試着させたのは
こんど高二になる伊図津の長女だ。
「あー、かわいい!」
「こっちはカッコイイ!!」
「両方だな。」
盾の買い物が済むと、見神は喜んで彼女に好きなものをおごってやった。
後で長女は伊図津に言ったという。
「彼、もうすこし背伸びたら、すごくモテるようになるね。」
「そういうもんかー?」
伊図津は、見神が後見している少年の容貌を思い返した。
中背ですらりとした体つきに、色白で肌理が細かく、さらさらの黒髪と長い睫毛に翳のある表情。
大きな黒い瞳が、女の子みたいだった。
十年後、自分の部下になるとはまったく予想出来なかった。

 一旦アパートに帰って洋服を片付け、次は食料を買って戻った。
見神は普段、外食だ。
二人とも長い間、家族の食卓と呼ぶものから遠ざかっていた。
久しぶりに食事を作った。
男二人で作った夕食は、ちょっと見た目は良くなかったが、十分旨かった。
流しに並んで洗い物を片付ける。
「結構疲れたな。」
「お茶淹れますね。」
「ん、すまんな。」
向かい合って食後のお茶を啜りながら、帰るのが億劫になっている自分に見神は気づく。
このまま、この部屋に居たい。
妻子の事件後、見神の自宅はからっぽだ。
本当はこの部屋より殺風景な生活をしている。
俺のようになるな。
俺と違って盾はこれからだ。
そう思って、自分を奮い立たせる。
「さて、帰るか。」
「え?」
「戸締りはちゃんとしろよ。火の用心もな。」
と見神は立ち上がり、玄関に向かおうとした。
「見神さん!」
盾に呼び止められて振り向くと、その胸に盾が飛び込んできた。
震えている。
「うん?どうした、一人で寂しくなったか?」
盾は弱弱しくかぶりをふるだけだ。
そっと抱きしめてやって、盾が落ち着くのを待った。
震えが収まってきた頃、盾はうつむいたまま
「抱いてください。」
とやっと口に出した。

「俺、本当に見神さんに感謝しています。
生意気なこと言ったこともあったのに、ずっと気にかけてもらって・・・。
こうするしか、俺、見神さんに返せるものがない・・・。」
そう言った盾を、見神は笑って制止した。
「おまえは、警察官の俺を犯罪者にする気か?」
「え?」
「加奈河県には青少年保護育成条例というものがあってだな、
要するに、大人は結婚するつもりがなかったら18歳未満とセックスしちゃいかんのだ。」
「そんな法律があるんですか?」
「おお、本当だ。男同士で結婚はないからな。
まあ、おまえが高校を卒業しても気持ちが変わらなかったら、
そうだな、その時は考えてやらないでもないが、今はダメだ。」
「・・・そうですか。」
気落ちした盾の耳に、そっと見神が囁く。
「その時は、後ろはヴァージンがいいな。」
その言わんとするところの意味を知り、盾は赤くなった。

 見神がエロおやじだったから、そう言ったわけではない。
自傷行為に走るかもしれない盾を、なんとか牽制したかったのだ。
周囲となじまなかった盾には、エロ話で盛り上がるような
同年代の友達がいなかったので、そちらの知識や経験には疎いままでいた。
だが、例の件で、一気に男同士でもセックスが出来ることまで知った。
高校進学と引越しでばたばたしていたのも、もう終った。
高校生で一人暮らしとなれば、今までより世間の恐ろしさを知るだろうし、誘惑もあるだろう。
ぱっと見た目は地味だが、盾には何か人を惹きつけるものがある。
それに聡い子だ。
盾の両親を殺した名駄偽が、盾を一緒に殺さずにいた理由にたどり着くのも時間の問題だ、と見神は考えたのだ。
容赦ない取立てに、盾の父親が疲労困憊したころを見計らって、
名駄偽は、借金の返済の猶予と引き換えに、利子代わりに息子を差し出せと言って来た。

父親はその意味を知り、真っ青になって拒否した。
取立てに来た名駄偽が、舐めるような目つきで息子を見ていたのを思い出し、心底ゾッとした。
この日本ですら、毎年何百人という子供が行方不明になっている。
家族まるごと失踪したもの、一家離散してしまったもの、
そして、人身売買されたと思しきもの・・・。
闇に消えた子供は、二度と日の目を見ない。
盾の両親殺害で逮捕されるまで、名駄偽に殺された人間は何十人といた。
だいたいが、保険金を掛けられて自殺を強要された。
見せしめのために殺されたと疑わしい人達も何人かいたが、
そういう場合、遺体はまったく発見されなかった。
保険金を巻上げられたうえに、売り飛ばされたと思しき子供達もかなりいる。
名駄偽は、自分の組織のそれ専門の人間に引き渡しているだけのようだったが、
引き渡す前に、自分の好みの子は味見しているという、イヤな噂もあった。
消えた子供達の一切の消息が知れない。
名駄偽とその組織の隠蔽は巧妙で、結局起訴出来たのは盾の両親殺害の件だけだった。
盾の両親は、盾を連れて逃げようとして殺された。
自分が犠牲になっていれば両親が死ななくて済んだと思ったら、自分で自分を壊しかねない。
見神が刑事になることを勧めてから、盾は自分と同じように犯罪被害にあって
苦しんでいる人のために何かしたい、と考え始めていた。
その盾を、暗闇に戻したくなかった。
三年の間に、好きな女の子でも出来れば考えも違ってくるだろうと思ったのだ。
その後、そんな約束をしたことはすっかりなかったように、二人とも触れなかった。
盾は最初、高校を卒業したら警官になるつもりでいた。
見神はそれを聞いて、成績優秀なのだから、もっと上を目指せと言った。
盾も見神のアドバイスを受け入れ、進学する道を選んだ。
高校の三年間は、勉強と周囲との壁を崩すのに費やされた。
大学に入学する少し前、三年前の約束どおり、盾は見神に抱かれた。
見神に言われたとおりでいた。

 関係を持つ前、見神はまた盾に約束させた。
大学に行ったら、女の子とも付き合うこと。
警察官になるのだから、自分との関係は大学を卒業するまでの期間限定だということ。
それでもよかった。
見神の体の下で、その体温と重さを受けながら抱きしめられていると、
冷え切った心と体の隅々に温かい血が通うのが感じられ、ただただ安心出来た。
「犯罪は、大体、色と金絡みだ。恋愛もしたことのない人間に、事件の裏なんてわからんぞ。
無理して付き合う必要もないが、何事も経験だ。他人の恋愛もよーく観察しておけ。」
なるほど。
ほどなく、付き合って欲しいと言う子が現れた。
好きでもきらいでもなかったのでやんわりと断ったが、
恋人がいないのならあきらめられない、と食い下がられた。
見神のことを言うわけにもいかず、試しでもいいのなら、
という条件を彼女が受け入れたので付き合ってみた。
見神が自分にしてくれたことを応用してやると、盾クンって上手ねと言われた。
そんなものかな。
見神はもっと自分をよがらせるのに。
自分が抱くのも悪くないが、抱かれると気絶するまでの快感を味わえる。
ただ、そうなるのは見神以外ではイヤだった。
心の中で他人に対して身構えているところがあって、女の子が自分に身を任せてくるのはともかく、
自分が身を任せられるのは見神のように心を許した男でなければいやなのだ。
名駄偽に対する恐怖心と、中学のあの教師に対する嫌悪感が残っていたのかもしれない。
男に抱かれている男は他の男も惹きつけるのか、何人かに声を掛けられた。
そちらは、好きな人がいるから、とみんな断った。
のちの話になるが、心を許して関係した女性は、佐衛子だけだったかもしれない。
女の子の方は、何人か付き合っては別れているうちに、後腐れなく付き合える子と
そうでない子の区別もつくようになった。
少しずつ友人も出来て来た。
アルバイトもいろいろな職種を試した。
学生生活の内でも外でも人間観察をした。
笑顔も少しずつだが増えた。

凍っていた時間が、少し溶け出してきたのかもしれない。
その熱を与えてくれたのは、見神だ。盾はそう思っている。
見神が転勤の合間に会いに来てくれると、朝まで離れなかった。
見神がしてくれたことを、他の女の子にしてやったりする盾だが、
逆に女の子にしてもらったことを見神にもしてきたりするので、見神は苦笑した。
相変わらず本ばかりの盾の部屋だったが、高校生時代と比べると、ジャンルもかなり拡がっている。
一人暮らしを始めた頃は、白いシャツとジーンズの他は、黒い制服しかなかった
盾のワードローブにも、今はいくつもの色彩がある。
アルバイトで料理の腕も上げ、見神の好みに叶う和食を食べさせてくれる。
最初思ったのとは違った関係になったが、見神は盾の成長が純粋に嬉しかった。
 盾の大学卒業で、その関係にはピリオドを打った。
これからは、同じ警察の先輩と後輩だ。いや大先輩だ。
見神は警視監として、加奈河県警に戻って来たのだ。
いつか見神の助けになるような刑事になる。
盾にはそういう目標があった。

 キャリアになることも出来たと思うが、盾はノンキャリアとして
現場に立つ道を選んで、警察学校に進んだ。
新しいスタートは順調だった。
同じ班になった美弥木と佐衛子とは、我ながら驚くほどのスピードで親しくなった。
美弥木は、奈津記の名のとおりにまっすぐで明るい男だった。
盾とはいろいろな面で正反対だったが、逆にそれが心地よかった。
佐衛子は、盾のいままでにはいなかったタイプだ。
華奢な外見とは正反対にさばさばとして、警察学校の規定で髪を短くしているせいか、
へたをすると男の盾より男らしかったりした。
それと、佐衛子も肉親との縁が薄いらしい。
大学入学の前後に両親と死別して、兄弟もいない。
佐衛子には、両親が殺されたことが素直に口に出せた。
久流須とは班が別だったが、美弥木といい競い合いをするようになったせいで、
盾も次第に親しくなった。
どうしてだか、盾には久流須の笑顔がまぶし過ぎた。
どうしてだろう・・・。

 両親を殺害された後、盾はよくうなされた。
繰り返し繰り返し、あの日の出来事が鮮明に蘇る。
成長と共に次第に収まってきてはいるのだが、雨の夜がダメなのだ・・・。
見神に抱かれていると安心するのか、雨の夜でもうなされなかった。
女の子の部屋に泊まった時は、ダメだった。
それで盾の方から頼んで別れた子もいる。
警察学校では全寮生活をしなければならないので、少し心配していた。
小さくて大して壁も厚くないが、一応個室だったので、ほっとした。
入学当初は忙しさにまぎれていたのだろう、しばらくはうなされることもなかった。
このまま、卒業までなんとか・・・。
自分は一生こうなのだろうか?
この痛みと苦しみは、もう盾の人生そのものだ。
逃れようとは思わない。
だが、ふつうの人と変わらないように友と語り、笑う自分も自分だ。
見神は明るくなったと安心しているが、心の中の闇は依然として存在している。
陰と陽の二面性を持っているようで、我ながら自分が恐ろしかった。
俺はものすごいうそつきだ。
だから、美弥木や久流須に憧れるのかもしれない。

 外泊が許される時期になると、盾も許可を取って自分のアパートに戻った。
警察学校を卒業し配属されたら警察の独身寮に入るだろうから、そうしたらこの部屋ともお別れだ。
窓を全開にして部屋の空気を入れ替え、大きく体を伸ばした。
次に外泊許可を取って戻る時、美弥木と駅まで一緒になった。
いろいろ話しているうちに、飯食って行こうと美弥木が言い出した。
「ええ、いいの~?家で用意して待ってるだろ?」
「近所で不幸があってお通夜に行くから、適当に済ませて来てって、おふくろから電話があってさ。」
「そうなんだ。じゃあ、なんにする?」
話が弾んで、結局盾の部屋に美弥木を泊めることになった。
入学してからうなされていなかったし、昨夜見た週末の天気予報も曇りと言っていたし、
と盾は自分の不安を押し込んだ。

 その夜は楽しい夜だった。美弥木は話上手で、盾をまったく飽きさせなかった。
美弥木の年の離れた妹の話も、女の姉妹に縁のない盾には楽しかった。
二人が眠ったのは、だいぶ遅くなってからだった。
残念なことに予報ははずれ、やがて降り出した雨が次第に雨音を大きくしていった。

 盾は美弥木に揺す振られて、ガタガタ震えながら目を覚ました。
「盾、大丈夫か?」
「美弥木・・・。」
「すごくうなされてたぞ、おまえ。」
「ん、ごめん、ここんとこ大丈夫だったんだけど・・・。」
「よくあることなのか?」
「前は・・・。」
「すごい汗だぞ、熱があるんじゃないのか?」
「大丈夫・・・。」
盾はベッドに起き上がったが、まだ半分自失しているようだった。
美弥木がタオルを取ってきて、顔の汗をぬぐってくれた。
パジャマの前を開き、首すじから胸へとタオルを当てる。
白い肌が大きく上下している。
「雨・・・。」
美弥木は、自分の方がドキドキしていると思った。
さきほどの盾の苦悶の表情が浮かぶ。
きつく目を瞑り、汗を浮かべ首を左右に振る盾の白い顔は、なんというか、色っぽかった・・・。
「盾、パジャマ替える、か、、」
盾は暗い目をしていた。こんな盾は初めて見た。
壮絶で、美しい目だ。
きれいな顔をしているな、とは思っていた。
だが、こんなに美しいとはわからなかった。
盾が、その目を美弥木に向ける。
一瞬、美弥木は体を引きかけた。
盾が自分から離れた美弥木の手を引き寄せる。
盾が唇を寄せてくると、美弥木は自分から盾をベッドに押し倒していった。

 翌朝、目が覚めると、体の奥の違和感で美弥木との行為を思い出した。
まだ十分な準備が出来ていないのに、入れられてしまった。
美弥木のことは好きだ。でも友情だと思っていた。
体の関係を結ぶつもりはなかったのに、すがってしまった。
こうなったことで、美弥木は自分から離れていくかもしれない。
隣で眠る美弥木が目を覚ますのが、盾には怖かった。
ともかくシャワーでも浴びようとベッドから降りかけると、背後から美弥木に抱きしめられた。
「好きだ。」
「美弥木・・・。」
「おまえは?」
「・・・うん、俺も・・・。」
うそではない。だが、なんだろう、この落ち着かない感じは。
そのまま、ベッドに引き戻された。

 寮内で行為に及ぶわけにはいかないので、外泊許可が取れた休日に朝まで絡み合った。
美弥木は男同士でするのは初めてだったが、すぐに慣れて盾を失神するまで追い詰めるようになった。
元々を開発していた見神のおかげで、盾が感じやすい体になっていたのもあるが。
「盾、おまえ・・・。」
美弥木が動くのを止めた。
気を失う寸前まで行っていた盾は、しばらく状況を理解することが出来なかった。
「え?」
美弥木は呆然と盾の顔を見下ろしている。
盾はまさか!と思った。
動揺が顔に出たのだろう、美弥木が顔をそむけた。
「・・・久流須に、抱かれたいか?」
顔を背けたまま、美弥木は搾り出すように言った。
「美弥木、俺・・・。」
美弥木は、盾の体から離れた。
盾自身、久流須の名を呼ぶまで、自覚はなかったのだ。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! 次回に続きます。


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