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ゲームセンターCX 江本×有野 「エガヲノインリョク」

ナマモノ注意!!

GCCX
もうすでに新シリーズが始まっているのに、
今更、前シリーズの最終回をネタに、8代目AD×課長

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

この現場での、最後の仕事が終わった。

その場に居たスタッフ全員に、声をかけ、挨拶をし、
そして、本当に、最後に、最後の挨拶がしたくて、あの人の狭い楽屋を訪ねた。

蟻野さんは、連日の挑戦で疲れているのに、ましてや、次の仕事が押しているのに
心底嬉しそうに、招き入れてくれて「寂しなるわー」と、言ってくれた。

それだけで、泣きそうになってしまって、言葉がつまる。

暫しの沈黙を破ったのは、蟻野さんの方で。
「・・・あの歌ってなー」
「え?」
「あのー、うちのカーヴィーが歌ってた歌な」
「あ、はい」

脳裏に、最後の収録の時、一緒に見たDVDの映像が甦る。

アナタガイタカラ キセキガオキタ
アナタガ タスケテ クレタ

「あの歌詞って、柄藻戸の事やんなぁ」
「え・・・?」
「レミングスのときも、シレンの時も、柄藻戸が助けてくれたからエンディングが見れたんや
 ほんまにに、奇跡を起こしたんは、エモヤンやで」
「そんな事は・・・」
(ありません)と続けようとした言葉が、込み上げる想いにかき消される。

「ほんまに、今まで、ありがとうなー」
そう言って、蟻野さんが右手を差し出した。
「あ、はい」
マヌケな返事しかできずに、慌ててその手を取った。

ぎゅっと握った蟻野さんの大きな手の温もりに、背中を押されて、
ずっと言いたかった言葉を切り出した。

「あの・・・餞別に、キスしたいって言ったら、どうしますか?」

蟻野さんは一瞬驚いて、真顔になって、でもすぐに悪戯っぽい笑顔になって
「・・・したら、いいんちゃう?」と、軽く言い放った。

そんなにアッサリと承諾されるとは思わなかったので、今度はこっちが面食らって
一寸戸惑っていると、蟻野さんは目を閉じて「ん」と少し顎を突き出した。

その口元は少し緩んでいて、本当にいいのだと告げているようで。

ゆっくりと蟻野さんの前に跪き、震える手を彼の肩に置いた。

喉が渇く。
息が止まる。
早鐘のような鼓動が、耳の奥で聞こえる。

まるで、繊細な硝子細工に触れるように、そっと、そっと、唇を重ねた。

柔らかく、触れるだけの、キス。
でも、今までの、すべての想いが伝わるように。
・・・唇が、震えてしまっているのも、伝わっているだろうか。

触れたときのように、また、そっと、唇を離した。
目が合わせられなくて、俯いていると、蟻野さんが呟いた。

「エモヤン、オマエ、優しいキスするなぁ」
その声色こそが、とても優しいのに。
「俺まで、切なくなるわー。もー」
そう言って、困ったような顔で笑う。

「んで、キスだけで、ええのん?」
「え・・・?」
思わぬ一言に、なんと返していいか分からなくて、瞬きも出来ないほど固まってしまった。

ニヤリと口元で笑った蟻野さんに、肩を軽く叩かれる。
「キスの続きは、オマエが出戻ってきてからな」
本気とも、冗談とも取れそうな物言い。
それでも、鼓動はさっきよりも早くなって、頬が熱くなっていく。

目の前には、少し照れたような笑顔。

ふいに。
一度はこの番組を卒業していった先輩たちが
何故か、出戻ってきてしまう理由が分かったような気がした。

この笑顔に引き寄せられてしまうのだ。
この人の傍に居たいと、そう願わずにはいられない。
そんな、不思議な引力を持つ、笑顔に。

「・・・いつでも、出戻り大歓迎やからな」
くしゃりと髪の毛を撫でられる。
止めようも無い涙が、頬を伝い、冷たい床に落ちる。

「泣くなやー、もー」
そう言う蟻野さんの瞳も潤んでいて、それがまた新しい涙を誘う。

馬鹿みたいに泣く事しか出来なくて震える体を、蟻野さんの優しい腕が
そっと包み込んでくれた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

「Good-by Game(和訳)」の歌詞が切なすぎて泣ける…
お目汚し、失礼しました。


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