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三味腺屋+ハ丁堀×カザリ職人

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                    | 新/必/殺シゴトニン
                    | 三味腺屋+ハ丁堀×カザリ職人
                    | フライングお花見ネタだモナ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 本日、江戸(東京)の開花キター 
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 | | |> 再生.        | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) ハナヨリ ダンゴ
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桜にryネタに挑戦してみました。

春の花見は江戸の一大娯楽である。梅の季節が過ぎ日々の風も暖かくなると、
皆そわそわと桜の枝を気にし始め、蕾は固いかもう綻んだかと毎日のように会話が交わされる。
武家や豪商の大掛かりな花見もそこここで行われるが、なんといっても庶民の賑やかな花見は春の風物詩だ。
手弁当や酒、それが苦しいなら沢庵と番茶でと、思い思いの御馳走を手に桜の下へと足を運ぶ。
さまざまな出店が客を引く声が響き、「茶番」と呼ばれる芝居を披露する役者に拍手が起こり、
この日のために着飾った女たちが華を添える。
花見の日ばかりは少々の乱痴気騒ぎも大目に見られ、取り締まる側の役人もちゃっかりお裾分けに
ありつきながら、仕事にかこつけて花見を楽しむ。
日頃の憂さを忘れて、訳もなくうきうきする気分のままに春の訪れを祝うのだ。

越/前掘の三味腺屋、ユウジも出稽古先の要望を受け、愛用の三味腺を手に花見会場へ向かっていた。
すれ違う人々もどこか浮かれ気分で足取りが軽い。ちらちらと視界に花びらが舞い始めると、
やがて見事な桜並木が悠然とその枝を広げてユウジを迎えた。
すでに大勢の町民たちが集まり、早くもあちこちで宴会が始まっているらしく調子はずれの歌も聞こえてくる。
少々早く来すぎたか。ユウジは茶店を探して首をめぐらせた。
茶を一服、いや、できれば上等の酒を一杯引っ掛けたい気分だった。
しかし、満開に時期を逃すまいと詰め掛けた人々で、どこもかなりの混みようである。
茶屋の娘たちの声が忙しく飛び交うのを耳にしているだけで疲れを感じ、
ユウジは一旦その場から離れた。

桜並木から程近く、林を越えた奥へ、ユウジは鼻歌を歌いつつのんびり歩を進めた。
いつもはあまり足を向けない地域である。濃い緑に囲まれた中にぽつぽつと家が並び
落ち着いたたたずまいを見せている。古いが重厚な造りの家々は、どれも邸(やしき)というには
小さく、財産のある家の別宅として使われているものが多い。
そのためか、花見の喧騒が嘘のように静けさに包まれ、緑の匂いが涼しさを引き立てていた。
人の気配のない場所を気の向くまま歩いていると、突然目の前に大きな薄桃色が現れた。
小ぢんまりとした家の庭に一本、忘れられたように立つ桜の古木。
満開一歩手前の花をふんわりと纏って、小ぶりの木ながら精一杯枝を空に伸ばしている。
ここまで来る者もない、時折鳥の声がするだけの場所にはひどく似つかわしい姿だった。

その下に、木綿半纏と長い脚。
ぼんやりと花びらの散る空間を眺め、足を投げ出して座るカザリ職人が一人。
花びらが遠慮なく手足に降りかかる中、それを払う様子もなくただ座っていた。
ユウジは一瞬言葉に詰まった。
何の気なしに踏み込んだ場所で、見知った人間を偶然見つけたということもある。
それ以上に、いつもなら気配に気づかぬ筈のないヒデの様子に言葉が出なかった
黒い瞳はこの世から離れてしまったように遠くを見ている。音のない空間で
風景の中に溶け込んでいる姿には、確かにそこに在るという実感が乏しかった。
ユウジは気を取り直し、声をかけた。
「よう」
大きな目が見開かれる。髪に花びらをくっつけたままのヒデがこちらを見た。
ようやく我に返ったのか、照れくさそうに大きく伸びをする。
「こりゃまた、いい場所知ってんな」
「ここのご隠居が亡くなってな、それから空き家なんだ。誰も来ねえから寂れる一方でさ」
そこは、庵と呼ぶには大きいといった具合の質素な家だった。質のよい木材が使われているのだろう。
無人となった今も、濡れ縁や柱には品のよい艶があった。

「三味腺屋、お前ェも花見か」
「まあ、そんなとこだ。花見の席で一曲弾いてくれって頼まれてな。
 どうしても断れねえ相手だ、まあ仕方ねえ」
「へえ」
「そっちこそ男一人かよ。若えモンが寂しいね」
「五月蝿えな。こっちは仕事でそれどこじゃねえんだよ。花見に合わせた簪の注文が多いんだからな」
「それがこんなところで油売ってていいのかよ」
「息抜きだ。それに、こうして桜を眺めてると、いい細工が浮かんでくる。
 ずっと閉じこもってると頭が回らなくなンだよ」
「なるほどな」
ヒデの隣の包みに目をやりながら、ユウジは相槌を打つ。
どう見ても一人分には多い握り飯と竹筒。誰に持って来たのやら。
「お前ェこそふらふらしてちゃ拙いんじゃねえのか。姉さんたちがお待ちかねだろ」
「まだ間がある。静かに花見も悪かねえさ」
言いながら、ユウジはヒデの隣に腰を下ろした。静かに見たいなら何もここでなくてもいいのに、
とヒデは不思議そうな顔をしながらも、特に何も言わず再び幹に背を預けた。
さらさらと風に鳴る枝、そして花。ちらちらと降る花びらは時間を忘れさせるようにとめどなく舞い続ける。
言葉もなく、それでも心地良い空気の中で二人はただ花を、緑を、空を眺めた。
ふと、視線を感じてユウジは向き直った。
「何でえ」
「いや、色男ってえのは絵になるもんだなあと思ってさ」
柴犬のような表情でそんな台詞をけろっと言うヒデに、ユウジの動きが止まる
「…鳩が豆鉄砲食らった顔すんなよ」
笑ってヒデは肩の花びらを払った。
実際、過ぎるほどに整った容貌と趣味のいい着物は、桜を背負うとこの上なく目を惹いた。
女たちが騒ぐのも無理はないか、とヒデでも素直に思ったからそう言ったまでである。
「お前ェにもようやくわかったか」
「言ってやがるぜ」
くすくす笑う顔はあまりに無邪気だ。なんとか余裕を見せて返したものの、
ユウジはどうにも落ち着かなかった。

先ほど一人で座り込んでいたヒデの表情が頭から離れない。
花びらに巻かれるままただぼんやりと中空を眺める目は、恐ろしいほどに澄んでいた。
黒目がちの瞳は、癖っ毛の下から上目遣いに見られるたびに違う色を見せる。
あるときは仔犬のようであり、無垢な少年のようであり、また闇夜と同化する冷たい黒でもあり。
その見慣れた黒い目が、見たことのない色を浮かべて桜に巻かれていた。
そのまま消えてしまうかもしれない。そんな馬鹿な考えが頭をよぎった。
馬鹿だとわかっていながら、声をかけていた。

「桜の木の下には…死体が埋まってるって言うの、知ってるか?」
枝の先を見つめたままま、ふとヒデが口を開いた。
ユウジは見透かされたかと内心どきりとしたが、そ知らぬ顔で返す。
「ずいぶんと物騒な話だよな。この桜色は、死体の血を吸った色だってんだろ?」
「血を吸って、こんな綺麗な色になるのかな」
花びらをひとつ手に取って見つめる目は、さっきの遠い目だった。
「そんなこと考えてたのか、一人でよ」
ユウジのからかうような口調に、僅かにヒデは笑う。
「でもまあ、夜桜を見てるとあながち嘘じゃねえのかもしれねえと思うぜ」
「夜桜、か…」
夜桜見物の時間も過ぎた、誰の気配もない漆黒の夜。その闇を切り裂くように咲く夜桜は、
昼とはまったく違った顔を見せる。人々が愛してやまない可憐かつ勇壮な姿が偽りだというように、
妖しく、いっそ凶悪なその美しさを見せつける。
何かの制御が外れてしまったような、恐怖さえ感じる夜桜に、訳もなく戦慄を覚えたことがある。
根元に埋まる死体からすべての血を啜り、いつかは真紅に染まるのだろうか。
「俺たちはどんなに血を吸っても、桜にはなれねえんだな…」
微かな呟きは、花のさざめく音に紛れそうなほど小さかった。
「ヒデ…」
「あ、いや、何でもねえ。忘れてくれ。俺もう行くわ」
自分でも意図せずに口から出たらしく、ヒデは慌てたように立ち上がる。脚から花びらがさらさら零れ落ちた。
「待て」
咄嗟に手を掴んでいた。ヒデが目を丸くしてユウジを見る。
「何だよ」
掴んでからしまった、とは思った。だが掴んだならもう仕方がない。

立ち上がりかけの不安定な姿勢から、思い切り腕を引かれたら倒れるしかない。
力強い両腕が後ろからヒデを捕らえる。その力にヒデは反射的に身構えた。
だが、すぐに詰めた息を吐いた。
「おい──」
「黙ってろ」
「誰か来たら!」
「誰も来ねえんだろ?」
いつもの飄々とした口調。そこにわずかな違和感がある。ユウジにしては珍しい。
気づけば片方の肩がむき出しにされていて、密着した体温をより高く感じた。
ヒデはその素早さに呆れつつも感心した。
「昼間ッから盛ってんじゃねえよ。どうせこの後よりどりみどりなんだろうが」
「お前ェがいい」
低く囁かれ不覚にもぞくりと腰が疼いた。肩に熱い舌と唇が繰り返し触れ軽く食んでいく。
噛まれてるわけでもないのに、そこがじりじり灼けるようだ。
喉を逸らし、乱れた息が漏れた。
腹掛けの結び目が解ける音が妙に大きく聞こえる。胸が空気に晒されて一瞬ひやりとした後に
熱い手がすかさず差し込まれた。繊細な撥さばきも、人ひとり吊り上げる怪力も、
同じこの手が生み出している。その手が今は明らかな劣情をもって肌の上をすべっていく。
不意にヒデの身体がくるりと反転させられ、桜の幹を背にユウジと向き合う形になった。
いつも目元涼しい男に真っすぐ見据えられ、その奥に篭った静かな熾火を垣間見て
欲情してもいい男は決まるものだなと考えているうちに、あっさり唇を塞がれた。
「…っは…」
いつもながらこいつは上手い。黙っていれば腰砕けにされそうな愛撫が背中に腰に、気づけば太腿に与えられる。
満開の桜の下で男二人が昼間から絡み合ってるなんて、笑い話にもならない。
が、頭のどこかで悪くないかと考えていることにもヒデは気づいていた。
深く浅く、巧みな接吻けが首筋へ移動し、胸まで降りて執拗に往復する。
脚からきわどいところを通り、帯に手が掛かった。

「…ここまでだ」
「…畜生」

長い指がユウジの手にそっとかかる。ただ添えられただけの手に、ユウジは潔く身を起こした。
晒された肌の上にも桜が落ちて、紅潮した身体をなまめかしく際立たせる。
無意識に目を逸らしているうちにヒデはさっさと身支度を整え、既にいつもの様子と変わらない。
施される愛撫のままに喘いだ顔も、降り止まぬ桜に捕らわれかけていた瞳も、微塵の名残もない。
夜桜のようだ、とユウジは気障ったらしいことを考えた。
自覚があるのかないのか、自分を惹きつけてやまないあの目は、ときに思いがけない色を見せて
こちらを動揺させる。少年のような容貌に隠された姿は、まだ他に幾つあるのだろう。
「さて、行くか」
ユウジは三味を手に立ち上がった。少しばかり遅れたかもしれない。急いだほうがよさそうだ。
「三味腺トチっても俺のせいじゃねえからな」
「俺はそんな間抜けじゃねえよ」
思わせぶりな言いざまにユウジはやれやれと肩をすくめた。まったく熟練の遊女よりタチが悪い。
ひらひらと手を振って、広い背中が生垣の向こうへ消える。やがて足音も聞こえなくなった。
「真っ昼間に大の男を押し倒す奴のどこが間抜けじゃねえんだよ」
ひっそり呟いた声は、桜だけが聞いていた。

それからしばらくして、木戸がきしむ音が反対側から聞こえた。くたびれた茶の羽織がのっそりと現れる。
「よう。遅かったじゃねえか」
「花見客の整理に手間取っちまった。交代時間なんざ守られやしねえ」
「へへへ、ご苦労さんですね旦那」
差し出した竹筒の茶を呷り、モンドはぐっと両腕を伸ばす。
「あいかわらず空き家か」
「ああ、そのまんまみてえだ」
この家の桜のことはモンドから教えられた。見廻りをさぼってそぞろ歩きの際に茶をご馳走になったらしい。
一人で住んでいた物腰柔らかな老人は、名のある家の隠居と思われる品性を感じさせる人物だった。
よいカザリ職人を探しているという老人にモンドはヒデを引き合わせ、彼は生まれたばかりの孫娘の簪を注文した。
だが、それを受け取ることなく老人は世を去った。不治の病を患っていたと聞かされたのは葬儀の晩だった
「あれからふた月か。ご隠居もどっかで花見してるかな」
「ちっこい孫の傍だろうよ。なにせ見えねえんだから好きなだけ引っついていられる」
「はは、そりゃいいや」

「やっぱりお役目なしで見るもんだな、桜は」
握り飯を手に上機嫌なモンドに、ヒデも倣って一口齧った…ところで、そっと視線を落とす。
モンドの右手がヒデの腰をがっちりと捕らえている。
「……何だよ」
「この見事な桜の下で、随分と粋な花見じゃねえか。なあヒデよ?」
顔は前を向いたままの空々しい口調が、何を言いたいのかは明白だ。
「…出歯亀してたんじゃねえか」
ヒデはばつが悪そうにそっぽを向いた。右手がだんだん嫌な動きをし始めたのは放っておくことにした。
「どうせ感づいてたに決まってやがる。いい度胸だぜあの三味腺屋」
怒る方向が違うとため息が出るが、それでもこんな顔が見られてなんだか面白い。
嬉しいのかもしれない。
「おう、ヒデ」
「今度は何だよ」
振り向きざま唇に噛み付かれた。握り飯に詰めた梅干の酸味を舌に感じる。
珍しく余裕のない接吻けにヒデの呼吸が上がる。背中にしがみつく手に少々嗜虐的な気分を味わいながら、
モンドはわざと荒々しく貪った。
「何だよ…」
目元を染め掠れ声のヒデが、困ったように眉を寄せモンドを見上げる。
「今夜は夜桜見物だ」
「…仕事しろよ」
続けて低い声が耳元に届く。
「逃がしゃしねえぞ、覚悟しとけ」
「おっさんが無理してんじゃねえや」

呆れたように返す声は、それでもどこか楽しげだった。

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 | | □ 停止        | |
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ )ダンナ ナニシテンダヨ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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なんかカザリ職が黒い…


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