Top/6-423

次男×末っ子

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  マジな戦隊の次男×末っ子続き。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  前回までのお話>>390-391
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「ちーいーにー!」

 ノックもそこそこに、勢い良く扉を開く。
 普段ならその時点でうるさいだの、お前はいくつになっても落ち着きが
ないだのと言った罵声が返ってくるんだけど、今日は不思議と静かだった。
「ちい兄ー、宿題わかんねーとこあるんだけどー」
 本人の了解も得ずに部屋の中へと入り込み、自室から持ち込んだ教科書や
ノートを無造作に机の上に放り投げる。
 今度こそ怒られるだろうと思って肩を竦めていたけど、またしても応答無し。

「ちい兄?」

 ちい兄の姿を探して視線を巡らせると、部屋の隅に並ぶ棚に所狭しと敷き
詰められている小難しいタイトルの本が目に入った。
 二つしか歳が違わないというのに、あの本達はきっと俺が読んでも理解
出来ないに違いない。俺があまり賢い方じゃないってことも原因の一つだと
思うけど、やっぱり英知の色を司る魔法使いだと唄われるだけのことは
あると思う。
 ちい兄はちい姉と同じで昔からよく勉強が出来て、俺の宿題を見るのは
大抵この二人の役目だった。ちい兄の方は俺に頼られてもあんまり嬉しく
なかったみたいだけど。
 それでも俺は、ちい兄に勉強を教えてもらうのが大好きだった。
 ちい姉に比べるとちい兄のご指導は些か乱暴で、教えられた事ができなかった
時なんてそれはそれは…口にするのも恐ろしい。
 でも何だかんだで最後まで付き合ってくれるし、ちゃんと問題が解けた時には
柔らかな笑顔を見せてくれる。
 ちい兄の言うことがいつも現実的で正論すぎてつい反発してしまうせいか、
こういう笑顔を向けてもらえることってなかなかないんだ。まあ、俺が全面的に
悪いんだろうけどさ。
「…出かけちまったのかな…」
 知らずと漏れた呟きには、隠しようのない落胆の色が満ちていた。

 今日もあの笑顔が見られると思ったのに。よりによってこんな時にいないだ
なんて、ちい兄のばか。
 そんな理不尽な愚痴を心の中でこぼしつつ諦めて視線を落としかけた時、
窓際のベッドの上で丸まっている物体にようやく気が付いた。

「…あれ?」

 まるでそこだけ世界の全てから切り離されたように、白いシーツの海に
横たわる一つの影。それは紛れもなく、俺がずっと探していたちい兄だった。
 極力音を立てないようにベッドまで近付き、眠るちい兄のそばにそっと
腰を下ろす。重く閉じられた瞼の前で軽く手を振ってみたけれど、起きる
気配は全くない。
 薄い唇からは、静かな寝息が紡がれるばかり。
 正面の窓から差し込む夕焼けが目に痛くて、思わず瞳を細める。こんな
眩しいところでよく熟睡できるもんだと、感心すらしてしまう。
「おーい、ちい兄?」
 夕陽を受けて赤く染まる髪を指で梳いても引っ張っても、ちい兄の
身体はぴくりとも動かなかった。
「ちい兄、おいってば!」
 最後の確認をするように、さっきよりも少しだけ大きな声で呼びかけて
みたけれど、ちい兄は煩そうに呻いただけで身体を動かそうとする気配すら
感じられない。
 ちい兄の眠りは深い。おまけに低血圧なのか、驚くほど寝起きも悪い。
一度寝入ったが最後、ちょっとやそっとじゃ起きやしないんだ。
 そんなこと最初から分かっていたんだけれど。
 そっとベッドの脇に手をついて体重をかけ、眠る彼の唇にゆっくりと顔を
近づけた。吐息が触れ合うほど距離が縮まったところで、俺は決まっていつも
謝罪の言葉を口にする。
「…ごめん、ちい兄」
 そして吸い込まれるように、ちい兄の唇に自らのそれを重ねた。

 ちい兄の眠りが深いのを良いことにこんな行為を繰り返すようになった
のは、もう随分と昔のことだ。
 初めは…そう、ただのスキンシップのつもりだった。ちい兄が兄弟の
中で一番最初に挨拶代わりのキスを卒業してしまったことが、ひどく
寂しかったのだろうと思う。
 起きている間は絶対に許してくれないから、こうして眠っている隙に
おはようやおやすみのキスを済ませてしまう。言うなればただの遊びだ。
スリルを楽しむための、幼い子供ならではの遊び。
 だけど、幾つになっても俺がこの遊びを卒業することはなかった。自分の
中に存在する、もっと別の感情に気付いてしまったから。
 ただ純粋にちい兄に触れたいと願う心に、気付いてしまった。
 頬や額に落とすだけだった軽い口づけはいつしか唇へと移り、彼を求めて
止まない歪んだ心をほんの一瞬だけ満たす。
 その瞬間のためだけに、俺はずっとこの卑怯な行為を繰り返していた。

 この気持ちは、ただの憧れ。出来の良い兄に対するただの憧れ。そう自分に
言い聞かせて他の子を好きになろうとした。でも…やっぱり駄目だった。
 ちい兄と同性じゃなかったら。兄弟じゃなかったら。
 そんなことを考えるたびに、胸が苦しくて涙がこぼれそうになる。
「ちい兄…」
 そっとその胸に顔を埋めると、とくんとくんと規則正しい鼓動が聞こえて
くる。ちい兄に触れているだけで、俺の心臓は壊れそうなくらいに早鐘を
打っているというのに。今にも、爆発してしまいそうなのに。
「ちい兄…っ」
 もう一度呟いた瞬間。目の前が大きく滲んで、視界に映る全てのものが
ぼやけて消える。
 自分が泣いているのだということに気付くまで、それほど時間はかからなかった。

 好きになって、ごめんなさい。でも、俺はあなたが好きなんです。いつも
俺のことを優しい眼差しで見守っていてくれるあなたが、好きなんです。
きっと、多分他の誰よりも。

 俺は、ちい兄のことが、好きです。

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 赤黄っぽいけど黄赤です。続かせて下さい。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP