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One Piece サンジとゾロ

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ワンピィスサンジとゾロモナ
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 | __________ |     ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|はたして801なのかこれ?
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サンジは歌を歌っていた。
上機嫌に。気持ち良さそうに。心地よい、夜の風に吹かれながら。
片手には酒のボトル。酒を飲むのは、ゾロ――もしくはナミの専売特許のようだが、
なに海の男で飲めない人間などいはしない。
まあ、ルフィなどは酒気よりも食い気に走る人間なので、そう酒に執着を見せることはないのだが。
つまみは見当たらない。
そこには彼以外誰もおらず、誰かのために作ることが楽しいサンジには必要なかったようだ。
英々と。それは海賊歌ではなく、彼らしく恋の歌だ。
一人の女を一途に思う男の切ない物語風の歌。しかしメロディはどこか明るい、艶めいた名曲だ。
独特の深みのある声は聴衆のいないことが残念なほどだった。
音楽家の存在など別に構わないのではないかと思われるほどに。
歌の物語は中盤だ。男は諦めきれずに、再度女に愛を乞う。
追い追われる男女の関係を上手く表現している。
ただただ無心に女に愛を訴える男。男の思いの激しさと強さに戸惑い逃げる女。

その曲が不意に止む。

「…どうしたよ、お前」
ゆっくりと振り向く。背後から感じる気配は見知ったものだ。
やはり自分は機嫌がいいのだな、とサンジは自身について分析する。
この男に、こんなに穏やかに言葉をかけれるなんて。
この男――ゾロもそう思ったのだろう。意外そうに目を見開いた。
「…くれ」
気を取り直したようして差し出してきた腕に、素直に酒瓶を渡してやる。
どうせもうほとんどないのだ。
その事に、受け取った瓶の重みで気づいたらしいゾロは、子供のように唇を尖らせている。
未練がましく瓶を振り、そのかすかな残りを呷った。
ほんの数滴しかないそれは唇を湿らせる程度でしかなく、とても残念そうな顔をしている。
その顔に、サンジはけらけらと笑った。
そんな酒飲み男は背後に放置して、サンジは歌を続ける。
切ない恋の歌を。情熱的に、それでいて刹那的に女を恋慕う男の思いを歌う。
ゾロは特に何も言う気配はないので、邪魔をする気はないのだろう。
全くゾロのことなど気にせずに歌う声は、夜空に良く響いた。
美しいその空に聴かせるようして歌われる声は、他の仲間に聞こえるほどではない。
そう言えば、ゾロはどうして起きてきたのだろうか、と疑問が生じたが、どうでもいいかと思いなおす。
気にするほどのことでもないだろう。
バラティエ時代、少し崩れた感じのするコック仲間から教えてもらった歌だ。
気に入って、すぐに覚えた。
有名な名曲であるこの曲だが、ゾロは知りはしないだろう。
野暮で無骨なこの男が知っていたらそっちの方が驚きだ。
好むような曲でもないし、似合いもしない。
だから飽きたら部屋に戻るだろう。ほおっておく。
人に聞かせるために歌っているわけではない。どちらかと言うと一人の時に良く歌う。
そう言えば、このゴーイングメリー号の面々の前ではこの美声は聞かせたことがなかったな、とサンジは思った。
鼻歌交じりだったり、でたらめな自作曲などはよくあったが。
だから来たのだろうか、この男は。珍しくて。興味を持って。

そんな雑念はすぐに消された。
無心に歌う。正確な発音で。
ゆっくりとしたテンポの曲は、歌いなれているために微妙な間ですらつかんでいる。
昔、歌の男の一途さに憧れた。こんな恋がしたいと思った。
その一途さに、女も戸惑いながらも、やがて徐々に男を愛し始めてくる。
通じ合う二人。訪れる歓喜。
だがそんな二人にも数々の障害が立ちはだかり、それを苦労しながらも乗り越えていく。
恋の喜び。恋の苦しみ。切なさ。一人ではない幸福。二人である不幸。
それらを詰め込んだ歌の世界は、陳腐な表現だが愛で満ち溢れている。

「…」

また歌が途切れる。

止めたのは背中にそっと当たった、ごつごつと硬い背骨の感触。
…とっくに飽きていなくなったかと思ったのに。
「…続けろよ」
密やかに、呟く声。背中合わせで。空瓶を持ちながら。
「…」
何か言おうとして口を開きかけ、寸前で止める。
背中にあたる暖かな感触は悪くは無い、とサンジは笑う。
例え、柔らかくも何ともない男の背中であっても。
「…しょうがねえなあ」
口先だけは仕方なさそうにそう言って。
リクエストに答える。再度歌う。丁寧に。愛の歌を。聞く者は一人だけ。
それが見目麗しい女性でないのは残念だけれども。
それでも今はひどく気分がいいので。
 
「――」

優しく切ない歌は夜を彩る。
美しいメロディが響く。
不器用なウワバミ男と幾億の星々を聴衆にして。

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