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fromいもスレ

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                   |  独自設定上等!
                   |  需要皆無当然!
                   |  でも不快な人がいたら
                   |  平謝りする気満々!!
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・いもスレより参りました
・十二代目芋掘理修×海老芋
・京ことばはニセモノにつき、ネイティブの人ゴメンナサイ

すみませんすみません、
脳内に湧いてしまった妄想、こっそり投下させてくださいorz
(本スレのほんわかしたイメージを壊されたくない方は今すぐ回れ右!)

――私の修理は高くつくよ。

断面がふれあう。割れた欠片同士が、お互いを呼び合うように彼の手の中でぴたりと合わさる。
まるで分かたれたことなどなかったかのように、再び一つになる。
割れた青磁の壷の細かな断片を継ぎ合わせてゆく、神経を使う作業。そのもっとも困難な
部分を終えて、彼は顔を上げた。厳しい顔で接着面を調べ、息を一つ吐くと、作業台から退く。
後を弟子のカイアポとシモンに任せると、午後中を過ごした工房を後にした。

十二代目芋掘理修。壊れものを修理する金継ぎ師の家に生まれ、若くして家名を継いだ鬼才。
襲名時の異例の若さと天与の才、そしてなによりその傍若無人さから、十二代目の名には、
以来さまざまな醜聞がつきまとっていた。
だが、どんなに口の悪い者でも、一つだけ否定できない事実があった。

彼に修理できない壊れものを直せる芋は、ほかにいない。

それはほとんど生きた伝説となっていた。たとえその作風にたいして難癖をつける者が
いたとしても、数々の彼の仕事を目の当たりにして、その修理の腕をけなすことはだれにも
できなかった。

理修が客間の襖を開けると、床の間の前で身を屈めている海老芋の背が目に入った。
梅の花が描かれた茶碗を手にして、海老芋が振り返る。
「九代の作だ」
継いだ様が雲のように見えるから、金雲紅梅茶碗と呼ばれている、と言葉を足す。
「かいらしいお茶碗どすな」
注意深く茶碗を元に戻すと、海老芋は理修に頭を下げた。
「ダンディ鉢はんの件では、たいへんお世話になりました。先生のお力を借りることができて、
ほんまに感謝しとります」
丁重に礼を言いかける海老芋を、理修はいらいらと手をふってやめさせた。
「あれは仕事だ。礼を言われる筋合いはない」
海老芋は面を上げた。
理修と向き合い、静かな口調で尋ねる。
「それで今日、報酬を払えというてきはった。高こうつく、それも代価を金銭では
受け取らんそうで。それで、どう支払えといわはるんどす?」
理修は無言で、海老芋の頬に指をすべらせた。そのまま喉をなぞり、なだらかな肩の線を、
こんどは手のひら全体でじっくりと味わうようになでてゆく。
煽るような手の動きとは裏腹に、醒めた顔で言った。
「君を料理させてもらおう」
ツルに指を絡めて軽く引っ張る。先端を口に含んで、海老芋を見た。
「意外ではなさそうだ」
「まあ、小芋やおへんし、ある程度の予想はしとりました。ただ、不思議なんは、
そういう相手に不自由してはらへんやろうお芋はんが、なんでこないなことをしはるんか、
いうことですな」
古い家柄の実力を伴った跡継ぎともなれば、追い回す者はいくらでもいる。事実、理修に
まつわる悪い噂は、無節操ともみえる彼の情事に関する事柄が大半を占めていた。
「それなら、ほかの方法で君はこの申し出に応じたか?」
「いいえ」
「それが答えだ」
ぎっ、と音を立ててツルの先端を噛みちぎる。

理修は海老芋の手をつかみ、客間を出た。半ば彼を引きずるように足早に廊下をわたり、
ある一室に海老芋を放り込む。
海老芋は、息を呑んでその部屋を見回した。

茶碗、鉢、壷、大皿、小皿、文箱、香炉、重箱、杯――

様々な器物が壁に設えられた陳列棚に並んでいる。
種類も用途もばらばらな品物に一つだけ備わった共通点。それは、どれも生まれたままの
無垢ではないということ。
すべて、一度壊れて直された跡が――理修の刻印が押されているということ。
「これ、みな……?」
「ああ。私が手がけた」
圧倒され立ち尽くしていた海老芋の顔に、ふと翳りが浮かんだ。
「金継ぎ師さんが、仕事やのおても、好みの壊れものを自分のために継がはることが
あるのは知ってます。それにしても、この量は、本来はよそさまのものを修理して返すのが
仕事の金継ぎ師さんにしては、少し多い気がしますな」
「依頼された仕事だけを手がけていたらそうだろうな」
皮肉っぽく理修が鼻を鳴らした。
「いろいろ、噂を聞いたことはあるだろう?」
「小芋の時分にはもうそこらの職人さんでは太刀打ちできひん腕前やったとか、
一度引き受けた仕事は完璧にこなさはるとか」
「金継ぎ師であると同時に、破壊師でもあるとか?」
それは嘘ではないな、と理修は笑った。
棚から水滴を取り海老芋に放る。
白磁の水滴には青い線で兎が描かれていた。それだけならありふれた絵柄だが、
細かに継がれた跡がちょうど薄の穂のように全体を覆い、小さな水滴にどこまでも続く
金色の野の広がりを与えていた。
「そいつは、庭石に投げつけて私が割った」

「なんで、そんなこと」
「なぜ? そのままではあまりに退屈だろう。そんな平凡な水滴、誰が欲しがる?
だが、継がれることで、そいつは価値を得た」
「なら、ここにいたはるお品は、みんな――」
海老芋の言葉を制して、すべてを自分の手で壊したわけではない、と理修は言った。
たとえば、と床に置かれた花瓶を指差す。ほっそりした長い首を継ぎ目がらせん状に取り巻く
優雅な花器。
「あれは、私の目の前で自分で首をへし折った」
黒塗りの懐剣を抜き、鞘を渡す。
「こいつは自前の刃で、鞘を真っ二つにしたよ」
「……それは、修理してもらうためにどすか」
「そのとおり。元のままでは個性のない凡百な輩が、継がれることで、
この世に一つしかない芸術品になれるわけだ。この部屋には、そうやって自分で望んで
壊れたヤツの方がずっと多くいるな」
海老芋は多様な種類の器物に満ちた部屋をあらためて見渡した。そして、そっと尋ねた。
「十二代目は、そうやって壊れた品物さんらを、みんな修理してあげるんどすか」
「まさか。つまらない素材をいじるほどうんざりさせられることはない。手がけてもいいと
思えるモノは、そうだな、十に一つあるかないか」
あとはすべて壊れるだけ無駄、ただのゴミとしてあつかわれる。それを知っていてなお、
修理志願で自分を破壊するモノが後を絶たないと、迷惑そうに吐き捨てる。
「ゴミの一部は、弟子たちが腕試しに直してやっているようだがね」
興味なさそうにつけくわえた。
理修は海老芋を部屋の中央に立たせると、陳列棚をぐるりと腕で示した。
「さあ、選んでくれ。どの皿に盛られたい? 君が一番引き立つ器はどれだ?」
海老芋に話しかけながら、皿を小鉢を漆器の椀を、手にとっては戻していく。
「君があの鉢の修理を依頼しに来たとき、その身体を私の継いだ器に盛ってみたいという
気にさせられた。選ぶのは、一枚である必要はない。夜は長い、何通りにでも料理すればいい」
次々にみせられるとびきりの工芸品たち。それらから目をそらせると、
海老芋は感情のこもらない声でつぶやいた。
「どう料理されるのか知らんのに、合う器なんか、わからしません」

「ふむ。それは道理だな。では先に、君の好みの調理法を聞いておこうか。
たいていの要求に応えられるだけの用意はある。ただ――」
理修は近づいて、海老芋の顔をのぞきこんだ。
「先に断っておこう、一つだけできない料理がある。君の一番有名な炊き合わせは、
却下させてもらうよ」
海老芋の顔色が、少し白くなる。握り締められた手がかすかに震えていた。
これまでなにを言っても冷静を保っていた海老芋が、初めてみせた動揺。それを理修は
楽しそうにながめた。
北の海からやってくる棒鱈と海老芋の逢瀬は有名な話だった。互いを補い合って
旨みを増すふたりの煮物は、棒鱈と海老芋の仲睦まじさの象徴とされていた。
「君の相方は、このことを知っているのか?」
「どういう成り行きになるかわからへんようなこと、わざわざだれかにいう必要がおますか?」
「では、今夜のことを知られたら、君はまずい立場に置かれるのかな」
からかうように言い、理修は指で海老芋のあごを持ち上げた。
彼の予想に反して、海老芋はまっすぐその目を見返した。
そして、柔和に笑んだ。
「瀕死の知り合いを、もしうちが自分の身体を惜しんで見捨てたりしたら、そのときは
愛想尽かされるかもしれませんけどなあ。だいたい、こんなことくらいでうちらの仲が
どうにかなると思わはるんやったら、悪いですけど、芋掘はんはあんまりええお芋さんに
出会えてきはらへんかったんやなあ」
理修の顔色が変わった。
海老芋のあごを放すと同時に、手の中の懐剣を鋭く横にはらう。
ざっくりと、海老芋の皮がそぎとられる。
表面の茶とは対照的に真っ白な身がむきだしになり、きめ細かな肌に体液がにじむ。
その汁を理修は指でぬぐいとり、海老芋の顔から目を放さずに、舌で舐めあげた。
皮をけずられても、海老芋はわずかに身を震わせただけだった。ただ背筋を伸ばして、
りんと立っていた。
緊張の高まった室内で、二芋の視線がからまりあった。

先に顔をそらしたのは理修。
急に不機嫌な表情になり、海老芋を追いやるように手をふった。
「気が変わった。帰るがいい」
意外な言葉に、海老芋が首をかしげた。
「ええんどすか? 次はありませんえ」
「修理代をたてに無理に調理しても、いい絵はつくれないとわかった。君が、自分の意思で、
私の継いだ器に盛られたくならないかぎりはな」
海老芋が目を丸くする。
少しの沈黙の後、やわらかな声で理修に話しかけた。
「先生の継がはった器はたしかに一級品どす。棒鱈はんといっしょでええんやったら、
いつでも盛っていただきとうございます」
「近いうちに、その言葉を撤回させてやろう。君が、自分から、単独で私の元に
来るようにしてみせよう」
「それは、試すだけ時間の無駄やと思いますけどなあ」
明るい声で海老芋が笑う。理修は不快そうに眉間にしわを寄せた。
「ほな、帰らせてもらいます。先生、ダンディ鉢はんを継いでもろて、ほんまにありがとう
ございました。仕事やいわはったけど、先生やなかったら、あのお鉢さんを助けることは
できひんかった。そやから、心から感謝してます」
深くお辞儀をすると、海老芋は部屋を立ち去った。

閉められた扉を理修は無言で見ていた。
突然、手近にあった大皿をつかみ、激しい勢いで床にたたきつける。飛び散る欠片が
彼に幾筋かの傷をつけた。それを意にも介さず、皿の残骸を無表情に踏みにじる。
荒い息を落ち着け、部屋を出て行こうとして、彼の目が破片の間に横たわるものにとまった。
先にそいだ海老芋の一部。
それを拾い上げ、口に含む。
生の芋の青臭い味が舌の上に広がる。
理修の目が、暗い欲望に光った。

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                   |  モヤモヤしてやった。
                   |  今はスッキリしている。
                   |             by中の人
                   \
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 | __________  |            ," }
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 | | □ STOP.       | |          .ノ  ヽ タマンナイッテノ
 | |                | |          イ ;; ゛ゝ
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