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むかしむかし

最近声優やったり海賊の格好したり、アニメやゲームの仕事が多いあのコンビの話。ヒラヤナです。
まだ東京に出たての頃は同じマンションに住んでたらしい。

需要とか気にしない!
誰得かって? 俺得さ!

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

何の前触れもなく、後ろから、そっと腕を胴に回される。
「好きやで、てっちゃん」
耳元でそう囁かれる。背中に体温を感じる。耳に触れる柔らかい髪。

―― そんなことは、昔は何度もあった。
寂しがりな俺達はお互いの存在を求めていたし、認められたいと思っていた。
…「相方」としてかは疑問だが。

相方は俺によく抱きついた。ステージ上のボケとして以外でも。
他に人が居ない状況……例えば俺の家とか、そういった場所で、至って真面目に相方は言うのだ。

「俺、お前のこと好きやで」
そしてたまに「お前は?」と、不安気な表情で聞くのだ。

相方がどういう意図でそのセリフを発したのかはわからない。相方には彼女も居たし、バイセクシャルであるという話も聞いたことが無かった。

俺が相方の問いに「別に好きちゃう」などと返すと相方は拗ねて膨れたりした。
しかし「俺も好き」と返せば、にこぉ~っと満面の笑みを見せるのだ。不揃いな歯並びのせいか、笑うと相方はまるで子供ようにあどけない顔になる。悔しいが、正直可愛い。
その笑みで心の枷が取れてしまう。

相方は俺を後ろから抱きしめるのが好きだった。正面からだと俺が恥ずかしくて払いのけてしまうという事情があったからかもしれない。

いつも相方は後ろから抱きついて、まるで甘える猫のように俺に頬擦りした。
柔らかい髪がくすぐったいので俺が軽く笑った時には、不思議そうに相方は「どないした?」と訊いた。

たまに気が向いた時に、俺は振り向いて、相方を抱きしめた。
お互いの背に手を回し、まるでそのまま一つに融合することを望むように、俺たちは抱き合った。
抱き合う間、部屋には吐息と服の擦れる音しか響かない。背中や髪を愛撫し、目も口も閉じてお互いの存在を確かめあっていた。

何回か、気分が乗った時は、目を合わせどちらからともなくキスをした。ただのノリだ。きっと。
柔らかい唇を重ねあって、時に舌をゆっくり絡めて、甘い時間を味わった。

不思議だった。
相手は男だし相方だし、普通なら絶対受け入れられない。今の俺だってそうだ。

でもあの時期の相方は、儚くて妖しいオーラを纏っていた。
身体に触れられ、目を見て、声を聞けば、いつの間にか俺は受け入れていた。
相方に求められることが幸せだった。自分の存在する価値はあったのだと認められた。

あれから何年も経った。
曖昧だった境目ははっきりとし、距離は離れた。
相方は現在儚くも妖しくもない、ただのおっさんである。
今の俺は相方に何の魅力も感じない。はずだ。

しかし…久し振りに、後ろから抱きしめられた。二人きりの楽屋の中だった。
耳に当たる髪も、耳元で囁かれる声も昔より変わったけど。
「お前のこと好きやで。お前は?…もう、飽きた?」
言うことは変わらなかった。

「…好きよ?」
俺はそっと、相方の腕に手を這わせた。
「飽きてへん。ずっと、好きよ」
相方があの笑みを浮かべたらしい、唾液の水音が微かに聞こえた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

関西弁は出来ないわ、関係性は曖昧やら、色々残念すぎる…orz
でも好きなんだ!若い時もおっさんの時も!健やかなる時も病める時も!いつかリアル世界で同志に会えることを夢見て!


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