記憶
更新日: 2011-04-24 (日) 16:34:45
青春排球漫画 闘将!!少女 より 男バレ2年のワカメガネです
公式CP前提ワカメ→メガネの友情以上愛情未満
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「シゲルたん、目ぇ瞑って」
「はぁ?」
式島滋は、同級生の突然の発言に心底嫌な顔をした。
この由良木龍馬という級友は大変な変り者で、滋をかたどったキャラ弁を作り本人を眺めながら食すとか、前述の通り同性の自分を「たん」付けで呼ぶなど異様な親愛の情を示してくる。うっかり目でも瞑ろうものなら、口接けされても不思議ではない。
「なんでだよ」
「なんでも~。ねぇ~お願い~ン」
くねりくねりと気持ちの悪い動きで嘆願する由良木。いつも冗談ばかり言っている男だが、こういうことは言い出したら結局こちらが折れてやるしかないことは長年の付き合いで分かっていた。
仕方ない。観念して、滋は瞼を閉じる。
「あーんシゲルたん睫毛長~いvキスしちゃいたい」
「したらお前の上睫毛と下睫毛固結びにしてやるからな」
「ジョーダン ジョーダンwww」
いつものやりとり。
やにわに、由良木声が真剣味を帯びた。
「ね、そのままさ、オレの顔 思い浮かべてみてよ」
「はぁ?」
瞼を閉じたまま滋は、今度は間抜けな顔をしてしまった。
由良木の顔を?何故……そう考えて、ハッ と気付いた。
滋は眼が悪い。父親からの遺伝があり、将来的には確実にほとんどの視力が失われる。現在も、日常生活にギリギリ支障を来さない程度しか見えないのだ。
内々に留めているその事情を、由良木は知っている。
もしかして……俺が、こいつの顔を忘れるとか、思ってるのか?
「ねぇ~想像できた~?」
いつもの口調で由良木が急かす。ふざけたフリをしているが、彼の内心を思うと、少し胸が痛んだ。
心配しなくても、忘れるなんてありえないのに。
「あぁ、想像したよ……寝ぼけてるような目と、形の悪い鼻と、ニヤけた口と、ワカメみたいな髪……」
「はっきり、思い浮かぶよ、ゆらぎ。」
そう、瞑目したまま囁き、笑った。
「……やっ、やーっだシゲルたんたらヒドーイ!こんなイケメン捕まえてそりゃないでしょ~!」
由良木はしばらく黙っていたが、すぐにいつもの調子を取り戻して「ドS!おにちく!!」と騒ぎだした。
安心しろよ、由良木。俺が焼き付けておきたいのは練だけど、それと比べられないくらい、お前のことも覚えてるよ。
滋は、しばらく目を開けないでいようと思った。
明るい声にの裏に隠れた、らしくない震えが消えるまで。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ワカメさん好きすぎる
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