地元空港にて
更新日: 2011-04-24 (日) 16:28:48
生・ゲイニソ・コソビ外カプ注意
今年20周年、ショウキャクロノマヂュツシの異名で有名なあの方
お相手は同期で特に仲のいいあの人
現在お休み中のため直接の絡みはありません
どっちが右とか左とかはとくに考えてなかった
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
使用機の到着遅延を知らせるアナウンスがロビーに流れる。
フライトインフォメーションボードがカタカタと音を立て、表示が一つずつ繰り上がっていく。
平日夕方の福岡空港、少しだけ混み始めるより前に悠々と出発口を通ったものの、東京に戻るのはもう少しだけ遅くなりそうだ。
相方は「本買ってくる」と言って本屋に行ったきり、どのマンガを買うのか迷っているのだろう。しばらく戻ってきそうにはない。
仕方なくラウンジへと向かうことにした。
歩きながら手元のケータイに視線を落とす。
バージョンアップさせたら見事に調子が悪くなってしまい、今はツィッ夕ーにも満足に繋げない状態、なう。
『メールは使えるけん、連絡とろうと思ったらとれんこともない…っちゃけどなあ』
口の端に上らない男の独り言は、元よりツィッ夕ーを使う類のものでもなかったが、今は心の中で呟くより他にしようがなかった。
「あー、やっぱこっちにおったったい」
聞き慣れた声に代吉が顔を上げると、見慣れた濃い顔立ちが真っ先に目に飛び込んできた。
花丸は両手に持っていたソフトドリンクのうち、一つを代吉に差し出す。
「ああ、ありがとう。本、買ってきたと?」
「おう。これ」
花丸が袋から取り出したのは一冊の雑誌。
「ジャソプ?今日木曜やん。まだ買っとらんかったんか」
「うん。今週忙しかったけん」
「ふーん……」
「………」
他愛もない会話が途切れた後、再び俯いてケータイを弄り始めた代吉。
その様子に花丸は大きな溜息をつき、やれやれと隣のソファーに腰を下ろした。
「………」
「………」
コソビだからといって、隣同士に座ってそこから必ず会話が繋がるというわけでもなく。
気まずい程重い沈黙の中、いつ始まるかわからない搭乗手続きを待ちながら、ただ時間だけが過ぎていく。
それからどれくらい経った頃だろうか。
「丘村くんのこと、心配しとうとやろう?」
不意に沈黙を破った花丸の一言に、代吉はハッと身を堅くした。
自然、ケータイを扱っていた指の動きも止まる。
「俺がわからんとでも思っとったとか?」
代吉が顔を上げて隣を見ると、きりっと凛々しく眉根を上げる相方とばっちり目があった。
それを見た代吉は、『ああ、きっと俺は情けない顔しとるっちゃろうな』と思わずにはいられなかった。
「……ゴメン」
気がつけば、その言葉は自然と代吉の口をついて出てきていた。
「別に謝らんでよかぜ。お前仕事の時はちゃんと仕事に集中して、今みたいな素振り少しも見せよらんし」
花丸は視線をジャソプへ戻し、おそらく読んではいまい、ページをパラパラと機械的に捲りながら続けた。
「連絡、しとらんとか?」
「………」
代吉からは肯定の言葉も否定の返事もない。
が、これは恐らく連絡しようしようと思いつつも、結局できないでいる状態に違いない、と花丸は確信していた。
「俺に今更黙秘しても仕方なかろーが」
「……今は体治すことに専念してもらいたいし。それに――」
「それに?」
言いよどむ代吉を促すように、花丸はジャソプをパタンと音を立てて閉じ、相方の方を見遣る。
「それに……」
代吉は長い睫毛を伏せがちに、悲愴な面持ちのまま一度は噤んだ口を再び開いた。
「おかむーの方から連絡来んのに、俺が心配しようとか一方的に言ってさ…その、ただでさえ弱っとるところに、さらに負担かけたくないもん」
「お前………」
なんね、その付き合いたての初々しい恋人同士のような発想―――そう思うや花丸はプッと噴き出さずにはいられなかった。
「ちょっ、お前!人が真剣に話しよるとに、もー!」
「ごめんごめん。いやー、お前丘村くんのこと、ばりばり好いとうんやなーって思ってさ」
今度は代吉が口をつけていたソフトドリンクをブハッと噴き出す番だった。
「お前ってさ、恋愛に関しては昔から晩生やったよな」
「べっ、別によかろうが。大体そんな晩生やなかったら、中学ではもっとイケとうグループに入っとったって!」
「で?丘村くんのことは好いとうっちゃろう?」
「…………好いとう、よ」
驚くほど小さな声だった。
ここがラウンジで大声で話すことはできないというのを差し引いても、隣にいる花丸でさえ拾えるか拾えないかくらいの本当に囁き声で。
「やろー?まあお前らテレビでもラジオでも、相思相愛を公言して憚っとらんもんなあ」
「なっ……」
誤解を招くとしか言いようのない台詞を吐いて、花丸はニヤニヤしながら代吉の顔を見ていた。
まるでテレビカメラがそこにあるかのように、すっかり相方いじりモードに入っている。
「好きあっとうモン同士なら別に遠慮する必要なかろうが。丘村くんもまあああいう性格だから、お前に心配かけまいと連絡してこんだけなんかもしれんぜ?」
似た者同士というかなんというか、お互いに想い合って遠慮しあっての結果なら絶対損をしている、と花丸は代吉に熱く諭す。
その熱さに代吉は全く口も挟むことができず、ただただ花丸の言葉を受け止めるばかりであった。
「ていうか根本的なことやけど、好きな奴から連絡もらって、嬉しくないわけなかろうもん!」
「って、どこ行くとや?搭乗手続きのアナウンス、まだやろう?」
突然立ち上がって荷物をまとめ始めた花丸に、代吉は慌てて声をかける。
「あー、俺ちょっと買い忘れた雑誌があったけん、売店に置いてないか見てくるわ。お前はまだゆっくりしとき」
「え、ちょ…」
「それと、電話するんやったら外でしいよー」
そう言い残し、花丸はそそくさとラウンジを出て行ってしまった。
「……別に声聞きたいとか、そんなんないけんメールで十分なのに、いらん気ぃ利かせて。あいつ…」
一人残された代吉は、握り締めたままのケータイにまた視線を戻した。
そしてそれをしばらくじっと見つめていたが、やがて意を決したかのようにぐっとケータイを握り締めたのであった。
各マスコミに、丘村の無期限休養を報告するFAXが送られるまで、あと数時間――
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
代吉先生の「『報道されてからは』連絡してない」発言を勝手に曲解しました
最近この2人が愛しくて仕方ない
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