Top/57-471

ヅラ×銀

SilverSoul?(和訳) のヅラ×銀です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「銀時……」
 目の前に、神妙な面持ちのヅラ。俺の名を、甘ったるい声で囁きながら更に近づいてくる。
 このままだと。このままだと、キスされてしまう。分かっている。なのに、俺は、動けない。
 ああ。唇、が。

「っ……うわあああああ!」
 飛び起きた。そこは、いつもの応接用のソファで、顔に乗っけていたジャソプが床にばさりと落ちる。
 当然、ヅラはいない。いつものとおり新八と神楽がいるだけだ。落ちがベタ過ぎる。ただの夢とは。
 しかし、悪い夢だ。悪いにもほどがある夢だった。
「銀ちゃん、うるさいアルよ」
「そうですよ、銀さん。静かにしてください。計算間違っちゃうじゃないですか。大体、こないだ紅桜の件で、怪我したからって、いつまでもそんな食っちゃ寝じゃ太りますよ。メタボまっしぐらですよ」
 もうどうしようもなく身悶えたくなる思いで、頭を抱えている俺は、向かいのソファで酢昆布を齧っている神楽と、万事屋の事務作業をしてくれている新八の二人から揃ってお小言を食らう。
「つか、お前らもうるせえよ!」
「ていうか、何の夢見てたんですか? 随分うなされてましたよ」
「え、っと……あー……忘れ、た」
 笑って誤魔化す。ヅラにキスされそう、つうか、されたらしい夢、なんて言えるわけがない。
ほんとに、真昼間からなんでそんな夢を見てるんだ。俺は。
「はー。新八ぃ、銀ちゃんは、怪我こじらせて、頭がパーになってしまったようアルな」
「うるせええええ! どうでもいいだろ! 俺の夢なんて!」
「何ムキになってるんですか」
「……あー、もう。全部あいつが悪ぃんだよ……」
「あいつ? あいつって誰です?」
「は? 何でもねえ! 誰でもねえ!」

「……なんかやましいことでもあるアルか」
 酢昆布をごくりと飲み込んだ神楽がじとっとこちらに視線を向けてくる。
「ねえよ! ねえ、全く、ありません! から!」
 必死で否定する。それが、余計疑われちまう原因になると分かっていながら。それでも必死で、さっきの夢も打ち消してしまいたくて、俺は立ち上がって叫んだ。
「コイツ、ほんとは、やらしい夢でも見てたアルよ。新八、銀ちゃんのパンツ……」
「神楽ああああ!」
 言われて、一瞬どきりとしてしまったが、そんなことは、ない。ないない。ヅラとキスする夢みて夢精って、俺は中学生か。つうか、相手がヅラってのがシャレにならん。
「神楽ちゃんんん! 女の子が、そんなこと言っちゃだめえええ!」
「二人ともお子様アルね。ふう」
「そういう問題じゃねえええ」
 気だるく溜息をつく神楽に新八と二人で取り敢えず突っ込んでおいた。
「新八ぃ、それ、まだ終わらないアルか。早く買い物行くアル。私、お腹すいたアル」
「じゃあ、先に買い物に行こうか。銀さん、なんか欲しいものありますか? エロ本ですか?」
「いらねえよ! さっさと行け!」

 まだ多少痛む体を引きずり、玄関先まで、買い物に出てゆく二人を見送ったあと、もう一度寝るか、今度はあんな夢見ませんように、と祈ったその時インターホンが鳴る。
「はーい、誰ですかああ」
 がらりと引き戸を開いたそこには。

「ヅラ……」
「ヅラじゃない、桂だ」
「そうか。じゃあ、またな」
 開けた引き戸をすぐに閉めようとした、その手をヅラに掴まれる。
「待て、銀時」
「……んだよ、もう。面倒くせーな。中入れ」
「邪魔するぞ」
普段応接に使っている部屋でなく、奥の和室にヅラを通した。そうしたことに、深い意味はない。なんとなく。だ。
 しかし、これでは神楽のいうとおり、やましいとこありありじゃねえかと思いながら。そして、畳の上に、二人で向かい合って座る。俺は胡坐をかいて。ヅラはきっちり正座で。
「で、ほんとに何の用なんですか、ヅラぁ」
「……お前の顔を見に来た」
「あーじゃあ、もう見ただろ。またな、さっさと帰れ」
「今日は、お前一人か?」
「帰れっつってんだろ。一人だよ。あいつらは買い物行ってる」
「傷はどうだ」
 くそ。こいつ、ヅラ、も、帰れ、もどっちも全部スルーしやがった。
「……どうって、見ての通りだよ。つか、てめーはどうなんだよ」
「俺よりお前のほうが深手を負っていた」
「まーその内、治んだろ」
 ぼりぼりと頭を掻きながら答える。どうも、調子が狂う。あんな夢を見たせいだ。あんな夢。
「銀時……」
 ヅラの顔が近づいてくる。神妙な。そして指が伸びてくる。ああ、これは、夢で見たような。
「おい……?」
 ああ、もう。あんな夢。ホント、シャレにならねえんだよ。よりにもよって、こいつ、相手じゃあ。
よせ、って……」
「ここ、の傷。まだ、癒えていないようだな」
 つつ、と人差し指で、頬にある傷をなぞられた。拍子抜けだ。いや、でも、別に、されたかったわけじゃない。違う。ないない。ぜってーねえ。

「え? ああ、まあそう、だ、な」
「どうした銀時。お前、様子がおかしいぞ」
「年中様子がおかしいてめーに言われたかねえ!」
「銀時。もう、あんなのは、ごめんだ」
 膝を立てて、ヅラがこちらににじり寄ってくる。
「は? 何だ、お前、おい……」
 そして、ヅラの額が、俺の肩に。随分短くなってしまった髪が、間近にある。
「お前が、もしも……んでいたら、俺は……」
「もしも、の話は、やめにしようや……つまんねーんだよ」
 ぽんとヅラの肩を叩く。俺は、死なねえ。し、お前も死なねえ。んだと言いたくて。
「……そうだ、な」
「で、そろそろ……」
 どけろ、とヅラの両肩を掴む。
「銀時……もう少し……」
「……じゃあ、あと三秒な。三、二、一。はい、お終い」
「じゃあ次はこれで」
 ばっと顔を上げたヅラが、今度は抱きついてきやがった。ああ。こいつの、息遣いをこんなに近くで聞くと、どうしても、昔のことを思い出してしまう。夢なんかじゃない、現実にあったこと、を。だから、シャレにならねえんだよ。
 だから。
「ヅラ、よせって」
「銀時…!」
 ひときわ強く名を呼ばれ、背中に回るヅラの腕に力が篭められたのが分かる。
「…………はぁ」
 溜息を一つこぼす。俺も、観念して、ヅラの背中に腕を回した。
「じゃあ……二人が帰ってくるまで、な」
「……ああ」
「ちっ……正夢かっつうの」
 言ってから、違うな、キス、されなきゃあさっきのは正夢にはならねーな、と思った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

 4つも使ってしまいすみませんでした。


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP