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二つのスプーン

ピンポン ドラチャイ 最終話です。エロ有ります。
このあと5レス消費いたします。
いろいろとご迷惑をおかけしました。
読んでくださった方、本当にありがとうございました。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

目をぎゅっとつぶって涙を押し出すと、まだ潤みが残っている瞳で孔は風間の目を見つめ、
「背中、見せて」
と囁いた。
風間が布団をはねのけてベッドの脇に立った。
着ていたスウェットの上を無造作に脱ぎ、背中をこちらに向ける。
明りのない部屋の中でも、風間の鍛えられてきれいに盛り上がった筋肉がわかった。
孔はベッドから降りると、カーテンを閉めていない窓の外からの、常夜灯の明りで薄暗く照らされた風間の身体に、そっと近づく。
「ここ…」
つぶやいて手を伸ばし、指の先でそっと肩甲骨のあたりを撫でると、孔は小さく息を吐いた。
「ここに、赤く、痕が…」
赤い痕を思い出す毎に、孔は見知らぬ指に嫉妬した。
自分には付けようのない傷を付けることの出来る指。
一緒に歩く時、風間の背中を意識するとどうしようもない感情が孔を襲った。
風間の逞しい身体と寝る自分を想像したこともある。俺はいかれている、とその度に孔は思った。
身をかがめ、風間の肩甲骨にキスを落とす。
軽く噛む。
風間の身体がぴくりと反応し、口づけたまま孔は囁いた。
「風間…好き、」
その瞬間、勢いよく振り返った風間にベッドに押し倒され、噛み付くような口づけを落とされた。
暗闇の中でぎらぎらした風間の目が孔を見つめる。
お互い、引きむしるように身に付けていたものを脱ぐと、深く舌を絡めたまま相手の下半身に手を伸ばす。
押し付けられるそこが熱い。
一度唇が離され、触れるか触れないかのところで、風間の舌が孔の唇を愛撫する。
唇を開いて誘うと、また唇が落ちてきた。
舌を絡める。
キスだけでもいってしまいそうだ。

あと何回か上下されたらいく、と孔が思った瞬間、風間が孔を愛撫していた手を離し、自分の唾液を指につけると、孔の脚を広げさせて小さなすぼまりにゆっくりと塗り付けた。
「あ、あっ、風間、なに」
知らぬ感覚にぞくぞくと背中を何かが這い上がる。
耳元で風間に囁かれ、孔はきつく目をつぶった。
「ここに、孔の中へ通じる扉がある…」
「かざま、…あっ」
ぬめりの助けを借りて、風間の指先、ほんの少しが窄まりの中に入った。
異物感に孔が声を上げる。
「あっ、あぁ、」
「私がゆっくり時間をかけて鍵を開けてやるから、」
孔が握る屹立したものを、意識させるように動かす。
「これを、入れさせろ」
未知の快感が孔の身体を走り抜ける。
再び孔の一部は風間の手に翻弄されていた。
「お前が私の背中に痕を付けろ…孔」
「は、あっ、…は、」
これ以上ないというほど張り詰めてとろとろと透明の液体を落としていた孔は、その声を聞いて、達した。

途中で理性を失しかけると言う経験を、風間は初めてした。
本当は、もっと時間をかけるつもりだった。
しかし、これはどうだ。
ブレーキが利かない。
孔に触れる度、孔の顔を見る度、孔の視線に見つめられる度、風間の胸の中に激しい何かが沸き起こる。
一体孔の何が風間をこうも駆り立てるのか、全くわからなかった。
相手は男だ。
しなやかではあるが太い骨格を持ち、鍛えられた筋肉をその上に張り付け、張り詰めた皮膚が覆っている。
孔が自分に触れる、それだけで興奮する。
大声でこの男は自分のものだと怒鳴りたくなる。

自分の恋は不毛のままに終わると思っていた。
思いを伝えることも出来ないと思っていた。
と同時に、もし孔を手に入れることが出来るなら、この自分の乾きは治まるかもしれないとも思っていた。
けれども、孔に触れれば触れるだけ、乾きが強くなる。
もっと。
もっと。
孔、お前を私にくれ。
私を好きだと言え。
舌を絡め、ぬめる口内を吸い上げながら、こんな寓話がなかっただろうか、と考える。
飲んでも飲んでも咽喉が渇く、王様の話。
なかったか?
ああくそ、孔。

薄いゴムに覆われた風間が、狭い中に入っていく。
回数と時間をかけるべきなのを十分わかっていて、しかし風間には全く余裕がなかった。
ぬるぬるとぬるつく人工の液体が侵入を助ける。
孔はきつく眉を寄せて、風間を見上げている。
広げられた脚の間に入り込み、ゆっくりと腰を進めていくと、ぎりぎりと差し込むような苦しい喜びが風間の胸を突き上げた。
汗がこめかみから頬を伝って流れ、顎の先から孔の腹の上に落ちる。
額から流れた汗は鼻の先から落ちた。
全てが納まり、皮膚と皮膚が密着すると、孔は背をそらせて呻き声をあげた。咽喉があらわになる。
孔の首筋から汗が流れ落ちるのが見える。
上半身を倒して孔の腰の下に手を差し込み、もっと密着するように抱え上げる。
孔の汗と自分の汗で腕が滑る。
「孔、私の背中に手を回せ」
関節が白くなるほどシーツを握りしめていた指がこわばりながら開き、溺れる人間のように風間に回された。
かき抱かれる。

孔、お前が私に痕を付けろ。
あの時付けられた痕とは、全く意味合いの違う傷を。
お前の所有の証を付けろ。
私はお前の物だ。

一体、あれから何度の夜が過ぎただろう。
目が覚めると、カーテンの隙間から明るい日差しが差し込んでいた。
大きく伸びをして、風間は孔を見やる。
孔が目を開き、風間を見て笑った。
「おはよう」
風間が口を開いた瞬間、孔も同時に口を開いて、声が二つ重なった。

少しばかり感動を覚えて、風間は孔を眺めた。
時々、こうやって誰か自分達以外のものが謀ったかのように、孔との行動が重なることがある。
思考を読まれているのかと疑うほど、自分が考えていることを口に出されたりもする。
そう言う時、風間は一冊の本を思い出す。
遠征のために新幹線に乗らなければならなかったことがあった。
スポーツ雑誌でも購入して手持ち無沙汰を解消しようと駅構内の本屋に立ち寄り、文芸誌のコーナーを通りかかった時、普段は目に留まらないハードカバーの本が目に付いた。
作者の名前もかなり個性的なそのミステリは、風間の好奇心をちょっと刺激した。
ほんの2時間程度の旅である。旅の供に、たまにはこう言うのもいいかもしれない。
風間はその黒い表紙の本を手に取ると、レジへと向った。
短編集だった。一話目は、探偵とその助手が、古い友人に助けを請われ、ある屋敷へ赴く話だ。
探偵と助手が、友人の服の裾を掴んでいる子供に挨拶する。
その声が、「二つのスプーンが重なるように」ぴたりと重なる。

読みながら、風間は、男同士でずいぶん仲の良いことだなと単純に思った。
揶揄する気持ちではなく、ただ印象に残ったのだ。
孔と声が重なるように同じことを言うという体験をするようになって、風間の脳裏に浮かぶのは、その短編だった。
二つのスプーンのように重なる二人の声。
そして、少しばかり使い込まれて、瑕が付いていたり、光が鈍くなったりしているそれが、テーブルの上に重ねられて置かれているイメージ。

これからもスプーンには瑕が付くだろう。使われて、新品の輝きは失われていくだろう。
それでも、一緒に重ねれば、寸分の狂いもなくぴたりと重なって落ち着く。
一緒に暮らしてはいなくとも、孔とそんなふうに時間を重ねられればいい、と、風間は思う。

「どした?」
孔の顔を見つめながら物思いにふけった風間に、いぶかしげに孔が声をかける。
我に返った風間は、「なんでもない」と答えながら、小さく笑った。
「コーヒー、飲むか?」
「ありがとう、貰おうか。午前中、ちょっと田村さんのところまでちょっと出かけてくる」
「田村サン…誰だっけ。私知ってる人?」
「そうか、知らないのだな。星野と月本が小さい頃から卓球をやっていた所の人だ」

日本代表の選抜試合で、風間は負けた。
夢に向かって最大限の努力をし、しかし伸ばした手は届かなかった。
後悔はない。
やるだけのことはやった。
どのような結末であれ、風間はそれを受け入れる。
自分が卓球から離れることなど出来ないことも承知で、夢が手に届かないことも思いしらされて、考えなければならないのはこの先のことだった。
負けについては納得している。
気持ちは穏やかだ。
しかしふと、口の悪い、しかし愛情深い、「オババ」と呼ばれる田村の顔が見たい、と思ったのだった。

「うん、わかった」
「午後には戻る。そうしたら、買い物にでも行くか」
「いいよ。何買う?」
そうだな、と風間は呟いた。
「揃いのスプーンを買いたいのだが、どうかな」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ありがとうございました!

  • 何度読み返しても胸がキュンとします。 -- 2014-04-03 (木) 23:33:52

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