Top/56-81

こ/こ/ろ K→私(先生)

過去ログに触発されて私も書いてしまった。
時間軸的には『覚悟なら無い事も無い』から『御嬢さんを下さい』の間辺り

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「その夜、私はどうにもKの用いた『覚悟』という二文字が、何時までも胸に引掛かって仕方がありませんでした。
自分の醜い嫉妬の為に随分と穢いやり口でKの心に傷をつけた事を考えると
今すぐあの固く閉ざされた襖を開けてKの部屋へと乗り込み彼の前に平伏して
謝罪したいと云う気持ちと、あれで良かったのだという卑怯な心が交互に現れ
それを重ねては布団の中で打ち消すを繰り返して居ました。

私はKをやり込めたという気持ちで興奮しきっていた為、あの晩は比較的安静な夜を
迎える事が出来たのですが、それ以降は前述した様に好く眠れない日々が続きました。
(今思えば私が神経過敏になっていたのでしょうが)

あのKの『覚悟』という言葉が、背後から洋燈に照らされて大きな影になっていたKの姿が
そしてあの朝の、近頃は熟睡が出来るのかというKの問い掛けが。
それら全てが私に向って来る何か恐ろしい物の様な気がして仕方が無かったのです。

確かにKの告白を聞いて以来、私はKに何度も襖越しに声を掛けていました。
それはKの動向が気になって仕方が無かった為です。
無意味な事であると判っては居ても頻繁に声を掛ける事で
私の与り知らない部分で着々と進んで居るかも知れない御嬢さんへの『覚悟』を
阻害してやろう、監視してやろうという気に成っていたのでしょう。

Kの言葉は何と言う事も無い、唯私の健康面を気遣って呉れる言葉だったのかも知れません。
真面目で意固地な処もあるとは言え元来は優しい男だと記憶して居るので、実際そうだったのでしょう。
しかし、心に疚しい部分を持つ私はそのKの問い掛けに過剰な反応を示し
こうして眠れないながら熟睡をしている振りをし、Kに一言声を掛けることすら出来ない侭
今日も悶々と空が白けるのを待って居たのでした。

床に着き、元々活動をしている様子を感じられる事の少ないKの部屋から
完全に気配が消えてどれ位経ったでしょうか、不意に私の足元の襖が二尺ほど開きました。

その時丁度私は現在の姿勢に疲れて来ていた為寝返りを打とうとしていた処でしたので
突然開かれた襖に驚き慌てて目を閉じる事に専念した結果
少しばかり不自然な体勢で寝返りを止めざるを得ませんでした。
どうせなら思い切って姿勢を変えてしまえば好かったのに

元々狸寝入りを簡単に遣ってのける程私は器用では無かったのです。

便所に行った気配も無かった上、如何して今時分確実に眠っているであろう私の部屋を覗いたのか
ぐるぐると考えていると段々と恐ろしくなってきました。
目を瞑っている為にKの動向は良く掴めませんでしたが、僅かな布擦れの音と
先程より若干近い距離で掛けられるおいという声で、Kが部屋に入って来たと云う事だけは判りました。

私は如何しても狸寝入りを解いてはいけない様な気がして頑なに目を開けようとはしませんでした。
するとKから再びおいと声を掛けられました。しかもまた先程よりも近い位置です。

いつの間にか私の目の前にKが移動していました。
実際、目を開いて居なかったので正確な位置は判らないのですが
まるで熱を出した子供を枕元で看病する母親のような
通常の我々の関係を考えればそれ位不自然な位置にKが居たのです。

私の顔を見ながら『もう寝たのか』と声を掛けます。
此れは愈々おかしい。幾ら部屋の中が暗いと云えども
床に着いて随分経っている為暗闇に目が慣れて居る筈です。

大体明らかに眠っている私の顔がKからも見えている筈なのに
Kは妙に私に声を掛け、寝ているのかと念を押してくるのです。

私は慄然としました。今からKは私に何をする心算なのだろう。
そもそも目を開いていない私には目の前に居るのが
果たしてKであるか判断が出来ませんでした。

若しかしたらKの声を持つ何か得体の知れない物なのでは無いか
はたまた私が作り出した悪夢と云う名の亡霊なのか。

『僕は苦しい』私の部屋を重苦しく包んだ沈黙を破ったのは、同じく重苦しい彼の呟きでした。
『人を好きになる事が…拒絶される事がこんなにも苦しいなんて思わなかった』
私は一瞬何を言っているのかが判りませんでした。
苦しいと繰り返すのに、私は益々亡霊では無いかと疑ってかかった位です。

それ程Kの言葉は突飛でした。呟くような彼の低い声はまだ続きます。
『その目には僕は邪魔者としてしか映っていないのか』
『如何すればいいのかわからない』

不図小さく名前を呼ばれ、背後の布団にみしりとした振動を感じたかと思うと
急に相手の気配が近づき、顔に僅かな風を感じました。

私は余りの恐怖に情けなくも、小さくひっ、と声を上げてしまいました。
その瞬間気配が物凄い速さで遠ざかります。

狸寝入りも忘れた私は気がついたら飛び起きていました。
目の前には僅かに驚いたKの顔がありました。
Kは、『何だ起きて居たのか』と努めて平静を装って居ましたが彼の動揺は明らかでした。

私は混乱し、一体如何云う心算だと、真夜中にも関わらず語気を強めました。
今思えばあの時、よく御嬢さんや奥さんが起きて来なかったものだと思います。
第一彼の言葉の意味も判らなかったし、何をされそうに成ったのかも判りません。

唯私は、私の中に段々と押し入ってくる彼に恐怖して居たのです。
私は自分の疚しい心の為に、何か云いたそうに口をもぐもぐとさせていた彼の言葉を待つこと無く
すぐに出て行けと半ば怒鳴り散らす様に追い返してしまいました。

しっかりと閉ざされ、今は水を打ったように静かになった襖の向こう側が気に成りましたが
私には再びKにおいと声を掛ける勇気は在りませんでした。
再びそこからKが顔を出したら、とてもじゃ在りませんが
私は話どころかまともにその顔すら見られなかったでしょう。

苦しい。彼は図書館での帰りにも苦しいと呟きました。
よくよく考えてみると、最初に御嬢さんへの切ない恋心を告白された時とは
何処と無く心持が違った様に感じられました。

人を好きになる事が、拒絶される事がこんなにも苦しいなんて思わなかった。
私は、Kの拒絶という言葉に引っ掛かりました。
私が記憶する中では御嬢さんがKを拒絶したという部分というものが見当たりません。

『馬鹿だ』Kの言葉が頭の中で響きます。『僕は馬鹿だ』

不意に私は激しい喉の渇きに襲われました。
唯の渇きではなく、まるで締め付けられる様な苦しさを伴う渇きでした。
しかし部屋に置いた水は切れており、水を汲みにKの部屋を通る気にもなれなかったので胸を押さえつつ
カラカラになった口から何とか搾り出した唾液を飲み込んで遣り過ごす他在りませんでした。

この頃には私は、Kは何とかして私の気持ちを捻じ伏せる機会を狙っているのではないかと疑い始めて居ました。
そもそもKが私の御嬢さんへの気持ちを知っていたのか定かでは在りませんでしたし
この期に及んでも心のどこかではKなら大丈夫だという気持ちも存在し、迷いも生じていました。

然し、私は自分の卑怯さを棚に上げ、此の儘ではいけない、Kはきっと段々と私の心を蝕んで行くのだ
そして其れは確実に私を脅かす、と首を振り、無理矢理にその迷いを打ち消してしまいました。
彼はもう私の知っているKではない。
何を考えているのか判らなくなってしまったKは、もうKではないと自分に言い聞かせていたのです。

不図、窓の方に視線を向けると、段々と空が白んで来ていました。
明るくなりつつある空を見ながら、今が真夜中では無かった事に何故か私は心から安堵したのでした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ごめん。番号読み間違えて最後があとがきだけになっちゃいました。
規制に引っ掛かったので途中携帯から投稿。

どう足掻いてもバッドエンド回避ならず。
以下個人的な見解なので流してくれると嬉しいw

…実は少しおかしくなっていたのはKじゃなくて
先生だったんじゃないかと睨んでいる。

ありがとうございました!

追記→投下した者ですが、直接編集させて頂きました。


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