Top/56-380

speed drunker

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ハンチョウの速安ダヨ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  原作よりで匂わせてるだけだモナ……。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
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「お疲れ。今上がりか?」
署から出ようとしたところで、安積は速水とばったりはち合わせた。
「俺も上がりなんだ。乗ってかないか。たまには俺とドライブしようぜ」
ちょうど事件が一つ片づいたところで少し疲れていた。
速水の運転というのが少々気になるが、帰宅のラッシュに揉まれるよりはいいかもしれない。
「お前が上品に運転してくれるのなら考えないでもない」
ナンパのような誘いに、安積は勿体ぶって答えた。
「わかったわかった、どこかのお姫様でも乗せてるみたいに運転してやるよ」
速水は見事なウインクを残し、本人曰く「法の許す限りにおいてばりばりにチューンナップ」された愛車を取りに行った。

台場はがらんとした街だ。
大きなビルが建ち並んではいるが、ごちゃごちゃとしていないせいで、逆にだだっ広さを感じさせる。
それを過ぎて橋を渡る。暮れなずみ、灯りが点り始めた一番美しい時間。
風景が車の窓ガラスをなめらかに流れてゆく。仕事の気分がだんだん薄れていくのを安積は感じた。
速水はすっかりリラックスしてハンドルを握っている。
気の置けない友と二人きりの車内は、エンジンの音だけが穏やかに響いていた。
金色が一瞬、水平線のふちに最後の光芒を煌かせて消えていく。
安積は夕日を背負った飛ばし屋の少年を思い出した。
殺人事件の参考人となった彼が速水に仕掛けた公道でのレース。
乗り合わせてしまった安積は、絶叫マシン顔負けのスリルを速水の運転でたっぷり味わわされたことがある。
命がけのバトルで、速水は伝説と呼ばれたその少年を一度抜いた。
その時見た全身から気迫が吹き出しているような速水の姿。
いつも飄々とした旧友の初めて見る一面に、不可思議な高揚が背筋を駆け抜けたのを思い出し、
安積は前方を見つめる横顔に「今日は大人しいんだな」と話しかけた。
「そりゃあ、大事な大事なお姫様を乗せてるからな」
速水はにやりと笑いながら安積に向かって恭しく点頭した。
「誰がお姫様だ」
「じゃあ、飛ばしてやろうか」
不適な笑みを閃かせた速水は、返事を待たずにアクセルを踏み込んだ。
やめろと言っても聞く男ではない。
安積は呆れ顔を少しひきつらせ、Gで押しつけられたシートにしっかりと掴まった。
車線移動を駆使して、速水は次々に車を追い抜いていく。
これくらいのスピードはなんてことないのだろう、鼻歌交じりだ。

しばらくすると、安積もスピードに慣れてきた。
余裕が出てくれば、恐怖は簡単に爽快感へととって変わる。
追いかけ、追いついて、追い抜く。スィングするジャズのようなリズムがその走りにはあった。
バスドラムのように低く響くエンジン音。鋭く鳴るシンバルのような鮮やかな方向転換。
速水の奏でる旋律に魅せられ、安積の心も浮き上がっていく。
陳腐な台詞だが、男は少年の頃からなにも変わっちゃいない。
ミニカーを手で押して遊びながら、自分より遙かに大きい鉄の塊を自在に操る夢を見ている。
スピードの快感に酔える生き物だ。
だが今俺が感じているのはそれだけじゃないようだ、と安積は思った。
自分で運転するときは次にどう進むのか分かっているから体が身構えられる。
誰かに運転を任せたとしても大体予想がつく。
しかし速水の助手席では、全く予測できずにただ振り回されてしまう。
今感じているのは、無防備なまま強く大きいものに翻弄される快感だ。
やや被虐的な悦びも混じっている。
そういうのも自分は嫌いじゃないらしい、と安積はまた思う。
「気持ちいいだろ、安積」
見透かしたように速水が言った。
「あぁ。……少し、癖になるな」
陶然とした声で答えると、速水が含み笑いをして目を細めた。
混みあった部分を抜き去り、前を走る車はほとんどいなくなっていた。
スピードは落とされたが、見通しがいいという一事だけで十分に気持ちがいい。
乗せられているだけでこうなのだから、運転している速水はさぞかしいい気分だろう。

「なあ、飛ばすのってどんな気分なんだ?」
「それは仕事のことか? それともプライベートの話か?」
「お前にその区別があるようには見えないがな」
「ひどいなぁ。ありますよ、もちろん」
速水は指をハンドルの上で軽やかに踊らせ、タタンタタンとリズムを刻んだ。
「じゃあ聞くが、刑事が犯人を追い詰めるときの気分はどんな感じだ?」
「質問返しか?」
言い返しながら、安積の手は口元に自然と伸びた。薄い唇を親指で弄るのは考えるときの癖だ。
「刑事は猟犬みたいなものだ。俺たちは捜査の間、犯人のことばかり考えている。
追い詰めたときやワッパを掛ける瞬間は、高揚感も確かにある。
だが俺たちの仕事では被害者が必ずいるんだ。
だから……楽しいとか嬉しいとか思ったことはないな。
そういう感覚は持ってはいけないんだろうと俺は思ってる」
「同じだ」
速水はあっさりと言った。
いつものように真面目過ぎるとからかわれるかもしれないと思ったから少し意外な気がした。
「じゃあ、プライベートのときはどうなんだ?」
「そりゃもう、いい気分だ」
すっかり暗くなった窓から、安積は速水の方へと目を移した。
レースの快感を体の内に蘇らせているのか、速水の表情が次第に精悍さを増してゆく。
「一人で飛ばすのもいいが、強い相手がいたほうがもっといい。
そいつのことしか見えなくなる。飛ばして、追いついて、ねじ伏せたくなる」
速水は口元に緩い笑みを浮かべた。精悍さに、凶暴な衝動の匂いが加わる。
「一旦抜いて頭を押さえたのに、またすり抜けられるのも悪くないな。
手が届きそうで届かない、そういう獲物ほど燃えて、体が疼く」
速水がちらりと安積の方を向いた。

「肉食獣みたいだな。ライオンとかそういう、猫科の」
目が合ってはじめて見とれていた自分に気づき、安積は照れ隠しに言った。
「……そうかもしれない」
速水はうっそりと笑い、唇をぺろりと舐めた。
「猫は獲物を弄ぶって言うからな。本気を出せば手に入れられることは分かってる。
だが、俺はずっと駆け引きを楽しんでるんだ」
意味ありげに安積を見た速水の瞳が、街灯の光を反射して光った。
その瞬間、ぞくりとした快感が背筋を駆け抜けた。
「……っ……!」
安積は息を詰まらせ、両腕で己の体を抱きしめた。
得体の知れない感覚が体の中で膨れ上がっている。
何かが疼くような、苦しいのに、どこか甘いような――。
「どーしたの、安積くん? 車酔いか?」
さっきまでとは一転して呑気な声で速水が訊いた。
何にも知りませんとばかりに惚けた顔をしている。何が肉食獣だ。こいつは絶対、分かってやっているんだ。
「さっきの話……なんか含み持たせただろ」
むかっ腹が立った安積は、じとりと速水を睨んだが。
「考えすぎでしょ?」
はげるよ、安積ちゃん、といつものように軽く言い、
速水は「お前のマンションまで送ってやるよ」と読めない瞳で笑ってみせた。
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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 初投下なんでナンバリングし忘れた、スミマセン。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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