俺俺、VIPPERだよ!
更新日: 2013-03-27 (水) 17:44:21
去年2/23にチラ裏投稿したオレオレ詐欺ネタ・オリジナル男子高校生。
一年経過してるけどSS風に仕立て直してみたものを発掘したので投下。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
高校三年の二月。サクラサク、の知らせをもって俺の受験生活動は終了した。
俺の頭の中にギッチリ詰まってた練り消しが綺麗さっぱり取れたような爽快感は最高にhigh!って奴だッ!
てなわけで浮かれてはしゃいで卒業旅行の計画立てたり、塾やら模試やらで遠ざかっていた彼女といちゃいちゃチュッチュするのが正しい勝ち組の姿勢だろう。
しかし俺は大衆に迎合しない。
塾に行かなくていい土曜はネサフと2ch三昧が、通のたしなみだろ?
べっ、別に、彼女はモニタから出て来なくて、旅行に行く金もないから負け惜しんでるわけじゃねーよ!
三次女はウゼーし、俺は知的なインドア派ってだけなんだよ!
……モニタが滲んで見えるのはなぜだろうな。
虚しいひとり芝居をしていたら、ベッドの上にほったらかしてた携帯が鳴った。
メールじゃなくてわざわざ電話してくるっつったら、俺とご同類な佐東か、浪人決定の上泉か。
ギャルゲークリア報告でしたら、ぶち殺してさしあげますよ。
フリーザ様気取りで開いた液晶画面には、見慣れない11ケタの番号が浮いていた。
誰だ?
セールスだったら嫌だな、と思いながら、通話ボタンを押した途端。
『もしもし、俺だけど!俺、おまえのこと好きだ!』
見事にテンパってひっくり返りきった男の声が鼓膜にクリーンヒットした。
インターネッツの海を華麗に泳ぐダディのように明敏な俺は、瞬時に状況を理解する。
おいおーいw間違い電話ktkrww
わかるゥ、わかるぜェー、こいつからはモテない男のニオイがプンプンしてきやがるぜェー!
勇気を振り絞って告白したんだろうに、幸先が悪いね兄ちゃん。
しかし紳士たる者、不運な過ちを犯した者に寛大であらねばならん。
俺はおもむろに通話録音のスイッチを入れ、洋画劇場風の渋い声を作り、落ち着いて応じた。
「失礼ですが、どなたかとお間違いではありませんか?俺は男でs」
『そんなのわかってる!』
必死な叫びが、俺のダンディ演技を遮った。
男なのをわかってる……だと……!
『でも好きなんだ!心で誰よりも傍にいたい!体で、キスとか、触ったりとか、性的な意味でもいろいろしたい!』
ちょ、阿部さんでねらーかよwオワトルw
俺は心の中をプギャーAAで埋め尽くしつつ、録音が続いていることを確認した。
こいつはうpしてやらねばなるまい。
『いきなりこんな事言われて、気持ち悪いかもしれない、けど……』
告り野郎のテンションが落ちた。アッー!の人は大変だな。
しかし俺は801板にも突撃した男。ひるみはせぬ。
『俺は、本当に、お前の事好きで、だから……知ってほしくて』
絞り出すような声は、本気でいっぱいいっぱいになっているようだ。
もしかして、受話器を握る手も震えてたりするのか。
さすがに気の毒になってきて、録音停止ボタンに指をのばす。相手がねらーでも、真剣な気持ちを笑い物にしたらいかんよな。
「あのぅ、番号、確かめた方がいっすよ」
『ちゃんと確かめた!安価指定なんて軽蔑するかもしれないけど、こんなきっかけでもなきゃ、言えなくて!』
指を引っ込めた。
ちょw安価かよwスレどこだwww
「ちょっと待ってくださーい」
笑いをこらえつつ、子機を握りしめて板を開く。
『あ、俺ほんとに、本気で…』
告り野郎に生返事をしつつ、スレ一覧を素早くチェック。
これか?『同じ塾の男好きになった 2』。
最新の安価が「電話で告白」、1のレス「電話する」で止まってるな。
前スレの全て読む、で最初から素早く辿る。
1が好きになった奴はヒョロくてチャラいけど、オタっぽい奴らとニコ動の話で盛り上がってたから多分ねらー。
自分には縁遠いDQNだと思ってたのに、雨の日に傘貸してくれて、「俺、予備あっから」って嬉しそうに広げたのが某蛙軍曹の傘。
……これなんて俺?
傘男(仮)が気になり出した1が、どんどん彼に惹かれていった話を続けていくにつれ、TDNコピペや阿部さんAAが減っていく。
顔を合わせれば挨拶する程度の仲になって。他の奴らのおまけみたいに誘われて一緒にゲーセン行って、音ゲーの鬼ステージをクリアした1に「おまえすげーマジすげー!」と興奮した傘男(仮)の笑顔に、はっきり恋を自覚するくだりは、甘ずっぺえ青春じゃねーかチクショウ。
誕生日なのを当日に知って、コンビニで蛙軍曹のキーホルダー買って渡したらすごい喜ばれて泣きそうになったとか。
スレの伸びはあまり良くないけど、純情すぎる1の気持ちが、俺の胸をギュッとさせやがる。
受験が終わって、塾って接点がなくなって、大学も違うとこで……もう会えないって焦って、でも何かする勇気が出なくて、安価指定か。がんばれ1!と、追い付いた時には応援したい気持ちでいっぱいになってた。
しかし、この、既視感っていうのか?傘男(仮)の行動はことごとく身に覚えがあるものだ。
ゲーセンは覚えてないけど、蛙軍曹のキーホルダーくれたのは、確か……
「えーと……おまえもしかして、内藤?」
おそるおそる聞いてみる。
『あ!そ、そう!携帯番号、同じ高校のやつに聞いて、ややっぱきもいよなごめぁえk◇#§ふじこ※●』
内藤……知的で落ち着いた男だと思っていたおまえがこんなキャラだったとは。
「落ち着けよ。混乱するのは俺のほうだろ常識で考えて」
「すぁ、ああぅ」
そうだな、って言いたかったんだな内藤。ほんと落ち着け。しかし、何故だろう。
俺のためにこうなったかと思うと悪い気はしていない。
スレをリロードすると、沈黙したままの1を案じる皆のレスが現れた。当事者が言うのもなんだが、俺も内藤を応援したい……今すぐ受け入れるとかは無理だけど。
「じゃあ、次の安価は450な」
『え』
「いーから」
<1:>>450>
新着を確認し、息を深く吸う。俺クラスのvipperだと安価ゲット余裕でした^^なわけだが、流石に焦って震える指を叱咤し、書き込みボタンを押す。
<450:1に告られた男
同じ塾の知り合いとしか思ってなかったから、正直なにも考えられない。
だけど、なんで俺なのか知りたい。
1は俺をデートに誘え。
誘えないなら、釣り宣言しろ。>
電話の向こう、息を飲む気配に、俺まで胸苦しくなった。
内藤。どうなんだ。
『……デート、してください』
蚊の鳴くような震え声をpgrすることはできなかった。
いいぜ、とcoolに答えたつもりの俺の声も、つられてかっこ悪く裏返ってたから。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- ちょwww萌えたwwwwwwwwwwwww -- 2010-08-11 (水) 10:30:03
- 萌え… -- 2010-10-30 (土) 23:34:41
- すげええwwww -- 2013-03-27 (水) 17:44:21
このページのURL: