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厄日

エヌエチケーにて放送中の人形劇三十四より アヌス×谷やんです。
本スレの素晴らしい流れに感化されて書いてみました。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「これじゃあ、何をしに行ったんだか…」
今朝あった様々な出来事、そして頭を悩ませる枢機卿からの誘いについて考えるうちに、
いつのまにか下宿までついてしまった。気は乗らないが、今日は朝から行き先も伝えずに
出てきてしまったので、そろそろ戻らなければ不審に思われるに違いない。努めて平静を
装い下宿の扉を開くと、予想に反して室内は静まり返っていた。
2階の自分たちの部屋に上がっても静寂はそのままで、どうやらこの下宿の全員が全員今
は留守にしているらしい。正直ほっとした気持ちになって、自分のベッドに倒れこむと
深いため息が漏れた。無意識のうちに枕の下に隠している枢機卿からの贈り物に手が伸び、
その怪しい輝きに目を奪われてしまう。こんなものが欲しいわけではない、と常々思って
はいるのだが、そのまま傍に置いておけばただ危険なだけの宝石を手放すことができない
のはどうしてだろう。思わず「まいったなぁ」と独り言が漏れた。

「確かにたいぶ参っているようだな。ダル」
あると思っていなかった返答に、ダルタニアンは慌てて起き上がる。声の主はゆっくりと
階段を上がってくるところで、とっさに毛布の下に宝石を隠した。
「アトスさん、おかえりなさい。 
 皆さん留守のようですけど、どこかにおでかけなんですか?」
「…まぁ、戦争も近いし色々ヤボ用があるんだろう。
 そんなことより、お前今日は朝からどこに行っていた?」
内心ぎくり、としたのを悟られないよう、できるだけ何でもない風を装って
「ジョギングと散歩に」と答えた。
「ふうん。
 …お前の散歩コースは、だいぶ遠いところまで延びているようだな」
そう言うが否や、何かを顔をめがけて投げつけられて一瞬視界が遮られる。あまりの唐突
さに抗議しようと思った声は、投げつけられたものが何かを確認してそのまま水蒸気の
ように消えてしまった。
“それ”は、昨日貰ったばかりの、見た目は多少粗末かもしれないが、想いのこもった
銃士隊の隊服、だった。そう、今朝枢機卿のところに置き忘れてきて、「後で届けさせる」
と約束してもらった隊服。
『何もアトスさんに持たせなくても…!』
さぁっと、血の気が引くのがわかり、思わず枢機卿を呪いたくなる。

「ダルタニアン、枢機卿に何の用があった。 何を話したんだ」
「……言えません」
その回答でアトスが納得するわけがないことはわかっていても、それ以外に答えようがない。
「言えない、か。 おい、ダル。悪いことは言わん。
 …痛い思いをしないうちに、全て打ち明けたほうが身のためだぞ」
やんわりと、だが明確に脅迫をするアトスに、この脅され方をされたのは二回目だ、と
かすかな記憶が蘇る。あの時はトレヴィル隊長の助け舟が入ったが、今回は救いの手を
差し延べてくれそうな人間に心当たりがない。自力で窮状を脱する以外にないのだが、
唐突すぎる展開に頭のほうがついていかない。
「…言えないものは、言えません」
「やけに強情だな。なんでそこまで枢機卿に義理立てする必要があるんだ」
じりじりと間合いをつめられ、気がつけば後ろはベッドと壁、前はアトスに挟まれた格好
で、このままでは逃げるに逃げられなくなってしまう。確かこういう場合
『逃げ場は前にしかない!』
と教わった気がするのだが、前に立ちふさがるのがそれを教えた張本人なのだから、そう
簡単に見逃してくれるとは、やはり思えなかった。

「それとも、とても口にできないような事でもしてきたか」
勘違いも大概にして欲しいところだが、「じゃあ、何をしていたのか」と切り返されたら
どう答えば良いか、上手い口上も思い浮かばなくて。その言い訳を考える間の沈黙が変
な方向に作用したらしい。

「お前が誰のものか わからせてやる!」
不意を突かれてベッドに押し倒され、強かに頭を打ちつけてしまった。マットが安物なの
で、さしてクッションの役割をしてくれるでもなく、後頭部からじわじわと鈍痛が波の
ように押し寄せる。思わず
「痛った! 何すんです」
か、そう叫びかけた抗議の声は、そのまま荒々しくされた口付けによってかき消されて
しまった。あごを掴まれ無理やり上向かされると、口の中を蹂躙するような乱暴なキス
に上手く呼吸もできなくて、息苦しさから逃げようと力一杯抵抗をしてみてもアトスは
びくともしない。酸欠の苦しさに涙がにじんだ。
ようやく唇が解けると急激に空気が肺に流れ込み、げほげほと情けなくも咳き込んでしまう。

その苦しさに恨みがましくアトスを睨み付けるが、そのアトスの視線は何故かこちらには
向いていなくて。その視線の先を確認して、体中の血が凍りつくかと思った。
そこには、燦然と輝く“罪”の証があった。

「これは、どうしたんだ」
言えない。この状況で言えるわけがない。
「言い訳は必要ないぞ。俺は、これに見覚えがあるからな」
「あの、違うんです」
何が何と違うと言いたいのだろう。自分でも良くわからない。
「言い訳はいいって言っただろ!」
その激しい剣幕に圧倒されてしまい、覆いかぶさるように再びベッドに押し倒されて、
シャツを繋ぎ止める皮ひもを力任せに引き抜かれても、その下のベルトに手が掛けられても、
抵抗らしい抵抗もできなかった。アトスと体を重ねるのは、なにもこれが初めてではない。
それなのに、こんなにもアトスが怖いと思ったことはかつてなかった。
こんなやり方は『嫌だ』と大声で喚きたかったが、決定的な証拠を見咎められた後ろめた
さと、何か言えば、更なる怒りを買うだけなのではないかという恐怖が口をつぐませる。

「お前が、こんな“やり手”だとは知らなかったよ」
こちらの意志などお構いなしに続けられる行為と、嘲るような口調になけなしの自尊心も
手ひどく傷つけられて、もう誤解だろうが何だろうが、なるようになればいいと思えてきた。
本来なら、誤解は解くように努めるべきだったし、枢機卿のところへ出向いた理由や転がり
出てきた宝石のことだって沈黙で返したりせずに、それなりに取り繕えば良かったのだろ
うが、『本当に知られたくないことは何なのか』すらもうわからなくて、何もかもが面倒だった。
その誠実でない態度が招いた“罰”は天罰覿面とばかりに自分に返ってきて。
…愛情の欠片もない行為が、こんなにも辛いとは知らなかった。

胸の突起を弄ぶ手つきも、わき腹や内股をなぞる愛撫も、全てが邪険にされている気がして、
いつもなら夢見心地で全身を蕩けさせてくれるそれが、今日はただ怖いとしか思えない。
それなのに身体だけは刺激に敏感で、意志に反して浅ましく快楽を貪り『もっとして欲しい』
と主張をする。
性急に攻められて吐き出した精を潤滑油代わりに、指で後ろを慣らすのもいつにはない
乱暴さで、気のせいではなくわざとそうされているのだとわかって、鼻の奥がつんと熱く
なった。こんなことで泣いたりなんかしたくないのに、ぽろぽろと涙が零れ落ちる。

「泣くまで我慢する前に、正直に全部白状しちまえば良かったのに」
「だって…」
「洗いざらいしゃべる気になったか」
「…ごめんなさい。今は、まだ。 考えがまとまらなくて」
「ふん。 強情だな」
その言葉は少し呆れたような口調ではあったが、さっきまでの怒気はほとんど感じられ
なかった。
「まあいい。今は、ってことは“そのうち”話してくれるってことだろ」
そのうち、か。確かに遅かれ早かれいつかは結論を出さなくてはいけないのだ。そのとき
は、好む好まざると関係なく全てが白日の下に晒されることになる。
出した結論によっては、この関係もそれまでのままとはいかない。でも、その瞬間が訪れる
まではできるだけ甘い夢を見ていたいと思うのは、…きっとただの我侭なんだろう。
ぐるぐるとした思考を停止させたのは、両足をいきなり抱え上げられた事に対する驚きで、何事かと視線を向けるとアトスと目が合った。
「考え事は終わったか」
「…え?」

「じゃあ、お仕置きの続きだ」
「って、えええぇぇ?!」
こっちの抗議もさして気にする風でもなくぐっと挿れられたそれに、慣らされているとは
いえ圧倒的な異物感は拭いようがない。その上身構えもできないうちに貫かれたから、
最初の衝撃を受け流すこともできなくて。お仕置きだといってたアトスの言葉に偽りは
なく、後はひたすら泣き続ける羽目になった。

「誰か帰ってきたらどうするんですか…こんな」
「しばらくは誰も帰ってこねえよ」
「なんで、そんなことがわかるんですか?」
「お前の秘密を話してくれたら、教えなくもないが」
「…ならいいです」
まだ昼前だというのに今日はもう何もしたくないほど疲弊しきって、他の皆が何をして
いるのかなんて、そのときは考えようとも思わなかった。アトスが帰ってこないという
ならそうなのだろうと、不自然ではない程度に身繕いをすませると生理的欲求に身を
任せて眠りに落ちた。
それが幸か不幸かは、まさに神のみぞ知る というやつだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

お目汚し失礼しました。


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