芸人 オードリー 春日×若林 「共白髪」
更新日: 2011-01-12 (水) 00:38:30
先月30日放送の「秋刀魚の本間でっかニュース」からの妄想
誰もが思いつくかもしれない収録後のふたり
!!ナマモノ注意!!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
長かった収録が終わって、やっと楽屋に戻ってこられたのに
「次、移動だから、早く支度して!」
焦ったマネージャーの声に急かされる。
「裏に車まわしておくから、早く来てね」
急ぎ足で彼女が出て行くと、狭い楽屋にふたりきりになる。
心なしか空気が重いのは、さっき収録した番組の中で
俺と和歌林の寿命が60歳と65歳だと宣告されたからで。
テロメアとやらの長さが根拠らしいのだが、正直言って半信半疑だ。
60で死ぬと言われて良い気持ちはしないけれど、裏を返せば60までは生きられるって事だし
人間いつかは死ぬんだからと、俺はあまり深く考えないようにしていた。
でも、生来ナーバスな相方は結構ダメージがでかいようで
スタジオを出てから一切口をきかない。
こういう時はヘタにちょっかいを出すと大怪我するので、俺もダンマリを決め込んでいた。
俺は和歌林に背を向けて、自分のカバンに手早くテーブルの上のジュースとお菓子を詰め込んだ。
先刻からずっと押し黙ったままの和歌林が、すっと俺の背後に立つ。
また文句を言われるのかと身を硬くした俺の背中に、こつんと和歌林が額を付ける。
「・・・粕賀さん」
普段よりずっと生気の無い声。その理由は見当が付くけれど
「なんじゃい、こら」
わざと茶化すように答えた。
背中に和歌林の消え入りそうな溜息が触れる。
振り返りたいが、意地っ張りな彼は弱っている自分を見られたくないだろう。
背を向けたままで、和歌林の次の言葉を待つ。
しばらく黙っていたが、時間が押し迫っている事を思い出してこちらから声をかけようかとした時に
やっと和歌林が口を開いた。
「俺より、先に、死ぬなよ」
低く短く呟かれたその言葉は、言いようも無い不安を滲ませていて俺の胸を締め付ける。
俺まで不安に巻き込まれないように、またふざけた調子で返した。
「なんですか、いつもは粕賀の葬式では大笑いするなんて言ってるくせに」
「あぁ、そうだよ。大笑いしてバカ騒ぎして、焼香の灰をぶちまけてやる」
「・・・織田信長じゃないですか、それ」
「だから、そんなことされたくなかったら・・・俺より先に死ぬな」
背中に感じる微かな温もり。凭れ掛かってくる重みがやけに嬉しい。
「死にませんよ」
重苦しい空気を振り払えるように、はっきりと言い切った。背後の和歌林は動かない。
「あの時、粕賀は百歳まで生きたいって言ったでしょう?」
ぱんぱんになったカバンの口を閉めながら、後ろの相方に語りかける。
こくりと小さく頷いたのが背中越しに伝わってくる。
ああ、もう、なんて可愛いんですか、あんたは。
「お前百までわしゃ九十九まで、共に白髪の生えるまでって知ってます?」
「あぁ・・・聞いたことはあるけど」
「あれね、妻が夫に言ったものなんだそうですよ」
「・・・は?」
「だから、粕賀が百までお宅さんが九十九までって思って言ったんですけど」
「人の希望寿命を勝手に決めるなよ・・・ってか、誰が妻だよ!」
「え?だって、ベッドでは・・・」
「っ!それ以上言うなぁぁぁ!!このバカスガァァ!!」
やっと和歌林がいつもの調子に戻ったのが嬉しくて、背中をぽかぽか殴られながら大笑いした。
「なに、笑ってんだっ!この変態!!」
なおも殴りかかろうとする和歌林の両手首を捕まえて、ぐいと引き寄せる。
「和歌林」
真正面から目を合わせる。黒目がちな瞳に真剣な表情の自分が映っている。
「なんだよ」
和歌林も負けじと俺を睨み付ける。
「いつ死ぬのかなんて、本当は何もわからないけど・・・」
掴んだままの和歌林の手にひとつキスを落とす。
「死ぬまで一緒にいましょうね」
和歌林の瞳が揺れて、すっと細まる。
「死ぬまで漫才するんだから、当たり前だろぉ」
柔らかく微笑んだその唇に、吸い寄せられるようにキスをした。
今、死んでもいいと思ったなんて言ったら、また殴られるかなぁ。
いやいや、まだまだ、やりたい事もいっぱいあるし、死んでる場合じゃないね。
ヤりたいコトもありますしね、和歌林君。
うふふ、とついにやけてしまって、軽くこめかみをはたかれた。
この痛みも幸福感も、生きていればこそだよなぁと実感してまた嬉しくなる俺だった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
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