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芸人 オードリー 春日×若林 「逆ドッキリ」

先日の論派ーでの爆破ドッキリが
もし逆ドッキリだったら…という仮定の妄想話
エロ無しです

!!ナマモノ注意!!

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

雷鳴のように鳴り響く爆音。
爆風に煽られて、火柱が高々と上がる。

「さすがの粕賀も、これは死にましたねぇ」
自分が入っている事になっていた、今はもう残骸になってしまったコンテナを
遠目に眺めながら、呟いた。

「じゃあ、そろそろ行きましょうか、粕賀さん」
にこやかなスタッフの声に促されて、立ち上がる。

・・・他人を驚かせて、何が楽しいんでしようかねぇ・・・。
ドッキリは大好きだけれど、それは仕掛けられた時のことで
仕掛ける方に回るのは、気が重い。
しかも今回、ドッキリを仕掛けた相手は、和歌林。
ネタばらしの後の反応が恐ろしい・・・絶対キレる。殴られる。

正確に言うと、和歌林に仕掛けたのは「逆ドッキリ」ってやつで。
彼は、俺がドッキリに引っかかったと思っていたはずだ。
俺が閉じ込められた(事になっている)コンテナが、本当に爆発するまでは。

今の和歌林の心情を思うと、本当に気が滅入ってくる。
でもこれも仕事のうちだと割り切って、俺は現場に向かった。

事故だ、消防車だ、警察だと、迫真の演技で走り回るスタッフの間をすり抜けて
爆発現場の前で、棒立ちになっている相方に背後から近づく。
和歌林の隣に居た論部ーの亜津志さんが、俺に気付いて少し後ずさり、目配せをする。

『行け』ってコトだよなぁ。
小さくため息をついて、右手にもっていた看板を肩に担ぐ。
『ドッキリ大成功』と書かれたソレを両手で捧げ持ち、努めて明るく、声を張り上げた。
「てっ、てて~~ん!!」

びくりと肩を震わし、振り返った和歌林は能面のような顔で。
俺の姿をみとめると、2回瞬きをした。
そうして、ゆっくりと俺の方に近づいてくる。

能面のように無表情だった顔が、くしゃりと歪む。
泣き出しそうな、笑い出しそうな、いまにも壊れそうな表情に、目を奪われて動けない。

小刻みに震える唇が、小さく俺の名を紡ぐ。
「・・・粕賀・・・」
その声は、甘く切なく、俺の胸を刺す。

目の前まで歩み寄ると、和歌林の右腕が俺の方に伸びてきた。
殴られると直感して、反射的に肩をすくめて身構える。しかしその腕は、俺の首筋にそっと回された。
あれ?と思う間もなく、ぐいと引き寄せられて、前屈みになる。

もう片方の腕も首に回されて、まるで俺にぶら下がるかのように
ぎゅうっと抱きつかれてしまった。

「わっ・・・和歌林っ!ちょっと、ちょっとっっ!」
焦る俺。
周りには論部ーさんをはじめ、数名の共演者に大勢のスタッフ。
カメラまで回っているというこの状況で、この体勢はヤバイ。

ヤバイのだけれど、すがり付く肢体を抱き返したくて、両腕がうずく。
鼓動がどんどん早くなる。体中を興奮した熱い血が駆け巡る。
うわー、ファウルカップ付けといて良かったー!

馬鹿な事を考えていると、ふいに抱きついていた腕がゆるんで、ずるりと和歌林が崩れ落ちる。
咄嗟に片手で支えて、俺の胸にもたせかけた。

覗き込んだ和歌林の息が不自然にあらい。少し指先が痙攣している。
過呼吸だ、とピンときた。

「おいおい、和歌林、どうした?!」
「大丈夫?」
論部ーさん達が心配して集まってくれた。
「いや、ちょっと相方が驚きすぎたみたいで・・・」

過呼吸で大事に至ることはない。
けれども、本人には死にそうなほどの苦しみが襲うらしい。
真っ青な顔色で、目を硬く瞑った和歌林を見ると、俺の胸も痛む。

「すみませんが、ちょっと休ませてきます」
集まってきたスタッフに声をかけて、一礼すると
和歌林を両腕に抱き上げて、楽屋代わりのバンに連れて行った。

後部座席の隅に座らせて、俺もその横に腰掛けた。短くあらい呼吸を繰り返す和歌林に、そっと語りかける。
「大丈夫、また過呼吸を起こしてるだけだ」
「でも・・・苦し・・」
上手く呼吸ができない和歌林は、本当に苦しそうだ。

片手を和歌林の肩に回して、軽く抱き寄せる。
「うん。大丈夫だから。息、吐いて」
「息っ・・はっ・・・わかん、ねぇ・・・」
以前、和歌林が過呼吸を起こした時に、対処法としてやったペーパーバッグ法は、実はあまり良くないらしい。
まず落ち着かせて、息を吐かせるのが得策だと、どこかで読んだのを思い出した。

「じゃ、何か、しゃべって」
「え・・・?」
「しゃべってたら、息吐くでしょう?」
「でも、なに・・・を?」
「俺の名前でいいよ。呼んで、和歌林」
「かす・・・が?」
「そう」

「か、す.がっ・・・かす、が・・・かす.がぁっ・・」
俺の腕の中で、俺の名を何度も繰り返す和歌林。
胸を突き上げる愛おしさで、キスしたくなる衝動をなんとか抑える。

茶色の猫っ毛に唇を寄せて、呟いた。
「すまない・・・」
「・・・ばか、仕事、だろぉ。お前が・・・謝んな」
ようやく治まってきた呼吸の中で、苦しそうにしながらも、言い返してくる。

「だいたい、なぁ、俺はなぁ、お前が体はるたびに、こんな思いしてんだよっ!」
少しずつ、和歌林の声に力が戻ってきた。
なじられながらも、俺は胸を撫で下ろす。

「今までも、K-1の時だって、潜水の時だって、いつもいつも!!」
「・・・すまない。・・・でも・・」
俺は、俺に出来ることを精一杯やりたいんだと言い募ろうとしたのを遮って
和歌林が顔を上げて、俺に微笑みかけながら言った。
「でも、いーよ。お前、ソレがやりたいんだろ?」

和歌林の指が、そっと俺の頬に触れる。
「こうやって、ちゃんと俺の隣に帰ってきてくれるなら、
 どんなにドキドキしてもハラハラしても、待っていてやるよ」

そんな、いじらしい事を言わないでくれ、和歌林。
本気で泣きそうになってしまう。

「絶対、帰ってくるんだろう?・・・だって、お前、スゲーもんな」
「あ・・・当たり前ですよっ、あの、粕賀ですよ」
こみ上げる涙を誤魔化すのに、慌ててキャラを作る。
そんな俺の事なんか、お見通しだと言わんばかりに、和歌林も満面の笑みを作る。

「俺さー、今日、お前、死んだと思っちった」
「・・・っ!」
ふざけた口調の中に、和歌林の本気を感じ取って、俺の息がつまる。

「あの粕賀さんを信用しきれないなんて、俺もまだまだだなぁ」
普段の笑顔に戻った相方に、許されたような気分になって
俺もまた「粕賀」に戻る。

「本当に、まだまだ、和歌林君は修行が足りませんな」
「調子に乗ってんじゃねぇよ」
いつものように、こめかみを叩かれて、俺も笑顔になる。

和歌林の手を引いて、体ごと俺の胸に寄せ、ふわりと抱きとめた。
「必ず、絶対、何があっても、和歌林の隣に帰ってくるよ」
「・・・絶対だぞぉ、俺たちふたりでオー.ドリーなんだからな」

和歌林が粕賀を必要としてくれている。
それだけで俺は、こんなにも幸せになれる。

自分だけのパワースポットが、こんな身近にあったんだと
今更ながらに気がついて、抱きしめる力を強めた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

退院&復帰御祝 早期回復祈願ナモナモ


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