Top/55-211

step on step

結局このふたりの絆が一番強いんではないかと
でも試合中、赤がメンバーに言った言葉は暮は聞いてないんだよなあ
暮だって聞くべきだよなあ
そんなところから暮のために書いたお話
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   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
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  └──────│801ですらないかもよ
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山王工高を79対78で下した僕たちは、愛和学院にウソのようにボロ負けした。
持てうる力を全て出し切って山王工高と戦った僕たちには、もうなにも残っていなかった。
終わった後、皆泣いた。
泣いたけれど、顔はすっきりとしていた。
スカスカになるまで戦った僕たち湘北バスケ部メンバーの夏は終わった。
そして僕と赤木は引退を迎えた。

「オレが新キャプテンの宮城リョータだ!!」
少し緊張した宮城の声が体育館に響く。
二人目のマネージャーに晴子ちゃんを迎え、冬の国体に向けての新しいバスケ部が
作られてゆく。
彩子ちゃんの張りのある声がメンバーにカツを入れる。
流川は全日本ジュニアに選ばれて、留守だ。
桜木は、山王との試合の中で傷めた背中を治療するために、リハビリ専門病院で
治療に専念している。
三年の中で、三井だけが残った。
彼はバスケから離れていた期間を取り戻すために、最後まで闘うのだ。
僕は一年前を思いだした。こうやって僕たちも引退する三年生を送った。
汗を流す三井や宮城を見ていると、制服を着て体育館の扉の外に立っている
赤木と自分が不思議な気がする。
「引退しよーが落ちるもんは落ちるんだよ」
と三井はぶつぶつ言っていたが、そう言うわけにも行かないことは三井だって
本当はわかっているのだ。
僕たちは湘北バスケ部を引退はするけれど、バスケットから引退するわけではない。
「行こうか」
「おう」
ボールの音と、バッシュが床とこすれて鳴る高い音が響く体育館を後にして、
僕たちは校門へ向かった。

寝ても覚めても、僕たちの中心はバスケットだった。
何をしていても、意識はバスケットに向っていた。
苦しくて、楽しかった。
湘北でバスケ部に入って本当によかったと心から思う。
校門を出て駅に向って歩きながら、一抹の寂しさって言うのはこう言う気持ち
なのかなと考えた。
やり遂げたと言う充足感と、自分の一部をどこかに置いてきたような、スースーする感じ。
「赤木」
「なんだ」
「引退しちゃったなあ」
「おう」
「すごくバスケがやりたくなったら、練習付き合えよ」
「バカヤロウ、すごくやりたくなるまでボールに触らんつもりか」
「無理かな。一応受験生だし」
「俺は無理だ」
赤木は無理だろうな。僕も無理かもしれない。いつでもボールが恋しくて、
いつでも仲間が恋しい。
僕は歩きながら、大きく伸びをした。
「赤木とバスケがやれて、楽しかったよ」
赤木が一瞬黙った。
「?」
隣を歩く大きな男を見ると、真顔で正面を見ている。
「そう言えば木暮には言っとらんかったな」
「なにを」
「俺は湘北は最高のチームだと思ったんだ」
「うん」
「山王との試合中にな、つい口から出たんだ。肝心の小暮には言ってなかったな」
赤木がこちらを見て、
「俺も木暮と一緒にバスケが出来て楽しかった」
晴れ晴れと笑った。
「ありがとうな」

「…ははっ」
一瞬にして、赤木と出会ってからのいろんなことが頭の中を駆け抜けた。
中学でバスケを始めたのは、ただ体力をつけたかったからだ。
あんなにずっと走っているスポーツだと思わなかった。
最初は体力も筋肉もなかった。
湘北に入ってから、2年間、仲間に恵まれなかった。
赤木も僕も弱音は吐かなかったが、部員が一人また一人と減っていくのはやるせなかった。
一度だけ、赤木が、小学校の時に買って以来の宝物だと言うバスケ雑誌を手に、
肩を落として部室のベンチに座る姿を見たことがある。
声がかけられなかった。
バスケは団体スポーツだ。
チームメイトがいて初めて「バスケットボール」が出来るのだ。
他の部員が皆帰ってしまい、仕方ないのでボールカゴに机を立て掛けてリバウンドするように
工夫して、シュート練習したこともあった。
その時も赤木が「リバウンドがうまく来ないのはおまえがヘタだからだ」と言いながら、
練習に付き合ってくれた。
僕はバスケが好きで好きで仕方がなかった。
赤木とするバスケが好きだった。
コートにいる時の赤木からは、全身から、バスケが好きだと噴き出していた。
赤木のプレーを見ているのも好きだった。
パワフルで、まっすぐで、かっこよかった。
おいおい、メガネが曇ってるよ、どうしちゃったんだ。
赤木に気付かれないように、レンズの下から指を入れて、涙を拭いた。
「こっちこそ、ありがとうだよ」と、赤木の背中を一つどついた。
僕たちは別々の進路を進むだろうが、また一緒にバスケが出来る時が来るだろう。
またいつか、最高のメンバーで。

その時にはよろしく頼むよ、赤木。

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                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) 赤と暮ならこの程度だよね
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
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