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オリジナル 後輩→先輩

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ぬるーいオリジナルで後輩→先輩風味?
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  自分ひとりだけ楽しんでるけどね
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
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ここのところの寒さははっきり言って異常だし、正直自転車飛ばして買い出しなんてするんじゃなかったと思わないでもなかったけれど、寒いの一点張りで外出を控えた結果、とうとう貴重な備蓄食料を食い尽くしてしまったのだから仕方がない。
運良くタイムセールの安売り玉子もゲットできたんだから、このタイミングで買い物に来て良かったじゃないかと、主婦じみた発想で自分を慰めながら、俺はペダルを踏み続ける。
冷たい風が顔面に当たって鼻の頭がじんじん痺れてきたけれど、久しぶりに身体を動かしていると、次第に気持ちよくなってきて、ちょっと遠回りしていこうという気分になってきた。
このまま家に着くにはハンドルを右に切ればいいところを、わざとまっすぐ突っ切っていく。
風がますます強くなってきて、潮の香りを運んでくる。このまま行けば、小さな波止場に着く。
最近、そこで釣りをするのにはまっている、と先輩が言っていたのを思い出したのだ。
俺の予想は当たり、人気の無い波止場に、ぽつんと一人だけ折り畳み式の小さなイスに腰をかけている背中を発見した。
遠目でもよく分かる、頼りないオーラを発しているあの背中は先輩の背中以外の何者でもない。
派手なブレーキ音をたてながら、俺は先輩のすぐ後ろで自転車を留めた。
先輩は微動だにせず、ただただ海に向かっている。

人が来たことに気づいていないのか、気づいていても振り返るのが面倒くさいだけなのか、どちらでも大いにあり得る。とりあえず、先輩の無関心を良いことに、俺は遠慮なく先輩の傍らに置かれているバケツをのぞき込んだ。
「うひゃあ」
思わず俺は感嘆の声を上げた。
これはひどい。
「大漁だろ」
そう言いながら、先輩はまた釣った成果をバケツの中に放り込む。
カランといい音を響かせながら、炭酸飲料の空き缶が転がる。これで、一つ二つ……四つ目かな。その他に、長靴が片方突っ込まれている。
「ちょっとした才能ですね」
「俺さ、海の美化にちょっと貢献してるよな」
冗談めかしているけれど、やっぱり悔しいのか、再び釣り糸を垂れた先輩の瞳は真剣そのものだ。
「先輩」
「ん」
声をかけても、全然こちらを見てくれないのがなんとなく悔しい。
「寒くないですか?」
「さみーよ、無茶苦茶寒いって」
ずるずると鼻水をすするので、俺はポケットティッシュを差し出した。長い指先がティッシュを摘みあげるが、やっぱり先輩はこっちを見ない。
「今日、俺、鍋するんです。寂しい一人鍋だけど」
「あーそう」
気のない返事に、なんとなく落胆してこのまま帰ろうかと思ったのに、
「じゃもうちょっと待ってろ。大物釣り上げて、手みやげにするから」
こう言われたら、もう待っているしかないじゃないか。それから待つこと30分弱、たわいもない会話が続いた。
会話の内容の九割以上「寒い」ということで、二人して寒い寒いとぼやきながら、微動だにせずずっと座り込んでいるという間抜けな構図になっている。

「おっ」
とうとう釣り針になにかがかかった。俺はとっさに先輩の足元に置かれていた網を持ってスタンバイする。
「来てる来てる、大物だよ、これは!」
きらきら目を輝かせている先輩の横で、俺も胸をドキドキさせながら網を持つ手にきゅっと力を込める。ばちゃんと派手な水しぶきがあがった。
「あっ」
「あーあ」
ようやくかかった生きている魚は、見事に餌だけ食い逃げして行ってしまった。
日はすでに傾いていて、吹き付ける潮風はさらに冷たくきつくなってくる。
またもや先輩はくしゃみを連発し、俺からティッシュを強奪する。
「もうちょっと待ってて、もうちょっと」
「いや、ちょっとじゃなくって。やばいですよ。先輩、風邪引いちゃいますって」
それでも先輩は「だって、お前にうまい魚食わせたいし」なんて言いながら、またもや釣り糸を垂れようとする。
気持ちはうれしい、とってもうれしいけど。
「でも先輩、残念だけど、俺、生きている魚捌けませんから」
「え、嘘。いや、大丈夫。先輩命令だ、なせばなる。やってみなくちゃ分からない」
「こういうのは釣り人が責任持つべきですよ!」
やっぱり先輩、自分で魚を捌けなくて、俺にやってもらうつもりだったんだ。
これまで釣りした時はどうしていたんだろう? きっと、まだ生きた魚は釣れたことがないんだろう。
下手の横好きとはよく言ったものだ。
どうしても俺は釣り上げたいんだと言い張る先輩の手から強引に釣り竿をもぎ取ると、俺は釣り針のさきっぽを、自分のダウンジャケットの袖に軽く突き刺した。
「ほら」
先輩に竿を突っ返して、俺は釣り針のかかった袖を突きつける。

「俺がかかったから、もういいですよね!」
一瞬の間があった。
夕日が先輩の頬に当たっていて、赤く染まっている。俺の顔もきっと赤くなっている。
これは夕日のせいだけじゃないけれど。
先輩の方はどうなんだろう。
ははははは、楽しそうに笑い声を立てて、やっぱりまた先輩はくしゃみを一つ二つ、連発した。
「そうだな。すげえ大物だ。やったね」
俺のポケットティッシュはもうとっくに無くなっていたから、先輩は自分のポケットからくしゃくしゃになったティッシュの最後の一枚を取り出して、盛大に鼻をかんだ。
やけに慣れた手つきでゴミ袋に本日の成果を詰め込み、釣り道具をまとめる先輩は、釣り竿を手に、俺に笑いかけた。
「なんか、実は俺がお前に釣り上げられた気がするんだけど」
そんなことは無いと思います。先輩に釣られて、俺は遠回りしてこんなところに来ちゃったんです、なんて言えない。
「ここは釣り人が責任持って、釣った魚を料理すべきだよな」
この人、俺にどんな返事を期待しているんだろう。先輩は相変わらずの笑顔で、冗談なのか真面目なのか分からない。
「俺、釣った魚には餌をやらない主義なんです」
動揺のあまり、なんか的外れな返し方をしてしまった気がする。
「えー俺、腹減ってるのに」
先輩は一足早く自分の自転車に乗って走り出す。ところで先輩、俺の家がどこかって知っていたっけ?
俺はあわてて自転車にまたがって、先輩の後を追った。風はやっぱり冷たいけれど火照った顔にはそれが心地よかった。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ナンバリングミス、スマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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  • ( ̄ー ̄)bグッ -- 2019-09-20 (金) 22:46:20

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