Top/54-126

おはよう己様

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  フリゲ廃都の牛勿言吾で、己様とお母さん騎士
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  したらばのネタを拝借だよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

光が瞼を赤く透かし、水底から引き上げられるような浮遊感。
かすかに頭痛を感じながら、テオノレは目を開いた。

都の自室と比べればずいぶん質素なつくりの天井も、
もはや見慣れたものとなった。
逗留先の屋敷はその主に似て、無駄な贅を凝らすことをよしとしない。
はっきりと見える微細な模様が、日が昇ってから
かなりの時間が経ったことを物語っている。
いささか増した頭痛といつもより高く感じられる体温が、
昨晩の酒宴の名残を残していた。

深酒が過ぎて寝過ごすとは、己らしくもない。
都にいた頃には夜通し女連れで騒いだ翌朝に、
すぐさま軍事演習の陣頭指揮をとることもしばしばだった自分である。
だがそのらしくなさが却って愉快に思われて、テオノレは口元をゆがめた。
床を出ようと身じろいで、違和感に気づく。
半身を起こして掛布をめくり、今度は抑えた声で笑った。
これに気づかないとは、まったく今朝は己らしくない。

そこで寝こけていたのは、テオノレの従兄弟だった。

枕の端を握り締めるようにして眠っているアノレソンは、
普段からいや増して幼く見える。
幼いのは顔立ちばかりではない。目覚めた時に感じた妙なあたたかさは、
彼の青年にあるまじき高い体温によるものであろう。
こうして少し身を離していても感じるほどだ。

光を撚ったような金髪を指に絡めてみる。
軽い癖のあるそれは、指先に心地よい弾力を与えながら、
チラチラと日差しを弾いた。

金色。
テオノレはこの色が好きだった。まばゆい輝きそのものの、力のある色だ。
美しいと思うその心のままに、絡めとった一房に口付ける。
すると髪の引かれるのを感じたのか、ゆっくりとアノレソンの瞼が開かれた。
「ああテオノレ……おはようございます」
普段は空のような瞳が、今は細波立つ湖面のように眠たげに潤んでいる。
「日の高さからして、もはやさほど早くはなさそうだがな」
額から髪を梳くように撫ぜてやる。
昨日は少し羽目を外しすぎちゃいましたねと言いながら
アノレソンがわずかに手に擦り寄り、再び心地よさげに目を閉じた。

髪を撫でながら、テオノレがまた眠るつもりなのかと思ったところで、
ふとアノレソンが笑い出した。
どうしたと問えば、笑いながら少し昔のことを、と言う。

「誰にだったかもう忘れちゃいましたけど、公子の犬って言われたことがあったんです」

テオノレの手が止まった。
「僕の屋敷でも犬を飼っていましたけど、そういえばあの子も
 撫でると気持ちよさそうにしていたなあと思って」
ちょうどこんな風に。そう言ってアノレソンは髪を撫でていたテオノレの手にそっと触れた。
「確かにおなじだと思ったら、なんだかおかしくて」
そのままとられた手の甲に、柔らかく唇が落とされる。

未だ従兄弟のこういうところがテオノレには理解できない。
自分がそのような侮辱を受ければ、相手はどうなったことだろう。
だがこの従兄弟はなんでもないことのように笑う。
愚かだからではないことは、すでに知っていた。
しかし言葉が見つからず、テオノレはそうかと一言言うに留めた。

「さすがにそろそろ起きないといけませんね!」
すっかり目を覚ましたらしいアノレソンは、勢いよく床を出ると大きく伸びをした。
風に吹かれるレースのカーテンが、均整の取れた背に不思議な模様を落とす。
伸びやかに動く身体の縁が、光に照らされて白く輝くのを眺めていると
シャツを羽織ったアノレソンが振り向いた。
「厨房を借りて、今朝は僕が何か作ります」
テオノレ、宿酔しているんじゃないですか?
そう言われて頭に残る鈍痛をにわかに思い出した。
鈍いように見えて、こういうところには昔から妙に敏い。

あまりひどいなら部屋まで持ってきましょうか、と
頬に触れようとした指先を取って軽く噛みつく。
「わ」
「あまり至れりつくせりでは、妻を娶る時に苦労しそうだな」
まさか、と快活に笑うアノレソンの顔が、逆光で翳った。
「テオノレのお嫁さんになる人は、綺麗で素敵な人でしょうね」

声をかけますから、起きられるようならそれまでに支度を。
部屋を後にしながらそう告げるアノレソンに軽く手を振って答える。

昨晩の酒宴。
それは、この街のある若者がもたらした報せによるものだった。
突如見つかった遺跡の奥に棲まう、古い王の亡霊。
近隣に降りかかった災いの源と目されていたそれが討ち取られたということに
町中が歓喜した。
しかし、杯を傾け浮かれはしゃぐものたちを眺めながら、
テオノレの胸にはこれで終わりではないという確かな予感があった。
階段を下りる足音を聞きながら、テオノレも漸く床を出る。

何かが大きく変わるだろう。
だがいかなることが起きようとも、これは己の物語であるに違いない。
これまでそうであったのだし、これからもそうあるべきなのだ。
光差す窓に軽く手を掛け、若き公子は一人嗤う。

眼下を流れる大河が、ぎらりと輝いた。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  したらばにスレ立ててもらってから毎日楽しいモナ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  お母さんのプリン食べたいねえ
 | |                | |             \
 | | □STOP.        | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) オソマツサマデシタ
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP