夜の話
更新日: 2011-04-25 (月) 09:08:39
バソユウキ大楽記念に乗らせて下さい。
姐さん方にゃ及びません勢いに任せたものですが。
復讐鬼×殺し屋です。エロは無いですが房中術設定お借りしましたw
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
休息という行為を端から知りえないような覚醒の後、最初に視界に飛び込んできたのはその男――伊達の土門だった。
復讐の炎を燃やし続け荒ぶる瞳は、今は静かで理性の色に澄んでいる。
目を開くと同時にそんな視線が自分の顔を覗き見ていたのだ。
それがどうにもおかしくて、長椅子に横になっていた佐治はそのままの体勢で少し笑った。
「どうしたの?僕は暫く休むと言ったはずだが」
少し不満を零せば、単純な男は困ったような顔をして
「いや、すまん」と言葉を濁した。気まずそうに顔を逸らす様がまたおかしい。からかうような調子で佐治は続けた。
「まぁいいよ。君も休むなら休むといい。どうやら君の方が眠れていないようだからね。知ってるかい?毎晩君は魘されて、呻き声を上げている
よ」
「そこなんだ」
「え?」
再び男は佐治に視線を戻す。それは酷く直線的だった。
「お前が眠れているか、気になったんだ」
「それで覗いたっていうの?」
「そうだ。だけどやっぱり予想通りだ。お前は、ちょっとの物音ですぐに目を覚ました」
眠りの浅い自分のことを心配しているのだろうか。
しかしそれは無用なものである。安息などという言葉は、殺し屋としてこの世に生まれついて以来元々持ち合わせていない。
短い時間で効率よく体を休めることなど、意識せずとも習慣づいている。いつ敵に襲われても即座に対応出来るよう一瞬で覚醒する、などということも容易い。
普通の人間が行う数時間に渡る睡眠など、佐治は必要としていなかった。
土門は、予想は当たっていてもそれが納得出来ないというような顔をしている。
「――ここに、敵はいない。お前もゆっくり眠ったらいい」
「そう言われても習性なんだ。眠っている時ほど隙を作る時は無いからね」
言いながら、佐治は一つのことを思いつく。思いついてまた一つ、笑った。
「そう言えば」
おもむろに手を伸ばすと、顔を覗きこむ土門のその長い髪を引いた。
咄嗟のことに体勢を崩した土門はそのままぐいと引き寄せられる。鼻と鼻が触れそうな距離。
「寝台の上での人の殺し方、教えていなかったね」
相手が息を詰めるのが分かる。土門はただ驚いていた。
「――房中術だよ」
「房、中って――!」
言葉を飲み込んだ途端、弾けるように体を起こそうとした土門を、佐治は捉えて離さない。
変わらずに笑みを浮かべたまま、軽やかに言葉を続けた。
「そうだ。肌を合わせることだよ。こういう技術も、必要なんだ。殺し屋にはね」
覗きこんだ体勢のままの土門の手を取ると、自身の服の合わせ目へ持って行く。掌の熱が、布越しに
感じられた。
サジは知っている。自分が、異性はおろか同性までも煽ることを。
例えばこの高音の声。
例えばこの白い肌。
例えばこの細い腰。
それらに人は煽られ、欲情する。相手を落とすことは簡単だ。
ごくりと、唾液を呑み込む音がする。
「言っただろ?僕の持つ技術を、君に全て教えるって」
「――サジ、お前、」
「いいよ」
少し熱っぽく、笑ってみせる。あとはいつも通りだった。
相手の呼吸が早まり熱くなる。その顔が、手が近づいて――
「駄目だっ」
半ば叫ぶように、土門は立ちあがった。必死の形相は紛れもなく本物である。
――なーんだ。
上体を起こしながら軽く溜息を吐く。
この男がこういう拒み方をすることは予想の範疇だった。
誘いに乗るか拒むか、どっちの行動に出るかは半々であったが、結局彼は理性を捨てなかったのである
。
懸命な判断ではあると思うがそれと同時に、少しつまらなくそして残念に思った。
「あーあ、つまらないな」
「お前――、俺をからかったのか」
「からかった?そんなわけないだろう。僕は至って本気だよ」
本当は、からかい半分といったところだったが。
と、一度離れたと思った土門が再び顔を近づけてきた。この動きは少々予想外である。
何事かと思ううちにその力強い腕は佐治の肩を掴み、長椅子に押し倒した。
「――いい」
「え?
「そんなこと、しなくていい。お前は寝てろ」
「だから僕は」
「俺が起きてる。敵が来たら俺が殺す」
真直ぐな瞳は未だ熱を帯びていた。それは今、佐治に煽られた時のものか。それとも別のものなのか
。
判断はつかなかったが、彼は「邪魔をした」と言って足早に部屋を去って行った。
肩にはまだ、無理矢理寝かされた感覚が残っている。体温の高い掌だった。
――全く。
人の話を聞かない男だ。
こっちが誘えばそれを拒み、眠る必要がないと言えば休憩を勧める。
実直というのか、馬鹿というのか。
それでも――
「まぁいいか」
佐治は目を閉じる。少しだけ、安らかな眠りを楽しんでみることにする。
あの男の体温を感じられる今のうちなら、少しだけ、それが叶うような気がした。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お粗末様です
332
本当にありがとう。すごい泣けた。
この二人の最期は本当に哀しいものだったから、
すごく救われました。二人が二人で良かったと思えたよ。342
最高w笑い死ぬw教主も浮き名も可愛い!
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