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ゆめのはなし

師弟と同僚
みたいなものです

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

窓の外から射し込む月のあかりが、彼の顔を青白く浮かび上がらせている。
あの場面と同じカオだ。
怯えた目線。だけれどもまっすぐ見つめている。逃げ道などない。
それが不運の始まり。
彼の追い詰められた表情によって、周囲はある特異な感情を抱くようになる。
例えその想いに自ら気付き、否定し抗っても、歪み続ける。
そして何かの拍子にぽんと背中を押されると、最悪の行動を引き起こしてしまう。
こんな風に。
「・・・やめてください・・・」
絞るように声を出した彼は両手首に力を込め、腰を浮かせようとする。
布越しに当たる下腹部の熱を嫌がるように、何度も何度も足をバタつかせる。
だが馬乗りをして押さえつけているので、逃れることはできない。
涙目になる瞳。
表情、行動すべてに欲情を煽られる。
叫んで助けを呼ぶこともできず、ぎゅっと唇は閉じられている。
彼にとって目の前の人物は、尊敬の対象であり、
今の恵まれた地位まで引き上げてくれた恩人だった。
拒むことはできない。知っている。
シャツを捲り上げ、指先で優しくなぞると、彼は目を閉じて顔を背けた。
「…うう」
頬に伝う涙。
震える白い肌。
解放された左手で声を漏らさないよう必死に耐える。
「耐えなくて、良いんだぞ」
耳元で囁くも、彼はぶるぶると首を振る。
仕方ないな、と薄ら笑いを浮かべて、指先を下腹部へ滑らせ

***

ぱち、と目が覚めた。
自分は、その人物ではない。目の前に彼はいない。ベッドの上には一人。
体を起こす。いつもの自分の部屋であり、遠征先のホテルではない。
先ほどの光景を思い返す。そして、布団を見下ろした。
・・・!
叫びたい衝動をぐっと堪える。
がつ、と拳で額を殴りつけた。
よりによって、あの人になって、彼を組敷く夢を見てしまうなんて。
恐らく昨晩見た、彼の仕合の映像のせいだ。
研究の為に見てるのに、何を意識してしまったのか。
ベッドから降りて、放り出されたウェアに袖を通す。
窓に近づき、明けつつある空と街の景色を眺めた。
今ごろ彼は、遥か彼方の空の下か。
彼と組んだあの日のことを思い出す。少年のような笑顔。
やはり泣き顔より笑顔の方が良い。
逞しくなって帰ってくるのだろうな。
また、一緒に組めたら良いんだけど、まだまだ力不足だ。
街路樹の下で走る人を見つけた。
腕を伸ばして、息を止める。そして一気に吐き出した。
「耐性つけなきゃな」
呟きながら先ほど殴りつけた額に触れ、ドアに向かった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンノモウソウデシタ!


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