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真ゲッ夕ーロボ対ネオゲッ夕ーロボ

ゴウ受のつもりだけどカプ未満でほのぼの寄り。大人二人と子ども一人な話。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「何やってんだ、このバカ!!」

関係を変えるきっかけは、ある日突然訪れる。
いつものように軽く相手をしてもらおうとリョウマの道場にやってきたゴウの相手になったのは、そこそこ長くいる弟子の一人。
偶々リョウマが料理中で手が離せない時にきてしまったからだったが、中々の実力者だと知っていたのでゴウは相手をする事にした。
それが間違いだった。
手加減をするのにもそれなりの実力が必要で、した事のない人間にそうできるものではない。その上元々ゴウは手加減など知らない人間だった。
相手が弱くないという思い込みもあったせいで力一杯に相手をしてしまい、まずいと思った時にはもう目の前には怪我人が一人。
飛んできたリョウマの拳は、今までの中で一番痛かった。
その後ちゃんとゴウは謝り弟子の怪我もそう大した事はなかったのでリョウマの怒りはすぐに治まったが、ゴウの中にはもやもやが残った。
ゴウはリョウマは自分と似ていると感じていた。だから一緒にいても彼には遠慮しなくていい。ガーンとぶつかっていっても受け止めてくれるし、口喧嘩をして別れても次の時にはそんな事はすっかり忘れてケロリとしている。
大人と子どもなんて気にせずに隣で一緒に笑っていられる、そんな関係がゴウは好きだった。
でも、分かった。リョウマはちゃんと手加減ができる。どんなにひよっこ相手でも怒らずに相手できるし、こちらが相手なら基地に戻って怒られない程度の怪我で済ます。
今まで何度もこの道場にきておいて、ゴウはそんなよく考えれば当たり前の事に気付けなかった自分が嫌になった。
子どものように見える時はあっても、リョウマはやはりゴウよりずっと大人だった。
ここで素直に尊敬できればよかったのだがそれができないからこそゴウは子どもで、自覚したせいで妙に恥ずかしい気持ちで赤くなる顔を隠して、別れの挨拶もろくにせずにさっさと基地に逃げ帰ったのだった。

基地に帰ってすぐ、鬱憤を晴らすかのようにゴウはハヤトの部屋で相手をしろと騒いだ。
まだ仕事があると怒られると、さっきの事もあってゴウは近くの椅子に座って急に大人しくなり、そんな様子が気になってしまいハヤトは結局仕事を中断。珍しく色々考えていたゴウの話を聞く事になったのだった。
リョウマに怒られたというところから俺って駄目だなあと言い出し始め、本当に珍しくゴウは完全に沈んでいた。
「あの最後の戦いに勝ったのだって三人でやった事だしさ……。何て言うか、俺が一人でやった事なんて何もないんじゃないじゃねーか?」
落ち込んでいる今の状態のせいとはいえ、自分一人の手柄ではないと認められるようになった事をハヤトは嬉しく思った。
メンバー選択は能力が最優先で人格は考えていなかったが、最初は噛み合わなかった三人の歯車も今では合いすぎる程に上手く機能している。チームは三人一組。一人だけでは駄目だが、その一人がいないと駄目だ。
ハヤトはかつての自分たちの姿を思い出した。
「お前は、真ゲッ夕ーを起動させただろう」
「あれは……ショウとガイがピンチだったから上手くいったんだよ。だから、俺一人の力じゃねーじゃん」
「きっかけはどうであれ、やったのはお前だ。お前が一人で動かしたんだ。……俺たちには、できなかった」
5年前のあの日、一人で足止めとして戦っていたムサシが俺たちの到着を待つのは無理と判断して敵を道連れに自爆して死んだ。
そんな事当然リョウマとハヤトは信じたくはなかったが、自爆の影響で跡形もなく崩壊してしまった街を前にそんな甘い事を言っていられる余裕はなかった。
チームは終わりだ。言葉にしなくても二人には分かった。俺たちは、三人揃ってゲッ夕ーチームなのだから。
「特にリョウマはあの時状況が普通とは違っていたせいもあってな。そうじゃなきゃ、真ゲッ夕ーを起こしてムサシを助けに行けたはずだってずっと悔やんでいた。俺もそうだ。あの時の事は、俺たちにとって消えない傷になったんだ」
あの後リョウマは研究所を去りそれから5年間一度も会う事はなく、ハヤトもハヤトできたる日の戦いに備えて新しいロボットの開発をする事を選び、忙しく仕事をする毎日。
過ぎ去った日々を思い返しているのか、ハヤトの表情は暗い。
辛いならもう話すなよ。
ハヤトの表情を見て、ゴウは自分からこんな話を振ってしまった事を後悔した。
思えば相手が仕事をしているのに突然乗り込んできて愚痴を聞かせるなんて子どもだと思われても仕方ない。
ますます自己嫌悪に陥りそうなゴウの心情に気付いてか、ハヤトは微笑んだ。
「ゴウ、お前には感謝しているんだ。お前は、ちゃんとショウとガイを助けに行けた。
俺の作ったチームが俺たちを超えた。あの時の喜びがどれ程のものか……言葉では表せんな。
俺たちができなかった事をお前がやってくれた事で、俺は救われたよ。きっとリョウマもそうだ。あいつは、そんな事お前に素直に言いそうにないけどな」
優しそうな笑顔。そんなハヤトを見たのは初めてだったが、何故かゴウにはそう感じなかった。

……そっか、見た事あるからだ。俺、前に一回こんな笑顔を見てる。

思い出したのはあの最後の戦い。戦いを終えて帰ってきた時、笑顔で待っていたリョウマにゴウは抱き締められた。
そんな事は初めての経験で何をするんだと怒るゴウとは反対に見下ろす笑顔はどこまでも優しく、今のハヤトと同じものだった。

あの時のリョウマも感謝してくれていたのだろうか。子どもの自分でも、力になれたのだろうか。自分にとって大切な二人の力に。

そう思うと、ゴウの胸は熱くなった。
「お前を選んで良かった、ゴウ。これからも、俺についてきてくれるか?」
「え、あ……お、おう。今更、出て行くなんてできねーだろ。俺だって、ここに来て良かったって思ってるよ……」
まるでプロポーズだ。
大切だと自覚した途端にこんな事を言われ、一旦思ってしまったが最後、急に恥ずかしくなってきてゴウは話を逸らした。
「こ、こんな話をしたかった訳じゃねーんだよ。相手……そう、相手しろって言いにきたんだからな!」
悩みは吹き飛んだのかいつもの調子に戻って騒ぐゴウを子どものようで可愛いものだと、ハヤトはまた笑う。
「これが終わったら、遊んでやるから」
子どものようだと思っていた事を引き摺ってしまったようでそんな事いつもはしないのに、困った子どもをあやすようにハヤトはゴウの頭を撫でた。
「っ!」

その瞬間、ゴウが茹で蛸のように真っ赤になったとハヤトは後にリョウマに語る。

また逃げてしまった事で、ゴウは自己嫌悪に陥っていた。
「何やってんだよ、俺……」
顔を赤くして走り去った自分をハヤトは絶対に変だと思っただろうと、考えてみてさらにへこむ。
リョウマは変と思っても聞いてきたりしないだろうが、ハヤトは違う。どうしたのだと聞かれたくはないが変だと思われたままなのも困る。
次に会った時にどう答えればいいのかと考えてみたが、結局答えはでない。
「今日って何でこう色々あんだよー……」
自分を日常から連れ出し、ゲッ夕ーを与えてくれた男。
お前に地獄を見せる男だなどと最初は言われて驚いたものだが、ゴウにとっては自分を選んでくれた事は恨むどころか感謝してもし足りない程で、リョウマに対してとは違ってハヤトの事は素直に尊敬していた。
でもあの撫でられた瞬間、目の前のハヤトではなくリョウマに怒られた後の事をゴウは思い出していた。
怪我した弟子の手当てをすると言って道具を取りに行く前。
『ちゃんと待ってたら、後で遊んでやっからよ』
ぽんぽんと頭に触れる大きな手。俺よりもずっと強い、大人の手。

子ども扱いされて嬉しいとか、俺どうかしてるんじゃねぇの!?

普段は子ども扱いするなと怒っているのに、それが嬉しい。あの二人が大人なのが嬉しい。
引かない顔の熱はくらくらと眩暈がしそうな程で、吹く風が当たるのが気持ち良い。
気付かない方が良かったのか、気付いて良かったのか。こんなに振り回されているのはきっと子どもの自分だけ。

あぁもう、大人ってずるい!!

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ネオは話終了後の妄想がしやすくていい。


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