サニーサイド・アップ
更新日: 2011-04-25 (月) 14:54:24
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| オリジナル、ややリアゲイ風味
| ※「クソ」など罵倒語多め注意。
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| エロぼかしまくりだけどハピーエンド
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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特技は、一緒に寝た相手より朝早く目覚めること。
どんなに激しく疲れきったファックの翌日でも。
――これって結構大事だ、すくなくとも自分には。
今日も、それで無事起きられたわけだけど――
カーテン越しの日差しはもうそれほど弱くもなくて、おれの横にいる男の顔をやわらかく照らしている。
いい夢を見ているんだか、彼自身の目元や口元もやわらかく緩んでいて、
こっちまで伝染ってきてしまう。
その頬にそっと指を伸ばしかけ――途中でやめた。
――ダメだ。さっさと身支度したほうがいい。
ぬくぬくしたベッドから出て、そこいら中に散らばった服と靴を拾い集めて。
一晩だけのつもりの相手に
「まだいたのか?(もう用済みなのに面倒だ)」なんて顔されるのはまっぴらだ。
でも……そう、もう少しだけ。
だって彼はまだ目覚める気配がない。
昨日のファックは――思い出すだけで、体温が2・3度はね上がってしまいそうだ。
クソ、もういい加減がっついたティーンエイジャーって年齢じゃないってのに。
でも会ったばかりでお互いほとんど知ってもいないのに、
まるで恋に落ちた相手みたいに見つめあいながらの行為はかなりホットで、
正直いって自分でも過去最高の部類だった。
焦らしながら、なかなかくれないキスの駆け引きも、
それでいて身体じゅう惜しげなく与え合う愛撫も。
ストロベリー・ブロンドの髪に同系統の眉、濃い睫。
スイマータイプの、手足が長く引き締まった身体。
白い肌なのにソバカスは少ない。刺青もなし。
それがかえって、いまどき滅多にありえないくらいゴージャスだ。
耳のピアスすらひとつも無いなんて、もしかしたらアレルギーとかあるんだろうか?
――まあそうだとしても、この先彼について何か知る機会はないと思うけれど。
それってすごく、残念だけど。
そう思った途端、なんだか急に悲しくなった。
――だめだ、やばい。
ほんとにもう行かないと。
そっとベッドから抜け出し、そのまま服を着ようとしたが――
やはりシャワーを借りることにした。
いま自分を包んでいるはずの匂いは嫌じゃない。
でもこのまま外に出るのはマズすぎる。というかヤバいだろう。
自分の昨夜の発情っぷりが他人にもバレてしまいそうな気がする。
――ああ、クソ。
本当にどうかしてると思いながら、渋々自分のペニスに手を添える。
シャワーの中でなら、水音に紛れて没頭できる。
彼の目、声、息遣い、手の動き、唇、肌の感触、熱い量感、スプラッシュ――
何もかもが、まだ生々しい。
「――ん……」
あっけないほどたやすく、おれは昇りつめて射精した。
よりかかった壁の冷たさが心地よく、反面憂鬱なほどのけだるさが身体に残った。
髪を乾かすのもそこそこに、おれは身支度を整えた。
部屋を出るまえに念のためと、ジーンズのポケットを探って――
自分の部屋の鍵がないのに気がついた。
落としたなら脱いだ場所――寝室か。
服を拾ったとき、寝ぼけていて見落とした?
しぶしぶ、おれは寝室へととって返した。
――戻りたくなんかなかったのに。さっさと出て行ってしまいたかったのに。
でも戻るだけの理由が出来て嬉しくもあった。
ああもう、ほんとうにどうかしてる。
はやいとこ鍵を探さなきゃ。彼が目を覚まさないうちに。
そう、彼が……。
おれはベッドの側に膝をつき、彼の寝顔をそっと見おろした。
生えかけた髭に触れてみると、思ったよりやわらかい。
体毛と同じように、生えていてもあまり目立たないほうなんだろう。
その頬、額、まぶた、そして唇に、おれは軽くキスをした。
大丈夫、彼はまだ眠ってる。
さてと、鍵だ。落とした鍵を見つけるんだ。
ベッドから背中を翻して、おれは寝室をはじめ居間、キッチン、玄関と、
床を隈なく眺めてまわった。
念のためバスルームもチェックしたが――それでも見つからない。
ソファにもなし。
――クソ、なんてこった。
時間が無駄に過ぎていくほどに、頭が痛んできそうだった。
あともう一度確かめておくべきなのは――ベッドか。
たしか昨夜そこでジーンズを脱いで放ったのだから、
ベッドのなかにある可能性はじゅうぶんだ。
ああ。
これでおれは彼が目覚めるのを待つ理由が出来たってわけ。
嬉しい――けど、嬉しくない。
恋人じゃない――友人ですらないのに鬱陶しいやつと彼に思われたら最悪だ。
ここを上手くやりすごせたら、まだこれから希望も持てるかもしれないのに。
いや、ちょっと待て。
これから? 希望って? 何のことだ。
おれは頭を抱えた。
ほんとうに頭痛がしてきそうだ。
――仕方ない。
おれは、鍵をいったん諦めることにした。
帰ったらすぐ管理人を捉まえて、スペアで開けてもらおう。
鍵の付け替えとか面倒なことになりそうだが、それもしょうがない。
ふうっと息をつき、おれは部屋を出ようと椅子から腰を上げようとした。
「おはよう」
背後からの声にすとんと力が抜けてしまい、おれは立ち上がることが出来なかった。
「――おはよう」
まだ眠たげにあくびしながら彼は近づいてきて、おれの頭にキスをした。
「ん……おれもシャワー浴びてくる」
いったん背を向けてから、
「悪いけどコーヒー淹れててくれる? 豆は戸棚に入ってるから適当に探して…」
と彼は付け足した。
おれがまだここにいることを意外に思っていないらしい。
ほっとしながら、おれは豆を探しあて、コーヒーメーカーにセットした。
そのブランドとかストックを見るに、彼はコーヒー好きらしい。
カップや食器はシンプルな白。
――以前の恋人とのことを思い出して、おれは少し懐かしくなった。
こんなふうに相手のことをちょっとずつ知っていくのは楽しい。
すぐ側にいなくても、ひとりじゃないって気分は久しぶりだ。
コーヒーメーカーがコポコポと音をたて、香ばしいにおいがキッチンを満たしはじめたころ、
彼がシャワーから戻ってきた。
「コーヒー、ありがとう」
服はトランクスを穿いただけ。髪はくしゃくしゃ、足元は裸足のまま。
でもさっぱりしたのか、生き生きした笑顔をまっすぐ向けてくるのがひどく眩しい。
「キスしていい?」
「…もちろん」
音をたてながら、唇に軽いキス。
石けんのそれに混じって、うっすらと柑橘系のアフターシェーブローションの香り。
――うん、悪くない。
まるではじまりたての恋人同士の朝みたいだ。
その考えにおれは顔を赤らめ、思わず彼から顔をそらした。
「どうかした?」
そう無邪気に訊く彼に
「なにも」とおれはごまかす。
「あのさ、ひとつ謝らなきゃならないことがあるんだけど、怒らないでいてくれる?」
と、おれの手をとりながら彼が言い出した。
急に何を?と思ったが――とくにシリアスな話しでもなさそうだ。
「訊いてみてから決めるよ」
すると、彼は悪戯っぽくおれの顔を見上げ、笑った。
「おれってすごく寝起きが悪いんだ。ほうっておくと丸一日眠っていられるくらい」
「そうみたいだね」
今朝の彼の様子を思いだし、おれは頷いた。
「うん。それで時々大事なチャンスを逃してしまうんだ」
「目覚まし時計を使えば?」
うーん、と彼は顔をしかめた。
「たとえば……昨夜みたいなセックスのときに目覚まし時計のことなんて考えていられると思う?」
ちょっとセクシーな笑いに口元を歪めながら、彼がおれの腰を引き寄せる。
素直にその膝に載り、おれは頭を左右に振った。
「ぜんぜん。あんな夜のあとでアラームで目覚めるなんて…好きじゃない」
「よかった――意見が合って」
キスを誘うようなまなざし――磁力で引き寄せられるみたいに、互いに顔を近づける。
もう、あとほんの数センチだけの距離。
音だけだった声が、息と響きに変わるあたり。
「だから、かわりに別の手を使うことにしたんだけど――」
チャリ…と、なにかがおれの掌に落とされた。
その馴染みの感触は、わざわざ見なくたって判る。
――鍵。
「これって上手くいったと思う?」
そのあとさらに時間がたって、冷めたコーヒーがすっかりまずくなったころ、
腹を空かせたおれとルークは冷蔵庫にあった卵を焼き、ベッドで食べた。
真夜中のサニーサイド・アップ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- これは好きだ -- 2009-10-07 (水) 18:59:55
- かなり好き! -- 2009-10-21 (水) 23:18:36
- これは良いw -- 2009-10-22 (木) 07:26:02
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