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あのひと

丹タ刊

142とは別の子ら。
位置争いを勝手に妄想。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

給水器から注いだ冷たい水が喉を潤して、ホッと一息つくと、
横から伸びた手が紙コップの中に水を注いだ。
小柄な影だったので、一瞬あの人かと思ったが、違った。
怪我人が出て、後半から出番の多くなったひと。
自分の順番と位置に最も近くなったひとだった。
彼はこちらを一瞥するも、すぐにコップを引いて、後ろに下がった。

水を飲み干して、少しの間。
薄暗い廊下の隅に置かれた給水器の前には、自分と彼以外いなかった。
落ち着かない。ざわざわする。
あの人となら、自然でいられるのに。
その日の反省であったり、無関係な話であったり。
気兼ねなく話せて、笑いあって、楽しくて。
最初は、そんなノリの延長で。

「譲らないから」

突然投げつけられた言葉は、あの日の記憶から瞬時に今へ引き戻す。
振り向くと、彼は瞬きしない眼でじっとこちらを捕らえている。
「お前らのこと知ってるけど、俺は今の位置をあの人に絶対譲らないからな」
何を。
何を知ってるんだ。
来てそんなに年数も経っていないあんたに、何がわかるんだよ。

「何のことですか」
昂る心境とは裏腹に、涼しい顔で笑ってみせる。
彼は眉間にしわをよせた。
呆れたような、それとも少し、
困惑したような表情。
目を伏せて、独り言のように呟いた。
「・・・何でわかんないんだよ」
「え」
何を、と問う前に、携帯が震えた。
見なくてもあの人からのメールだとわかる。
今日はそういう日だから。
携帯を取ると、彼は紙コップを捨てて「じゃ」と立ち去った。

メールを確認する前に、彼の去った方向を見つめた。
彼は何を言いたかったのだろう。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

書き終えてから、これバツテりでも良いかな、と思いつつ。
自由に想像して頂けたら。


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