Top/51-116

オリジナル バトルもの的な妄想

バトルもの的な妄想。間接的に女関係あり・若干グロかも
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 間延びした拍手が鳴った。
「生還オメデトウ。新しい医者を探さなくて済む。めでたいついでに支払いもチャラにしてくれるとありがたいんだが」
「そうはいかん。せっかくの貸しだ。使える間は使わせてもらう」
 答えた男は戸をくぐり、荷物を卓に――青年の向かいに置いた。椅子を引いてその隣に据え、自らも腰掛ける。
「検診予定より早く来るとは殊勝な心掛けだ。…俺の鍋と俺の茶碗に入ったこの茶は俺の物と考えていいんだろうな」
「屑茶だが、それでも良ければ好きに飲んでくれ。茶葉は俺のだよ。――暇だったんで、押しかけに来た。
待つだろうと思って持ってきた茶だが、さすがにちょっとばかり待ちくたびれた。どこをほっつき歩いてたんだ、おまえ」
「お前が昔いたような業界だよ」
 男はごく当然のように言った。目を丸くした青年は、わずかに身を乗り出す。
「…あんた、男を買う趣味なんてあったの?」
「誰が男だと言った」
「……女?」
 元ゲイタウン住人である彼は男の顔を伺う。男は口角を上げた。
「お前には縁のない世界かもな」
「あー、お医者崩れの先生様は好みの人体ならなんでもいいんでしたっけ。残念だ、俺で良けりゃあ
ぼったくって普段の治療費取り返してやったのに」
 やれやれと彼は肘をつく。言われた男は鼻と口から同時に笑声を吐いた。
「脱臼は好きか?」

 投げられた視線が青年の身体を滑り落ちる。彼が怯んだのは想像した痛みのためだけではない。戯れでは
済まないものを感じたからだ。肩口に絡んだ視線が、陽炎のように男に纏わりつく闘争の名残が、淡々と
したその冗談を信頼できないものにしている。
「利き手でない方の肩で二割、利き手側の肩で四割増しってとこか。いや、お前の場合は格闘に使うから
もう少し高いか? 痛いのが嫌なら適度に麻酔してやってもいいぞ」
  『適度に』という修飾語が、彼の耳にはことさら不吉に響いた。
「神経は傷めないよう注意するし、事が終わったらちゃんと元通りに嵌め直してもやろう。優しいだろう? 
あそこじゃこれでも優良顧客で通ってるんだ。あとは娼妓のご機嫌次第だな」
 鞄の中身の入れ替えを終え、外出準備を調えた男は青年を見る。
「――俺は、男娼上がりじゃない。元、ショーダンサー、だ」
 ようよう答えた青年を眺め、男はにやりと瞬いた。
「忘れてたよ」
 扉へ向かう男の背に向けて、青年は大きく息をつく。
「俺も忘れるとこだったよ。おまえ、変態だったんだな、そういえば」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP