HEROES サイラー×モヒンダー
更新日: 2011-01-12 (水) 00:30:45
携帯から失礼
英雄'sの再藻ヒです
我慢ならずに書いてしまった…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・)ジサクジエンガ オオクリシマース!
手首に飛び散った血を指先で払い、サィラーは僅かに眉を寄せた。
壁に押さえ付け磔にした男に眼を向ける。
褐色の額が切れて血液が滴り落ちているが命に別状は無いだろう。
睨み付けてくる視線の強さでそれが判る。
精神が弱まっていないことも、判る。
その強い視線を浴びながら、サィラーは酷く戸惑っていた。
手首を返すだけで息の根を止められる。
死ね、と囁くだけで殺せる力も手に入れた。
一体何故自分が彼を――モヒンタ゛ーを殺さないのか判らなかった。
実際彼はサィラーを殺そうとしたのだ。
能力を奪う場合以外は極力殺しはしないようにしていたが、
間違いなくこのドクター・スレシュは障害となる。
能力者のリストは確かに手に入れたかったが、手掛かりはある。
メモ、手帳、地図。何よりクレアの顔も年齢も知っている。
あの能力を手に入れたならほぼ無敵だ。
悩むことなどない。殺してしまえ。
脳裏に浮かぶ言葉そのままに、血が付いた人差し指を持ち上げる。
額に沿って横に滑らせるだけでカチカチと鳴る機械音を止められるだろう。
動き続けている脳が心臓が身体が、停止する。
その感覚は慣れ親しんだものだった。
感慨など無く命を摘み取る。
花を摘むように虫を踏むように、躊躇いも無く痛みも無い。
「…bye,doctor」
一歩歩み寄ると足元で資料の紙が潰れて騒ぐ。かさかさと軽やかな音を立てる。
黒い眼玉を見詰め返す。
傷の痛みからか微かに膜を張って潤んだ眼球は変わらず強い光を宿していた。
何故か背筋が戦慄く。
初めてカップを動かした時のようにぞくりとした。
「――サィ、ラー!」
ぐう、と隠った息と共に掠れた声を吐き出すモヒンタ゛ーに、
更にぞくぞくと頭の芯が震えた。
自分の脳味噌の作動音が聞こえたことは無いが、
聞こえるなら恐らく今は作動不良を起こしているに違いない。
壊れている。
壊れている。
あの眼の――所為だ。
「命乞いかモヒンタ゛ー?」
更に近付く。
無意識の内に指が延び、血と汗で濡れた顎を捕らえる。
触れた肌から震えが伝わり、
サィラーは己の表情が笑みの形に歪むのを感じた。
親指を動かしてモヒンタ゛ーの下唇を撫でる。
肉の感触に思わず食い付きたくなった。
「――君を殺さなくてはならない」
睨む眼は強いままだ。
あの哀れな女から奪った能力でその色を消すことは容易い。
けれども到底そんな事をする気にはなれなかった。
絶望と切望に身を灼かれる彼から奪うのでなければ、何一つ手に入れたくはない。
全く奇妙な感情だった。
今すぐ殺したいのか生かして置きたいのか判断出来ない。
唇をなぞる指はそのままに、サィラーは薄く汗を纏い琥珀に光る耳朶に口を寄せた。
ゆっくりと息を吐きながら囁く。
吐息が耳穴に入り込みモヒンダーの肩を揺らした。
「追い掛けて来て殺せよドクター、やってみろ」
靴の下で皺だらけになった紙が鳴る。
弱々しい音はどこか滑稽だ。
告げられたモヒンタ゛ーは、
物理的に動けない今の状況でなければ殴りかかって来そうな顔付きをしていた。
軋むように震える手足の振動が伝わってきて無性に愉しくなり横を見る。
視線の熱さに笑い出してしまいそうだった。
触れたままの唇が指に噛み付こうとするように動く。
熱を帯びた舌がぬるりと指を舐めた。
あの肉が、食いたい。
思考を巡らせる前に吟味する前に考慮する前に、獰猛な衝動が襲ってきた。
「やってみせるさ…ッ、」
不明瞭な発音で絞り出した言葉はしかし、
その末尾をサィラーの口腔内に取り込まれて消えていった。
間近で見開く眼玉を見詰め、壁に押し付けられた掌に指を絡める。
その如何にも親密な動きにモヒンタ゛ーは激昂し、サィラーは喉の奥で笑った。
「…ッ、う」
唾液を絡ませて舌肉を擦り付ける。食むように幾度も唇を吸いながら、
引き出したモヒンタ゛ーの舌をゆるりと噛む。
嫌悪感に震える彼を笑いながらサィラーはちゅるちゅると音を立てて唾を舐めた。
これが、欲しい。
手に入れたい。
出来るだけ手を加えずにこのままで。
手に入れる。
つい最近奪った能力が警鐘を鳴らしていた。誰かがこの部屋へ近付いて来ている。
負けるとは思わないが、用心はするべきだ。
ほんの僅か、唇を離して囁く。
「殺しに来い」
廊下を進む足音が、近付いて来ていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・)イジョウ、ジサクジエンデシタ!ケイサンマチガッテ ゴメン!
初書きなのでなんか違ってたら申し訳ないです…!
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