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ギャグマンガ日和 フィッシュ竹中×蘇我馬子

規制かかってるので携帯から
日寄り、飛鳥組より竹馬です
若干暗め&過去捏造

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 その日は、朝からずっと雨が降り続いていた。
 湿気が室内まで入り込み、服を皮膚に張り付かせる。
 その感覚が情事の後を思い起こさせて、皮膚にざわりとした疼きを与えた。
「馬子様?」
 私は目を上げて、怪訝そうな部下の顔を見返した。
「ああ、すまない。先を続けてくれ」
 無表情が板についていると便利だ。私は書類に手を延ばし、涼しい顔で仕事を
こなしながら、心の底ではあの男のことを考えていた。

 雨が続いている。しとしとと空気を濡らす。
 こんな夜には、あの男が訪ねてくるかもしれない。
 私たちは会う際に約束を交わしたりしない。あの男がふらりと来て、私の気が
向かなければ帰ってもらう。それだけの脆い関係だ。
 闇の中で息を殺していると、庭でざばりと水音がした。
 続いて障子がすっと動き、黒い影がするりと部屋の中に忍び込んできた。
「起きていたのか」
 澄んだ水のにおい。私は起き上がって、枕もとの布を差し出した。
「身体を拭け。床が濡れる」
 男は言われたとおりにした。彼は土砂降りの中でも傘を差さない。
「君は冷たいな」
「そうでもない。お前のような男を受け入れるのだからな」
 かすかな月明かりが男の輪郭を浮かび上がらせている。
 氷のように冷たい指が私の頬に触れた。
「愛している」
 耳元で囁かれて、私は息を吐いた。
 割り切っているはずなのに、冷えた心が揺れる。
 

「どうして、昼間は会ってくれない?」
「また、その話か…言っているだろう。仕事があると」
「でも、君たちには休日というものがあるんだろう。私はよく知らないが」
「私のような立場になると、そうそう休むわけにもいかなくなる」
「……太子はそんな風に見えない」
「あれを基準にしないでくれ」

───私が忙しい身なのは事実だ。だが、その気になれば、どこかへ出かける
くらいの時間は作れる。忙しいというのはただの口実だ。
 本当は、この男と距離を保っておきたいのだ。
 
「こんな風にセックスするだけでは、情緒がないのではないか?…君がそれで
いいなら、かまわないが」
 黙りこくっていると、竹中は突然に抱きついてきて私を押し倒した。
 きぬ擦れの音。らしからぬ性急さで身体をまさぐられながら、昔のことを思い
出していた。
 
 この男と出会った頃、私はまだ子供であった。初めての恋、幼い恋。彼は私の
すべてだった。
 しかし、人の心が移ろうのは世の習い。
 それからしばらくして、私は一方的に彼を捨てた。本格的に政治の世界に入る
にあたって、彼のような人外との交わりは汚点になると思ったからだ。
 あまりに打算的な考えに、私は自分で驚いた。彼を愛していなかったわけでは
ない。しかし私は、先の見えない関係よりも保身と出世を選んだ。
 彼は何も言わずに別れを受け入れた。
 いつかこんな日が来ると、はじめからわかっていたのかもしれない。彼はその
姿のせいで、それまでにも散々な仕打ちを受けてきていたのだから。

 彼と離れてからすぐに私は大臣となった。血を血で洗うような権力争いの中で、
少年時代の甘い記憶は遠ざかっていった。
 時が過ぎ、太子の親友になっていたこの男と再会したときも、私はさほど驚か
なかった。
 彼は私にとって、少し苦味ばしった過去。それ以上でもそれ以下でもない。
 この男にとっても同じようなものだろうと、そう思い込んでいた。
 だが、はずみでこんな関係に戻ってしまってから、私はある疑念を抱いた。
 もしかして、年を取らないこの男は、ずっとあの時の想いを抱いたまま、私に
復讐する機会をうかがっていたのではないだろうか?
 ひどく情熱的な指先や唇を受けるたびに、恐ろしい結論に到達しそうになって
混乱した。

「気持ちいいか?」
「ああ…」
 嘘ではなかった。後ろから貫かれ、犬のように両手足をついた私は嬌声をあげて
いた。
「あうっ……あっ!くっ」
「可愛いよ」
 低い声で囁かれて、燃えるように感じた。強引にねじふせられ、軽い屈辱感が
快楽をあおる。
 腰を掴まれて、ずくずくと熱い塊をねじこまれる。
「許して、くれ」
「……なにをだ?」
「すべてを…」
 内臓の中からわきあがる快感に揺られながら、泣きたくなった。
 いまさら許してくれといって、何になる?
 竹中は優しかった。抽迭を続けながら、大丈夫だと何度も言った。

「仕方ないことというのは、あるものだ。私はよくわかっている……君を、責め
たくない」
 体勢を変えさせられ、横向きに寝かされた。責めたくないという言葉と裏腹に、
急に乱暴になった抽迭が私の体内をかきまわす。
 竹中は私の片足を肩に担ぎ上げると、器用に腰を使いながら私に語りかけた。
「君を、ずっと見ていた…」
「く…うっ……ぁア……うぅ」
「すごいな、朝廷中が、君を怖れている」
「ん…っく……は…ッ」
「昔の君からは、想像もつかない」
「あ、アア、た、け……か」
「この屋敷も、ずいぶん大きいしな」
 快楽で朦朧とする意識のなか、済んだ低い声を浴びる。
「私は、君に、何も与えられないから。君の決断は、正しかったよ」
「あ……ぐっ!」
 なにか、言わなくては。否定しなくては。
 無駄な焦燥を感じていると、突然、内部の楔の動きが止まり、竹中が静かに
こう言った。
「馬子。愛している、と、言ってくれないか」
「………な」

 なぜだ。
 その唐突な要求に、私は絶句した。
 さまざまな返事が浮かんでは消える。
 しかし、彼がふたたび動き出した瞬間、私は反射的にその言葉を口にしていた。
「愛している」
 その言葉は、恐ろしいほど自然にこぼれた。

「……もう一度」
「愛して、いる…」
「もう、一度」
 言われるままにくり返しながら、涙がこみあげた。私は感じながら泣いていた。
熱い炎に焼かれていた。
 竹中、これがお前の復讐なのか。

 夢を見た。私がまだ無邪気な子供だった頃の思い出。

「竹中、ずっと一緒にいよう」
「……どうしたんだ、急に」
「なあ、一緒にいよう、いてくれるだろ」
「君さえよければね」
「いいに、決まってるだろ。なあ、一緒にいよう、好きだ、好きなんだよ」
「私も、馬子が、好きだよ」
「……キスしてくれよ」
 竹中の唇は冷たかった。顔を離すと、彼は不思議な笑みを浮かべてこちらを
見ていた。

「……愛してるよ、馬子」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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