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金田一少年の事件簿 高遠×金田一

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |   名探偵の孫のお話だとさ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  やまなし落ちなしエロもなし…らしい
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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つきのさばく
「つぅきのー沙漠をーはるぅーばーるとー」
静かな月の夜。
木々の呟きの他は何も聞こえない夜。
思わず口をついて出た昔の歌。
「…何の歌ですか?それは。」
側にいる男を起さないように小さく小さく囁くほどに歌ったはずなのに
この闇色の細身の男は空気さえ動かさないような動作で起き上がる。
「んー小さな頃に聞いた歌。月の沙漠をお姫様と王子様が旅をする歌だよ。」
彼がさらりと髪をかきあげた。白い手首についた紅い疵。
それがオレ達をつないでいた。
つながれてなどいなくても それがオレ達をつないでいたんだ。
「どうしてかな。」
「え?」
「どうして、旅などしていたんだろう。―王子様とお姫さまなのに。」
オレに聞くというよりは月に聞かせるような遠い口調だった。
「…さあな。」
そう答えたオレの脳裏にぽくぽくと駱駝に乗りながらゆっくりすすむ
王子様とお姫様が浮かんだ。
どこか幸せそうでどこかひどく寂しそうな姿だった。
お日様の下ではなく供の一人も連れず世界で最後の2人のように
はるばる続く砂の道を行くんだ。
「もっと。」
彼がぼそりと呟いたのでそちらをみると仔猫みたいに身をすりよせてきた
「何?」
「その歌、好きです。もっと歌ってください。」
オレは頷いて再び歌い始めた。
やせっぽっちの危険な山猫はオレを抱き寄せ眼を閉じた。
いいよ。アンタが望むんなら一晩中だって歌っててやる。
腕がちりりと痛んだ。
オレの手首にも紅い疵。

ある日オレの日常はぶちっと千切れた
この男によって千切られた
いつもと同じ日常の延長線上にまさかこの山猫が
とんっと道をふさいでたなんて
想像もしてなかった。
氷みたいな眼でオレを見る細身の山猫は 
冷たい鎖を持ってオレをさらいに来た。
そしてオレをつないだまま鎖のもう一方の端は自分の手首につなぎやがった。
―殺されるのだと思った。
あいつがおもちゃみたいに無造作に壊してきた命みたいに。
もうだめだって覚悟して、
でも最後の最後まで抗ってやるつもりでありったけの力で睨んでやった。
なのに還って来たのは沙漠の月みたいに
冴え冴えと透明な微笑だけだった。
皮肉気な口元だけいつものヤツの欠片が残ってるような気がして
大嫌いなはずのその人を小ばかにした口元に妙に安心した。

あれから何日たったのかな。
腕の鎖はもうオレ達をつないではいない。

「外してもいいよ。」
そう言ったらしばらく黙って彼はオレをみつめた。
そして冷たい指先がオレの唇に触れた。
その指先が震えていた。
オレはなんだかたまらなくなって眼を閉じた。
…彼がオレに触れたのはその時が初めてだったんだ。

「何を思い出してたんです?」
え?と顔を向けるとあの時みたいに冷たい指がそっとオレの唇の上に置かれた
そして彼はくすりと薄い唇をあげて微笑んで言った。
「歌が止まった。」
「…ごめん。」
オレがもう一度歌おうと息を吸い込んだらそのまま止められた。
「…かと…お」
彼は眼を閉じてオレをぎゅっと抱いた。
「そのひっつきぐせは何とかなんないの?」
そんなオレの言葉に答えるでもなく彼は少し腕を緩めてやっぱり月に話す様に呟いた
「なにかきっと間違ったんですよ。」
「何が?」
「月の沙漠を旅する2人。
きっとひどい間違いを犯してそれで―あんな寂しい旅をする羽目になったんだ。」
間違い…か。
オレはそっと月を見上げた。
天窓からさらさらと粒子みたいに光がこぼれてくる。

ぺろっ…と頬を舐められてはじめて
オレは自分が涙をこぼしていた事に気付いた。
彼に眼を向けるとやっぱり皮肉気な笑みを浮かべて彼は言った。
「そう。君もただ間違えただけ。だから…」
もうお帰りなさい。そんな声が聞こえた気がして
オレは俯いてしまう。
「違う。」
「違いませんよ」
オレは小さく首を横に振った。
「違うんだ。」
オレはくるっと向き直って彼の上に乗っかってやる。
ちょっと顔をしかめたけどかまわずオレはぎゅっと彼を睨んでやった。
「ばぁーか。このオレ様が間違うかって言うんだ。」
山猫は苦笑する。
オレはその笑みに安堵する。
…オレ達は間違ってるのかもしれない。
世界中でこれだけ多くの人間が間違い続けてるんだ。
オレ達だけ例外であるはずがない。
それでも今はこうするしかないって思うんだ。
だから。
オレ達はバカでアホでツマラナイ人間でしかないから
間違っても良いんだ。
そんなオレの
居直り強盗みたいなめちゃくちゃな理屈を知るはずもないけれど
彼は嬉しそうに笑った。
だからそれでいいと思ったんだ。
オレはできる限りの盛大な笑顔をうかべてやった。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 未完!みたいな終りかただな
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