唇五
更新日: 2011-07-05 (火) 23:07:48
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| 某つなぎヒプホプグループ唇五の捏造モナ。
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| CPは大臣チビッコ!
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打ち合わせが始まって1時間が過ぎた頃、「遅れてすいません」という眠そうな声と共にドアが開いた。俺はそちらに見向きもせず、下を向いたままソファに身を沈めていた。
「まだ起きて30分も経ってないよースゲー頭痛い。」
「何?あの後帰ってそんなに飲んだの?」
「いや、PESんちで飲んだの。」
何気なく交わされる会話に少し身を硬くする。恐る恐る視線を上げると、そこには昨日までと変わらぬ調子で「結構飲んだよね?」と俺に笑いかけるスーさんがいた。
昨日、俺らはあるイベントに参加した。タイトなスケジュールのせいで打ち合わせもリハーサルも十分じゃなく、おまけに風邪を引いているメンバーもいたりで、ステージの出来は最低だったと言ってもいい。
打ち上げで盛り上がる気分にもなれなくて、俺は適当な理由をつけて店を抜け出した。
かといって真っ直ぐ家に帰りたくもない。1人で飲みなおすのもなんだかなぁと考えていると、「飲みなおすなら付き合うよー」と背後から声がした。
「あれ?スーさん打ち上げもういいの?」
「あんな出来じゃ打ち上がるもんも打ち上がんないでしょ。ペスはもう帰んの?」
丁度いい、じゃあ2人で飲みなおそうということで、俺とスーさんは夜の街を歩き出した。
けど時間も時間だし、明日も当然仕事がある。2人共かなり疲れていることもあって、結局俺の家で飲むことになった。
2時間後、俺の部屋は近所のコンビニで買ったビールの空き缶でいっぱいになっていた。
俺もかなり飲んだし相当酔ってたけど、スーさんはそれ以上に酔っ払っていた。
ステージが終わった後は平気な顔してたけど、この人も結構ヘコんでんだ…顔に似合わず案外無理してんだなぁ。そんなことをぼんやり考えながら、散らばる空き缶の中で突っ伏すスーさんを眺めていた。
するとスーさんは不意に顔を上げ、「酔っ払っても性欲ってなくならないんだよねぇ…」と呟いた。
「は?何?急に。」
「いや、だって酔った勢いでエッチすることはあっても、酔った勢いで人を好きになることはないじゃん。」
もう何言ってんのこの人…元々訳分かんないこと言う人だけど、酔いがまわるとさらにひどい。よけいに頭がクラクラしてきた。
「…何それ。」
「だからさ、愛と性欲って別物なんだなーって。」
「………。」
「人間って悲しいなーって。」
「………。」
「ちょっと!ペス君聞いてんの!?」
無視してたら「三十路の話はちゃんと聞きなさい」とかなんとか言いながら詰め寄ってきた。勘弁してくれよ、マジで。そんな俺の思いをよそに、スーさんはまだ話を続ける。
「要は、愛がなくてもエッチできちゃうってこと。みんなそれを否定したがるでしょ。でも俺はそこも認めてかなきゃいけないとおもうワケ。」
あーはいはい、そうだねぇと生返事の俺。
「たとえば、今ここで俺がペスとエッチしようとするじゃない?」
「…いや、しないでもらいたいんだけど。」
「たとえばだよ。そうするとできちゃうんだよ。」
「いや、できちゃうと困るんだけど。」
「でもそれは愛じゃない!愛じゃないんだよなー悲しいことに。」
「………」
「でもその事実を肯定しなきゃダメ。」
「………」
「ダメなの!」
気づくと目の前にスーさんの顔があって、次の瞬間床に置いてあった空き缶がガラガラと転がる音を聞いた。俺はなぜか抵抗する気もおきなくて、スーさんの言う性欲にただ身を任せていた。
朝になるとスーさんの姿はなかった。俺はちゃんとベッドに寝かされていて、部屋に散らばった空き缶はきれいに片付けられていた。
昨日した行為についてはあんまりはっきりと覚えていない。けどあの時適当に聞き流していた「愛と性欲って別物」というスーさんの言葉が、今になって二日酔いの頭にガンガン響いていた。
そして今、スーさんは俺の目の前でいつものように微笑んでいる。俺の好きないたずらっ子みたいな笑顔。
やり逃げされた女ってこーゆー気持ちなのかなぁとかバカなことを考えてみたり。過去は振り返らないタチだけど、昔自分がしたことを少しだけ思い出して今さら謝りたい気持ちになった。
ねぇスーさん、酔った勢いで人を好きになることなんてないんだよね?でも俺今すごく切ないんだ。これって愛じゃないのかな。
それとも俺は、ずっとずっと前からあんたのこと好きだったのかな。
これ以上その笑顔を見てたら泣いてしまいそうだったから、俺はまた視線を下に戻すと、なるべく昨日までと変わらぬ調子で「SUさんもう歳だからねー俺は余裕。」と答えた。
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