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駅擬人化 青梅線 拝島駅×昭島駅 前編

失礼します。
801未満のぬるさですが投下させてください。
ちょっと長いです。

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                     |  駅擬人化 青梅線 拝島駅×昭島駅。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ローカル線でお里が知れる。
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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俺はここのところイライラしていた。
何に対してかというと、昭島駅に対してだ。
ここ数年の昭島駅の駅前開発っぷりを見ていると、
あいつが調子に乗ってるのがひしひしと伝わって本当に腹立たしい。
自分の所属している青梅線は東京都を走ると言うのもはばかれるほどのローカル線だ。
まあ、八高線ほどではないけど。
立川駅で中央本線から分派して伸びるこの線は、中央線が遅れるとまず最初に見捨てられる。
直通運転がなくなっちまうんだ。理由は単純で、八王子方面に行く客の方が多いから。
それに、終電も中央本線に比べて30分も早い。
それくらいの線だから、最初はどの駅もどんぐりの背比べっこみたいなショボさだった。
しかしその中でも、俺と昭島駅はどちらかといえば発展していた方だったんだ。
青梅線の他に西武線と八高線が伸びていて地域のターミナル駅的存在の俺と、
大型デパートが入っていてスポーツ施設も充実している地域のエンターテイメント駅の昭島駅、どっちも線を代表する駅として
(一番でかい立川駅は自分が青梅線の駅にカウントされるのを断固否定してるから)けっこう仲良くやってた。かつては。

全ては昭島駅にあった大型デパートモリタウンが、複合レジャー施設として大規模展開しだしたのが始まりだった。
地味なエスパデパートの隣にチャラチャラしたブランドばかり入った二号館ができ、MOVIXができ、トイザラスができ、それに伴って高層マンションも増えだした。
極めつけはなんだあのわけのわからない●本のアトラクションは!?
「ねえねえ拝島駅、今度うちに映画見においでよ。面白いのやるんだ。」
自分のホームで2,30分に一本しか無い貴重な八高線の一本を見送っていると、いつの間にか昭島駅が隣にいた。
「はあ?冗談。映画見るなら立川行くし。」
振り返って目に入った昭島駅の姿は、5,6年前からは想像もつかないくらい垢抜けている。
前は俺と同じようなジーンズ&パーカーだったのが、今は雑誌に出ているような服を着ている。変な形のジャケットだなおい。髪も染めててパーマでくしゃくしゃだ。
モリタウン内の美容室でやったそうだが、そこは頼めばコーンローもやってくれるんだと以前嬉しそうに言っていた。
俺は未だにコーンなんとかがなにか分からない。余計にムカつく。
「でも、ぼくんとこ金曜だったらペアで2000円だよ!だから一緒に…。」
「うるせー。おまえんとこガキばっかで嫌なんだよ。たかだか800円別にどうでも。」
やつが喋る度にやつの服がひらひらするのがに目に入るので、俺は背を向けて吐き捨てた。

「そう…わかった。急に邪魔してごめん。じゃあまたね。」
案外あっさり引き下がった奴がいなくなった後、おれは若干の後悔と、そんな自分への腹立ちでため息をついた。
最近昭島駅とはめっきりこんな感じで参る。
昭島駅は以前のように俺とつるむ気でいるらしいが、今のやつと並ぶと自分が野暮ったく見えることに気がついてから
俺はあいつを極力避けていた。
俺んとこも、駅ナカができたりしてるけど規模では全然おいつかない。
今までは青梅線のツートップだった―利用者数が多い分自分のほうがちょい勝ってるとす ら思っていた―のに、
今は自分がその他停車駅に転がり落ちつつあるのである。そんなのは我慢できない。
そう思ってしまうので、昭島駅が話しかけてくる度に俺は不機嫌になる。
俺が不機嫌なのを察知して奴が俺の機嫌を無理に取ろうとする。
それが逆に惨めで俺がもっと不機嫌になる。
この悪循環に自分自身いい加減嫌気がさすが、どうしてもやめられない。
ホームで楽しそうに騒ぐ女子中学生グループを横目に、やりきれない気持ちで頭をガシガシと掻いた。

雨続きで久々に晴れた日曜日、休日ダイヤの暇さも手伝って俺は久しぶりに昭和記念公園へ出かけた。
久しぶりの気候に浮かれた家族客を大量に飲み込んだ巨大な国営公園はそれでもまだまだ余裕のようで、
見ごろのポピーを惜しげもなく見ぜびらかしている。
おれは色とりどりのそれらを横目に公園の中心にある原っぱで寝転がった。
こういうレジャー施設に一人で来たところで何もする事がない。暇だ。

前は時間さえあれば昭島駅と遊んでいた気がする。
ここにもよくサッカーをしにきていたし、たまには都心に出かけたりもした。
都心に出た時の昭島駅はすごく面倒くさい。
いつも東京駅や新宿駅の人ごみにはしゃいであちこち動き回り、最後には人酔いして座り込んでしまう。
それを介抱するために自分は付き添っていたと言っても良い位だった。
物見遊山に最初の東京マラソンを見学に行った時なんか昭島と一緒に自分までが群集の気にあてられちまって、
どうにも動けなくなって結局東京メトロの駅達に送ってもらったな。
連絡を受けて出迎えに来た立川駅のあのバツの悪そうな顔!
「ははっ。」

思い出して思わず一人で笑う自分にはっと気付いて空しくなった。

「チョリーッス拝島っち、僕ん所に一人で来るなんて珍しいね。」
そう声がして、不意に寝転がった自分の視界に覗き込むように屈んで立つ人物が現れた。
「西立川駅、良く分かったな。」
そいつは、立川駅の隣にぽつんと、昭和記念公園に行くためだけにあるような駅の主だった。

俺よりも数段地味で東中神駅だってもう少しましくらいのこいつは、
それにも関わらず外見は高校生位に見える俺や昭島駅よりもずっと年長で、
一番大人な立川駅と同じくらいに見える。
のわりには言葉も態度もヘラヘラしてて変な奴だけど。
「そりゃあ同じ線の仲間が近くにくれば気配でわかるよ。」
西立川駅はふわふわ笑いながら俺の隣に腰をおろした。
自分はなんとなくはわかっても場所までは特定できない。犬みたいな男だぜ。
「何か用か?」
「え?別に。一人で暇そうだから相手してあげようと思って。」
「…別に暇じゃねぇし。最近一人で清々してんだ。」
「前はいつも昭ちゃんと一緒だったもんねー。向こうが忙しくて相手にされなくなっちゃったのかなぁ?」
西立川駅がからかい交じりで幼稚園の先生のような甘ったるい声を出して俺の頭をなでた。
その態度が癪に障ってその手を思いっきり振り払う。

「なっ…ちげーよ!俺が一人がいいからあいつをシカトしてんの!」
「ふーん…。まあ、せっかくお隣さん同士なんだからもっと優しくしてあげなヨ。
彼も今大変な時期なんだから。」
はたかれた手を痛そうに振って言う西立川駅に俺は反論した。
「あいつのどこが大変なんだよ。チャラチャラした遊び場のおかげで多摩の核家族どもに囲まれてすげぇ調子乗ってんだぞ。」

俺の言葉に西立川駅はそれまでの飄々とした表情が一瞬強張った様に見えたがすぐに元に戻った。
「昭ちゃんはそんなキャラじゃないじゃーん。」
「…キャラ関係なく普通そうなるだろ。あいつ最近やたら開発進んでるし。たまに会っても大変そうにはちっとも見えないぜ。」
そうかなぁと言って西立川駅は頭をわしわしと掻いた。
「まあ僕も直接昭ちゃんに相談されたわけじゃないから良くわかんないんだけど、
たっちゃんが結構心配してるから大変なんだと思うよ。」

青梅線の中で不敵にも西立川駅だけは立川駅の事をたっちゃんと呼ぶ。
気取り屋の立川駅は全力で嫌がってるけど、それがまた良いのだとよく分かんねぇ事を以前西立川駅は言ってた。

「立川駅が?」
あの立川駅が昭島駅の心配?およそ考え付かなかった。やつはいつも偉そうにしょってて、
自分はさも都会の巨大ターミナルだと言わんばかりに俺を見下しているからだ。
けどそれよりも気になるのは…
「昭島駅って、本当に今辛いのか?」
でもだとしたらなんで?
「えっマジで分かってなかったの?」
西立川駅が本当になんの含みもなく心底驚いた声で言ったので分からない自分が
恥ずかしくなり、それを隠すため声を荒げた。
「わかんねぇし!自分とこの駅が発展するのはいいことだろ!」
「あんさぁ、昭ちゃんは人一倍人の気にあてられやすいじゃない。」
西立川駅が呆れた様子でヒントをくれた。
「そうだけど…ぇ、あ…。」
表情が変わった俺を見てやっと気が付いたと確認した西立川駅は、もー鈍い。
鈍いよ拝島っち!と俺の背中をバシバシ叩いた。

俺達駅は駅を使う人のエネルギーを受けて生きている。気の器みたいなもんだ。
小さい器に許容範囲以上の人の気が流れ込む負担は大きい。
だから小さい駅が急に人のあふれる大きい駅に行ったりすると具合が悪くなる。
何かのきっかけで自分の器の成長が追いつかないくらい駅に来る人が増えても同じじゃないか。
「まあ、急な利用者増加はこの線じゃあんまり起きないから気が付かないのも仕方ないけど、
そういうことだからもちっと気をつけてやってよお隣さん。」
ぽん、と今度は励ますように軽く頭を叩かれた。
「…西立川駅は知ってたんだな。」

こんな話は初めてだった。この線の他の駅の奴等だって縁のない話のはずだ。
昭島駅だってそんなこと一言も言ってなかった。いままでずっと辛かったんだろうか。
「僕?ああ、立川駅がさ、そうだったんだよ。奴のは規模が大きくてけっこう酷かったわ。
今もしょっちゅうだからあいつのはもはや持病だね。あ、僕が教えたことたっちゃんには内緒ね。」
自分の喋りすぎに慌てて西立川駅が口をおさえる。
それすら初耳だったが、言われてみれば確かに最もな話だった。全然気がつかなかった。
いつも堂々として偉そうに自分が一番だという態度をとっていたから。
他の駅達だって全然気付いてなかったはずだ。多分、西立川駅だけが知っていた。

黙り込んでしまった自分をの代わりと言わんばかりに西立川駅は続けた。
「たっちゃんのことも知らなくて仕方ないよ。あいつ超巧妙に装ってるもん。
プライド高いから弱み見せたくないんだよね。
昭ちゃんは心配掛けたくないからきっと黙ってるんだと思う。
多分そういうこともあって、たっちゃんは昭ちゃんがほっとけないんだろうね。
急に発展することの辛さはこの辺じゃあいつが一番分かってるからさ。
人の気だけじゃなくて急な成長をやっかむ駅に嫌がらせされたりもするし。」
「…俺のことか?」
非難まじりの西立川駅の流し目についむっとなって返したが、弁解の余地はなかった。
「さあね。立川駅ん時は自尊心の高い遠い山の手の面々だったよ。
少なくとも僕や国立駅は掌を返したりしなかったし?」
やっぱり俺を非難しているんじゃないか。

俺だって言ってくれればもっと…、何が心配かけたくないだあのお人好しめ。
心配…どころか自分はそんな昭島駅の努力にも気付かずにあいつを疎んじていた。
今までご機嫌取りだと思っていた態度は、実は切実なSOSだったんじゃないか。
後悔と自己嫌悪がじくじくと胸に広がった。
「…!?」
俺が黙っていると、いきなり西立川駅が立ち上がった。
「あ、ごめん。ちょっとたっちゃんとこ行かなきゃ。」
「わり、何か約束あった?」
「いや、今わかった。休日で人手が増えてややキャパオーバーっぽいから手伝ってくるわ。」
「そんなことわかんのか?」
「気配でね。たっちゃんのは分かるようになった。拝島っちも練習すればできるよ。」

本当だろうか。にしても立川駅が人を頼るなんて見たことない。
そう思ったのが顔に出たのか、西立川駅はカラカラ笑った。
「一回も頼まれた事はないんだけどね。勝手に気付いて勝手にやってんの。
隣にいるだけでも気が分散するから楽みたいよ。」
「…俺も手伝おうか?」
立川駅はいけ好かないが、西立川駅には今日世話になったし。
そう思っていった一言だったけど、次の言葉で一蹴された。
「あいつは僕一人で十分だから大丈夫。
持久力ないけど瞬発力はここでやる毎年の花火大会や花見で鍛えられてっから
半日くらいなら何万人でもどんとこいよ!
てか君はたっちゃんより手伝うべき相手がいるでしょ。」
「うっ…なぁ、どうしたら昭島駅のこともっとわかるようになると思う?」
今日のことでちょっと気付いた。多分、俺はもっと色々知らなきゃいけない。
西立川駅は一瞬目を丸くすると、へらっと笑っていった。
「愛、かな~。」
あまりの気障な物言いに思わず手元の草をちぎって投げつけたけど、
それが当る前に西立川駅は姿を消してしまった。

中途半端ですみません。
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) いつかまた機会があれば…
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