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新興宗教オモイデ教 中間×ゾン

読み返したら電波を受信したので投下。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ライブの後、彼はいつもただ呆然としていた。
自分か観客のか、よくわからない血のついたぼろ雑巾のような服を身にまとい、
ライブハウスの控え室で天井をひたすら虚ろと眺めている姿はさながら殉教者のように見え少し笑う。
(神?そんなもん、僕もこいつも信じてないやろ)
のそのそと近づき、彼に明るく声をかける。

「ゾン、大丈夫か?」
空中をふらふらさまよっていた目は一瞬こちらを捕らえるがすぐに再び空をまう。
「キマってんな~ゾンのおかげで今日もサイコーやったで」
今の状態の彼には聞こえてないだろうが思ったことを伝える。そう、彼はくだらないこの世界で、
数少ないサイコーと賛辞されるに等しい人間だ。そう、信じている。

「…中間さんは楽しかったか」
小さな声だが、確かに自分に問いかける声が聞こえて驚く。
「あぁ、めっちゃ楽しかったで。ゾンがやってくれるだけで僕は楽しいよ」
ゾンはフラフラと、まるで背の高い植物が風に揺れるように不安定に頭を揺らしている。
ライブ後のトリップ中に彼が人の理解できる言葉を発するのを見るのは初めてに等しかった。

少女めいた白い顔の口の端が少しあがっている所を見ると
彼は中間の言葉に喜びを感じているのかもしれない。
それを見て中間は何かたまらなくなり、思わずゾンの頭を撫でた。
いつも汚い大人たちにされているセックスに直結する愛撫とは違う、
ただ優しいだけの触り方にゾンは呆けたように中間の方に顔を向けた。
「ゾンが気持ちいいライブが、僕の楽しいライブや。またやろうな」
中間の言葉に少し笑みを浮かべてゾンは頷いた。
これなら次のライブもきっと成功するだろう。何故ならこれは、
ゾンが内に秘めているものを吐き出すたった一つの方法なのだから。

ふと、ゾンがいつか幸せになれば良いなと思った。普通に働き、普通に恋をし、普通に笑う。
あり得ないとわかっているが、幸せになって欲しかった。
(そうか、僕はゾンが好きなんだ)
小学生の淡い初恋のように胸にその気持ちが浮かんだが、それは言えなかった。

彼が死んだときも、それは言えなかった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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