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灯火のROL ダニル→フェルテス

灯/火のR/O/Lで調子者→紅炎
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 ベッドに投げだされた身体を見下ろして、さてどうしようかとダニルは額に手を当てた。
毛布の上に横たわる赤髪は見間違えようもない、情報の対価を支払うため
マナン情報屋に住み込みを続けているフェルテスのものだ。

 ダニルが彼を見かけたのは街中でのことだ。ダンジョンから引き上げた直後だったのか、
フェルテスはふらふらとおぼつかない足取りで街を歩いていた。
普段、しゃんと背筋を伸ばして歩く男の薄汚れて頼りないさまに、一抹の不安が胸をよぎる。
 アビスターナはその土地柄、教国や帝国の軍人があまた駐在しているが、
それが治安の向上に繋がるかといえば一概にそうとはいえない。
むしろ軍人同士の諍いは日常茶飯事だし、大陸のあちこちから流れてくるハンターに盗賊団と、
アビスターナはモンスター以上に人間に気をつけなければならない土地だった。
 フェルテスの経歴がそれに拍車をかける。かれに恨みを抱く者たちは多い。
いくら街中とはいえ、あのいかにも弱りきっているようすでは、いつ盗賊団に
物陰へ引きずり込まれるかわかったものではない。無事情報屋まで辿り着けるかもあやしかった。
 手袋に包まれた指先を額に当てて、少しだけ考える。わかりきった結論を再確認するのに
たいした時間は要らなかった。
「ま、旦那のお気に入りを守るのも、部下の務めってことで?」
 誰にとも無く呟いて、薄暗いこの地にも明るく輝く緋色の髪を追いかける。
エルオがかれを気に入っているのなんて、いつも側で見ているダニルには知れたことだ。
にやりと、あまり性質のよろしくない笑みを浮かべて、ダニルは人ごみにそっとその姿を紛らわせた。

 情報屋の扉の向こうに消える赤毛を見送って、ダニルはふうと息をついた。
凝視しすぎた目と凝り固まった首がだるい。乾いた音を立てて首を回す。
見上げた空は常よりもなおいっそう暗く重たく、街を照らす灯りもその数を増やしている。
夜が近いのだ。
「仕事の残りは明日に回しちまいやすかねぇ……」
 こんなに近くで慣れ親しんだ家を見てしまうと、わざわざ離れる気なんぞ失せるというものだ。
順調とは言いがたいが、本業の情報集めもそれなりに進展したし、今日くらいエルオの小言を聞かずに眠ったって
罰はあたるまい。うんうんと一人頷いて、数分前のフェルテスと同じ動作をなぞる。
「旦那ぁ、ダニルがただいま帰りやしたよ~……、……旦那?」
 見に覚えのありすぎる小言でちくりとやられるか、仕事の進展を問われるか。
帰ってきたダニルへエルオが尋ねるのは、そのどちらかだった。
 しかし今日、ダニルの目に飛び込んできたのは、ぽかんと口を開けたエルオの横顔だった。
その顔がぎくしゃくした動きでダニルに向けられる。瞳には特大の困惑。
「だ、旦那、どうしたんで? 何かあったんですかい?」
 エルオは黙ったまま、視線を横へ流した。
その先にあるのはダニルの私室だ。なぜか扉が半開きであるが。

 そして冒頭へ戻る。
 ダニルとハビルが共に寝起きする寝室、ダニルにあてがわれたベッドの上で、
何を思ったかフェルテスがぐっすり寝入っていたのだ。勿論かれの部屋はカウンターを挟んで向かい側である。
 明朝の探索にダニルを誘いに来て、待っている間にダウン。
フェルテスの疲労困憊ぶりをじっくり観察した身としては大方の想像がつく。
「しっかし、どうしたもんですかねぇ」
 フェルテスを起こさないよう、ごくごく小さな声で呟いた。それにしても寝るのが早い。
フェルテスとダニルがここに来るまでの差は五分もなかったはずだ。よほど疲れているのか、
フェルテスはダニルがその傍らに膝をついても、呼吸一つ乱さない。ハンターにあるまじき無防備さで、
ぐっすりと眠っている。普段の彼なら、ダニルの気配を察した時点で飛び起きているだろうに
(もっとも、ダニルがこんな夜更けにフェルテスの部屋を訪ねたことなど、一度としてなかったが)。

 フェルテスは、常に浮かべている冷えきった無表情ではなく、歳相応の青年の顔をしている。
少し開いた唇からちろりとのぞく赤い舌は、この世界に生きる男にしては――そう言えば彼は怒るだろうか?――
色の白い肌と対照的で、濡れそぼった様子に妙な色を感じる。
 一瞬、どくりと脈打った下半身にダニルはあわてた。たしかに最近、娼館とはごぶさたしている。
しかし寝込みの相手を襲いたくなるなんて、男というよりけだものか魔物のようだ。
「……これがお誘いなら、喜んでお受けいたしやすよ?」
 フェルテス何も答えない。眠っているのだから当然だが、何となく面白くないことだ。
 にやりと、見ようによらなくとも怪しい笑みになって、ダニルは部屋を出た。
カウンターに寄りかかったエルオが何だという目つきで見てくるのに、
「旦那ぁぐっすり寝込んじまってまさあ。起こすのぁ忍びねぇんで、このままにしといてあげてくだせえ」
 一息に言ってすぐに部屋に引っ込む。エルオがカウンターから慌てて出てくる気配がしたが、
なんだかんだでフェルテスに甘いエルオが、彼が眠っていると知ってまで大騒ぎすることはないだろうから、
鍵をかけて放置。ハビルのベッドから毛布を拝借して、フェルテスの隣に滑り込んだ。
 小さな呻き声に、さすがに起きたかとひやっとしたが、フェルテスは寝心地良い体位に身体をずらしただけで、
一向に目をあけようとしない。
 ……まあ、起きたら、自分のベッドで寝ていただけとでも言い訳しようか。
 毛布もかけずに投げだされていた身体が、温もりを求めるように擦り寄ってくる。腕が持ち上げられ、
眠りの世界の住人とは思えぬ強さでダニルの背中をぎゅっと引き寄せた。胸に頬を擦り付けられたときは
流石にぎょっとしたが、寝ぼけた相手を引き離す気にはなれず、持ち上げた腕が行き場をなくして空をかく。
フェルテスの満足げな吐息が胸を熱く濡らすのを感じて、上げっぱなしだった腕を静かに下ろした。

 ……なんというか。予想外、である。
 ダニルとしてはフェルテスと一緒のベッドで寝れてラッキー、くらいものだったのだが、
まさかこんなに密着できるとは……いや、そうではなくて。
 この強い男が、こうして誰かに温もりを求めて擦り寄ってくるなど思いもしなかった。彼だって人間だ、
自分と同じように悩んだりすることもあるのだろうと頭では理解していたが、本当の所はそうではなかった。
彼はいつだって強くて、ダニルとの間には高い壁がそびえているのだと、そう思っていた。
 自分は知らないうちに彼を人間と見ていなかったのかもしれない。壁を作っていたのは自分。
それを壊してくれたのはほかならぬフェルテスで、やはり旦那には敵いやせんなとダニルは少しだけ笑った。
 もう寝よう。明日は、彼が自分の力を必要としている。それに精一杯答えるのが、ダニルに出来る唯一のことなのだから。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
かっとなってやった。 色々ごめんなさい


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